特定技能「農業」の要件・協議会・雇用契約【2026年最新版】
特定技能「農業」の受入れ要件・試験・対象業務・協議会加入・派遣形態の雇用契約を解説。耕種・畜産の業務区分・6か月雇用経験要件・派遣元の要件まで行政書士が説明します。
導入
「農業分野で特定技能外国人を受け入れるには何が必要か」「派遣形態で受け入れられると聞いたが条件は何か」「過去の雇用経験要件とはどういう意味か」——農業事業者・農協・派遣会社から、こうしたご相談をよくいただきます。
特定技能「農業」は、深刻な農業人材不足に対応するために設けられた分野です。農業分野は特定技能の中でも数少ない「派遣形態での受入れが認められている分野」の一つであり、季節に応じた柔軟な人材活用が可能です。一方で、直接雇用の場合は過去の雇用経験要件があるなど、分野特有の要件もあります。
この記事では、特定技能「農業」の要件・試験・業務区分・協議会・雇用形態の注意点を最新情報に基づいて解説します。
このページの要点
Q1. 特定技能「農業」で従事できる業務は何ですか? 耕種農業全般(栽培管理・農産物の集出荷・選別等)と畜産農業全般(飼養管理・畜産物の集出荷・選別等)の2区分です。耕種と畜産はそれぞれ別の試験があり、合格した区分の業務にのみ従事できます。
Q2. 農業分野は派遣形態で受け入れられますか? はい。農業分野と漁業分野は特定技能の中で例外的に派遣形態での受入れが認められています。繁忙期のみの短期的な活用も可能です。ただし派遣元事業者にも一定の要件があります。
Q3. 直接雇用の場合、企業側に雇用経験の要件はありますか? はい。直接雇用の場合、受入れ事業者が過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験があることが必要です。アルバイト・パートタイムでも要件を満たします。
Q4. 農業特定技能協議会への加入はいつ必要ですか? 在留資格申請の前に加入が必要です。農林水産省のウェブサイトから申請でき、申請から約2週間で加入通知書が発行されます。費用は無料です。なお登録支援機関は協議会加入の対象外です。
Q5. 特定技能2号はありますか? はい。2023年6月の閣議決定により農業分野でも特定技能2号が対象になりました。2号取得には農業技能測定試験2号への合格と相当程度の実務経験が必要です。
本文
特定技能「農業」の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所管省庁 | 農林水産省 |
| 業務区分 | 2区分(耕種農業・畜産農業) |
| 特定技能2号 | あり(2023年6月閣議決定) |
| 受入れ見込数 | 最大6万9,000人(2024年3月改定) |
| 雇用形態 | 直接雇用または派遣形態(いずれも可) |
| 協議会 | 農業特定技能協議会(事務局:農林水産省) |
| 協議会費用 | 無料 |
対象業務
①耕種農業全般
- 栽培管理(播種・定植・施肥・農薬散布・収穫など)
- 農産物の集出荷・選別等
②畜産農業全般
- 飼養管理(餌やり・搾乳・採卵・育成管理など)
- 畜産物の集出荷・選別等
関連業務(付随的に従事可能) 日本人の労働者が行っている関連業務(農畜産物の製造・加工・運搬・販売・冬場の除雪作業など)にも従事できます。
重要:耕種と畜産の試験は別々 耕種農業の試験と畜産農業の試験はそれぞれ独立した試験です。畜産農業の試験のみ合格した場合、耕種農業に従事することはできません(逆も同様)。両方の業務に従事させたい場合は、両方の試験への合格が必要です。
外国人本人の要件(試験)
パターン①:農業技能測定試験+日本語試験
- 農業技能測定試験1号(耕種農業または畜産農業)に合格
- 実施主体:一般社団法人全国農業会議所
- 日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)に合格
パターン②:技能実習2号修了 農業分野に対応する技能実習2号を良好に修了した場合は、技能試験・日本語試験が免除されます。
受入れ企業の要件
①農業特定技能協議会への加入 在留資格申請前に加入が必要です(詳細は後述)。
②直接雇用の場合:6か月以上の雇用経験要件 直接雇用で受け入れる場合、受入れ事業者が過去5年以内に同一の労働者を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験があることが必要です。
- 対象となる労働者:日本人・外国人を問わず、技能実習生も含む
- 雇用形態:フルタイム・パートタイム・アルバイトいずれも可
- 複数人を短期間ずつ入れ替わりで雇用した場合は要件を満たしません(同一の労働者を継続6か月以上が必要)
この要件を満たさない場合、直接雇用での受入れはできません。ただし派遣形態での受入れ(農業者が派遣先となる場合)は別の要件が適用されます。
③共通要件 特定技能制度の共通要件(欠格事由への非該当・適正な雇用契約・社会保険加入・支援体制の整備など)も満たす必要があります。
雇用形態:直接雇用と派遣形態
農業分野は、特定技能の中で例外的に派遣形態での受入れが認められている分野です(漁業分野も同様)。
直接雇用の場合
- 受入れ事業者と外国人本人が直接雇用契約を締結
- 上記の6か月雇用経験要件を満たすことが必要
- 複数の農場を掛け持ちする場合は、各農場との間で都度雇用契約を締結する形になります
派遣形態の場合
- 外国人と派遣元事業者が雇用契約を締結し、農業事業者(派遣先)に派遣する形態
- 繁忙期のみの短期的な活用が可能
- 農業事業者にとっては労務管理(給与計算・社会保険手続きなど)を派遣元に任せられるメリットがある
派遣元事業者の要件 農業分野で派遣を行える事業者は以下の4つの要件のいずれかに該当し、かつ法務大臣が農林水産大臣と協議の上で適当と認められた者に限られます。
- 農業または農業に関連する業務を行っている者(農業関係者)
- 地方公共団体または農業関係者が資本金の過半数を出資している者
- 地方公共団体の職員または農業関係者・その役員・職員が役員であること等、地方公共団体または農業関係者が業務執行に実質的に関与していると認められる者
- 国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する「特定機関」
派遣先(農業事業者)の要件 派遣先の農業事業者には以下のいずれかが必要です。
- 過去5年以内に同一の労働者を6か月以上継続して雇用した経験があること
- または、派遣先責任者講習その他労働者派遣法における派遣先の講ずべき措置に関する講習を受講した者を派遣先責任者として選任していること
協議会について
協議会名 農業特定技能協議会
事務局 農林水産省(加入申請は農林水産省のウェブサイトから)
加入のタイミング 在留資格申請の前に協議会に加入し、加入通知書の取得が必要です。申請から約2週間で加入通知書がメールで届きます。
加入申請の流れ
- 農林水産省ホームページの入力フォームから申請(WEB申請)
- 事務局で内容を確認
- 加入通知書がメールで届く
登録支援機関は対象外 農業特定技能協議会への加入が必要なのは受入れ機関(特定技能所属機関)のみです。登録支援機関は加入対象外です。
派遣形態の場合の協議会加入 派遣形態の場合、協議会に加入する義務があるのは派遣元事業者のみです。派遣先の農業事業者は協議会に加入する必要はありません。
費用 無料(入会費・年会費なし)
特定技能2号について
2023年6月の閣議決定により農業分野でも特定技能2号の取得が可能になりました。
2号取得の主な要件
- 農業技能測定試験2号に合格すること
- 農業分野での相当程度の実務経験があること(2号取得者が後輩を指導・管理できるレベル)
2号を取得すると在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になります。
農業分野特有の注意点
①耕種と畜産は試験・業務が別 耕種農業と畜産農業はそれぞれ別の試験区分です。受け入れたい農業の種類に合わせた試験への合格が必要です。
②派遣元事業者の要件確認が必須 農業分野で派遣を行える事業者は法令で定められた4要件のいずれかを満たし、かつ行政から適当と認められる必要があります。すべての派遣会社が農業分野の特定技能外国人を派遣できるわけではありません。
③直接雇用の6か月経験要件は同一人物が条件 過去の雇用経験は「同一の労働者を6か月以上継続して雇用した経験」であり、複数人を短期間ずつ交代で雇用しても要件を満たしません。
④登録支援機関は協議会加入不要 農業分野では登録支援機関が協議会加入の対象外です(他分野では加入義務がある場合があります)。
在留資格申請に必要な主な書類
外国人本人に関する書類
- 在留資格変更・認定申請書(最新様式)
- パスポート・在留カードの写し
- 農業技能測定試験・日本語試験の合格証明書(または技能実習2号修了証明書)
- 健康診断個人票
受入れ機関に関する書類
- 特定技能雇用契約書・雇用条件書の写し(派遣の場合は派遣契約書・就業条件明示書も)
- 1号特定技能外国人支援計画書(最新様式)
- 登記事項証明書・納税証明書
- 社会保険・労働保険の納付確認書類
農業分野特有の書類
- 農業特定技能協議会の加入通知書
- 6か月以上の雇用経験を証明する書類(直接雇用の場合)
- 派遣元事業者の要件を証明する書類(派遣形態の場合)
※書類は制度改正により変更になる場合があります。申請前に入管・農林水産省の最新情報を必ず確認してください。
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、特定技能「農業」の受入れに関して以下のサポートを提供しています。
- 協議会加入サポート:農業特定技能協議会への加入手続きをサポートします。
- 在留資格申請書類の作成・取次:直接雇用・派遣形態それぞれに対応した申請書類の作成・取次を行います。
- 登録支援機関としての支援受託:入国後の10項目の支援業務を受託します。
- 6か月雇用経験要件の確認:自社の雇用実績が要件を満たすかどうかの確認をサポートします。
FAQ
Q1. 農業分野の試験はどこで受験できますか? 一般社団法人全国農業会議所が実施しています。国内外で実施されており、試験日程・申込方法は全国農業会議所の公式サイトでご確認ください。
Q2. 農業法人でなくても受け入れられますか? 個人農家でも受け入れることができます。ただし直接雇用の場合は6か月雇用経験要件など共通の要件を満たすことが必要です。
Q3. 冬場に農作業がない場合でも継続して雇用できますか? 除雪作業など関連業務への従事は認められています。ただし農業から全く切り離された業務(例:建設作業)への従事は認められません。
Q4. 派遣形態と直接雇用、どちらがよいですか? 繁忙期のみ必要な場合や労務管理の負担を減らしたい場合は派遣形態が有効です。年間を通じて安定的に雇用したい場合や、育成・定着を重視する場合は直接雇用が適しています。ただし派遣元事業者の要件確認が必要です。
Q5. JA(農業協同組合)が特定技能外国人を雇用して農家に派遣することはできますか? JAは「農業関係者」に該当するため、農業分野の派遣元事業者の要件を満たす可能性があります。ただし派遣事業許可の取得・行政からの適当認定なども必要です。個別に確認することをおすすめします。
Q6. 協議会加入は何度でも申請が必要ですか? 初回の加入申請のみ必要です。2回目以降は加入通知書を保管し、在留資格申請時に提出します。加入後に登録内容に変更が生じた場合は変更申請が必要です。
まとめ
特定技能「農業」は、耕種農業と畜産農業の2区分があり、それぞれ別の試験への合格が必要です。農業分野は特定技能の中で例外的に派遣形態での受入れが認められており、繁忙期に合わせた柔軟な活用が可能です。
直接雇用の場合は「過去5年以内に同一労働者を6か月以上雇用した経験」という分野特有の要件があります。協議会(農業特定技能協議会)への加入は在留資格申請前に必要で、登録支援機関は加入対象外です。
制度の詳細・書類については変更になる場合があるため、農林水産省・入管の最新情報を確認しながら準備を進めることをおすすめします。行政書士アーチ事務所では、農業分野の特定技能受入れに関する手続きをサポートしています。お気軽にご相談ください。
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