特定技能外国人の退職・転職時の企業対応【手続き・届出・注意点】
特定技能外国人が退職・転職する際の企業対応を解説。入管への随時届出・ハローワーク届出・社会保険手続き・転職支援の義務・在留状況への影響まで行政書士が説明します。
導入
「特定技能外国人が突然退職したいと言ってきた」「転職先が決まったので手続きを進めたい」「退職後に外国人の在留資格はどうなるのか」——受入れ企業の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。
特定技能外国人の退職・転職時には、通常の退職手続きに加えて、入管への随時届出・ハローワークへの届出など特定技能固有の対応が必要です。また会社都合退職の場合は転職支援の義務も生じます。これらを怠ると罰則や将来の受入れ停止につながる可能性があります。
この記事では、退職・転職の場面別に企業が行うべき対応を整理します。
このページの要点
Q1. 退職時に入管への届出は必須ですか? はい。雇用契約が終了した場合(退職・解雇・契約満了など)は退職日から14日以内に入管への随時届出が必要です。
Q2. 自己都合退職と会社都合退職で対応が変わりますか? はい。2025年4月の改正により、自己都合退職では「受入れ困難に係る届出書」の提出が不要になりました。会社都合退職(解雇・経営上の都合など)では引き続き提出が必要です。
Q3. 退職後、外国人の在留資格はどうなりますか? 在留期限が残っていれば直ちに在留資格は失効しませんが、特定技能は就労前提の在留資格のため、退職後は速やかに転職先を見つけるか帰国する必要があります。
Q4. 会社都合退職の場合、転職支援は義務ですか? はい。支援計画に基づき、会社都合(非自発的離職)の場合は転職先のあっせん・推薦状の提供・情報提供などの転職支援が義務付けられています。
Q5. 退職後も特定技能外国人が働き続けることはできますか? 転職先(特定技能の受入れ企業)が決まり、新たな在留資格変更許可申請が許可されれば引き続き就労できます。転職先が決まらない場合は帰国または他の在留資格への変更が必要です。
本文
退職・転職の主なパターン
特定技能外国人の退職・転職は以下のパターンに分かれます。対応が異なる部分があるため、まずパターンを確認してください。
| パターン | 内容 |
|---|---|
| 自己都合退職 | 本人の意思による退職・帰国・在留期間満了など |
| 会社都合退職 | 解雇・経営上の人員整理・事業所閉鎖など |
| 契約期間満了 | 有期雇用契約の期間満了(更新なし) |
| 同一分野内の転職 | 特定技能の分野を変えずに他社に転職 |
| 分野をまたぐ転職 | 特定技能の分野を変えて他社に転職 |
入管への随時届出(退職日から14日以内)
退職に伴い、以下の随時届出を退職日から14日以内に入管へ提出します。
【自己都合退職の場合】 - 特定技能雇用契約の終了に係る届出書(参考様式第3-1-2号)
【会社都合退職・解雇・経営上の都合の場合】
- 特定技能雇用契約の終了に係る届出書(参考様式第3-1-2号)
- 受入れ困難に係る届出書(参考様式第3-4号)
- 受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号)
重要:随時届出は登録支援機関に委託できません。受入れ企業が自ら提出する義務があります。
ハローワークへの届出(離職翌日から10日以内)
入管への届出に加え、ハローワークへの外国人雇用状況の届出(離職)が必要です。
提出期限:離職の翌日から10日以内
雇用保険の被保険者資格喪失届と合わせて提出できます。届出書の所定欄に在留資格・在留期間・国籍などを記載します。
社会保険・労働保険の手続き
退職に伴い以下の手続きが必要です。
| 手続き | 期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金資格喪失届 | 退職日翌日から5日以内 | 日本年金機構 |
| 雇用保険被保険者資格喪失届 | 退職日翌日から10日以内 | ハローワーク |
| 離職票の発行 | 本人希望時は速やかに | ハローワーク経由 |
| 源泉徴収票の発行 | 退職後1か月以内 | 自社で発行 |
| 退職証明書の発行 | 本人請求時は速やかに | 自社で発行 |
脱退一時金の案内 外国人が帰国する場合、厚生年金保険料の脱退一時金を申請できます(日本に住所を有しなくなった日から2年以内)。退職・帰国前に制度の説明と申請方法の案内を行うことが重要です。
転職支援の義務(会社都合退職の場合)
支援計画書に基づき、会社都合(非自発的離職)で退職させる場合は以下の転職支援を行う義務があります。
転職支援の主な内容
- 転職先のあっせん・紹介(ハローワーク・転職サービスの案内)
- 推薦状の作成・提供
- 転職活動に必要な情報の提供
- 在留資格に関する情報提供(転職に伴う在留資格変更の流れの説明)
自己都合退職の場合でも、退職証明書の発行・在留資格に関する情報提供など、できる範囲での協力が望ましいです。
退職後の外国人の在留状況
退職後も在留期限が残っている間は日本に在留できますが、特定技能は就労前提の在留資格のため、退職後に就労しながら在留し続けることは原則できません。
退職後の主な選択肢
①同一分野・同一区分で転職(在留資格変更) 転職先(特定技能の受入れ企業)が同一分野内であれば、転職先での在留資格変更申請を行うことで引き続き就労できます。
②異なる分野に転職(在留資格変更) 分野が変わる場合は、新たな分野の試験合格が原則必要です(技能実習修了者の試験免除は対応する分野のみ)。
③帰国 在留期限内に帰国します。
④特定活動(特定技能移行準備)への変更 要件を満たす場合は特定活動(告示第46号・特定技能1号移行準備)への変更が認められる場合があります。転職活動中の就労も一定の範囲で可能になるケースがあります。
会社都合退職が将来の受入れに与える影響
直近1年以内に同種業務の日本人または特定技能外国人を企業都合で非自発的に離職させた場合、新たな特定技能外国人の受入れが認められなくなる可能性があります(欠格事由への該当)。
やむを得ない事情がある場合でも、この影響を念頭に置いた上で対応することが重要です。解雇等を行う際は事前に専門家に相談することをおすすめします。
行方不明(失踪)が発生した場合
外国人が連絡なく出勤しなくなり行方不明になった場合も、随時届出の対象です。
- 行方不明が判明した時点から14日以内に「受入れ困難に係る届出書」を提出
- 関係機関(入管・警察など)への連絡も状況に応じて行う
行方不明者の発生は企業の欠格事由につながる可能性があるため、早急に対応することが重要です。
退職時のチェックリスト
【入管への届出】
- ☐ 退職理由(自己都合/会社都合)を確認する
- ☐ 雇用契約終了に係る届出書を準備する(退職日から14日以内)
- ☐ 会社都合の場合:受入れ困難届・経緯説明書を追加で準備する
【ハローワーク・社会保険手続き】
- ☐ 外国人雇用状況の届出(離職)を行う(翌日から10日以内)
- ☐ 健康保険・厚生年金資格喪失届を提出する(5日以内)
- ☐ 雇用保険資格喪失届を提出する(10日以内)
- ☐ 離職票・源泉徴収票・退職証明書を発行する
【外国人本人への対応】
- ☐ 脱退一時金の案内を行う(帰国する場合)
- ☐ 退職後の在留状況(転職・帰国の選択肢)を母国語で説明する
- ☐ 転職支援を行う(会社都合退職の場合)
- ☐ 支援記録・面談記録を整理・保管する(雇用契約終了後1年以上保管)
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、特定技能外国人の退職・転職対応に関して以下のサポートを提供しています。
- 随時届出の書類作成サポート:退職理由・パターンに応じた届出書類の整理・作成をサポートします。
- 退職後の在留資格の確認:退職後の外国人の在留上の選択肢について情報提供します。
- 転職受入れ先としての申請サポート:退職した特定技能外国人を受け入れる新しい企業向けの申請をサポートします。
- 登録支援機関としての継続サポート:退職・転職を含めた在留期間中の支援記録管理・届出対応を受託します。
FAQ
Q1. 退職後、外国人がそのまま在留し続けることはできますか? 在留期限内であれば在留できますが、特定技能は就労前提の在留資格のため、退職後は速やかに転職先を見つけるか帰国する必要があります。在留期限を超えると不法滞在となります。
Q2. 退職時に在留カードの回収は必要ですか? いいえ。在留カードは外国人本人のものであり、企業が回収する権限はありません。退職後も外国人本人が在留カードを所持します。
Q3. 退職後すぐに転職先が決まらない場合はどうすればよいですか? 企業としてできる範囲で転職支援(ハローワークの案内・求人情報の提供など)を行うことが重要です。また要件を満たせば特定活動(移行準備)への変更も検討できます。
Q4. 試用期間中に退職した場合も届出は必要ですか? はい。雇用契約が終了した場合は、試用期間中・短期間であっても随時届出が必要です。
Q5. 退職届の言語は何語でよいですか? 退職届の言語に法令上の規定はありませんが、外国人本人が内容を理解した上で提出することが重要です。外国人が母国語または理解できる言語で記載した退職届を受け取ることをおすすめします。
まとめ
特定技能外国人の退職・転職時には、通常の退職手続きに加えて入管への随時届出(14日以内)・ハローワークへの届出(10日以内)が必要です。2025年4月の改正で自己都合退職の場合は受入れ困難届が不要になりましたが、雇用契約終了届は引き続き必要です。
会社都合退職の場合は転職支援の義務・将来の受入れへの影響を念頭に置いた対応が必要です。退職後の外国人の在留状況についても母国語で丁寧に説明することが重要です。
企業が次に確認すべきこと
- 退職理由(自己都合/会社都合)を確認し、必要な届出書類を特定する
- 入管への随時届出(退職日から14日以内)のスケジュールを組む
- ハローワーク・社会保険の手続き期限を確認する
- 外国人本人への退職後の在留状況の説明と脱退一時金の案内を行う
行政書士アーチ事務所では、退職・転職に伴う届出書類作成・在留資格の確認をサポートしています。お気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
行政書士アーチ事務所
行政書士・申請取次行政書士
大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。
ONLINE CONSULTATION
大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています
行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。
受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。
WHY ARCH OFFICE
行政書士アーチ事務所が選ばれる理由
ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。
01
登録支援機関でもある行政書士事務所
特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。
02
有料職業紹介許可を保有
外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。
03
大阪市拠点・全国オンライン対応
大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。
04
英語・中国語の相談にも対応
外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。
05
個人向けと企業向けの両方に対応
家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。
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