特定技能

特定技能外国人の社会保険・雇用保険の注意点【企業向け・2026年最新版】

特定技能外国人の社会保険・雇用保険の加入義務・手続き・外国人特有の注意点を解説。ローマ字氏名届・脱退一時金・社会保障協定・未加入のリスクまで行政書士が説明します。

導入

「特定技能外国人も社会保険に加入させなければならないのか」「雇用保険の手続きは日本人と同じか」「年金を払っても帰国後に受け取れないと外国人が嫌がる」——特定技能外国人を受け入れている企業の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。

特定技能外国人は日本人と同様に社会保険・労働保険への加入が義務付けられています。「外国人だから任意でよい」「短期間しかいないから不要」という考え方は法律上通用しません。未加入は追徴金のリスクに加え、在留資格の更新不許可につながる可能性があります。

この記事では、特定技能外国人の保険加入義務・手続き・外国人特有の注意点を解説します。

このページの要点

Q1. 特定技能外国人も社会保険に加入させる義務がありますか? はい。特定技能外国人も要件を満たす場合は日本人と同様に健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険に加入させる義務があります。特定技能の受入れ機関の基準として「社会保険に関する法令を遵守していること」が明示されています。

Q2. 社会保険未加入のリスクは何ですか? 追徴金(未納分の遡及徴収)に加え、在留資格の更新申請が不許可となるリスクがあります。更新申請では過去の社会保険料・税金の納付状況が審査されます。

Q3. 外国人の厚生年金加入で特別な手続きはありますか? はい。マイナンバーと基礎年金番号が未結合の場合は「ローマ字氏名届」の提出が必要です。在留カード・パスポートに記載されたローマ字氏名と年金記録を紐付けるための届出です。

Q4. 帰国する外国人の年金保険料はどうなりますか? 日本に住所を有しなくなった日から2年以内に「脱退一時金」を請求できます。外国人本人が申請する制度です。帰国前に必ず説明し、申請方法を案内することが重要です。

Q5. 社会保障協定がある国の外国人は保険料が免除されますか? 社会保障協定の対象は主に派遣社員などが対象で、特定技能外国人は通常対象外です。ただし一部の国籍の外国人については加入期間の通算が認められる場合があります。個別に確認することをおすすめします。

本文

特定技能外国人が加入すべき保険

特定技能外国人が加入すべき保険は以下の5つです。要件を満たす場合はすべて加入が義務です。

保険の種類加入条件保険料負担
健康保険フルタイムまたは所定労働時間が3/4以上労使折半
厚生年金保険同上労使折半
雇用保険週20時間以上・31日以上の雇用見込み労使双方(割合は異なる)
労災保険雇用関係があること事業主100%負担
介護保険40歳以上で健康保険加入者健康保険料に含まれる(労使折半)

特定技能はフルタイムでの直接雇用が原則のため、上記すべてに加入することが一般的です。

健康保険・厚生年金保険の手続き

加入手続き 入社日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を日本年金機構(または事務センター)に提出します。

外国人特有の手続き:ローマ字氏名届 マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない外国人(または個人番号制度の対象外の方)については、資格取得届と一緒に「ローマ字氏名届」の提出が必要です。

ローマ字氏名届を提出する目的は、在留カード・パスポートに記載されたローマ字氏名と年金記録上の被保険者名を紐付けておくことです。提出がないと年金記録の照会や脱退一時金の請求に支障が生じることがあります。

在留カードのコピーを社内保管 社会保険の手続き・ローマ字氏名届の作成のために、在留カードのコピーを社内で保管しておくことをおすすめします。

保険料の天引き 健康保険・厚生年金保険の保険料は事業主と被保険者が折半して負担します。毎月の給与から被保険者負担分を天引きし、事業主負担分と合わせて納付します。

雇用保険の手続き

加入条件

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがあること

特定技能はフルタイムが原則のため、ほぼすべての場合に加入対象となります。

手続き 入社後、管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。提出期限は雇用した翌月10日まで(原則)です。

外国人雇用状況の届出 外国人を雇用した際は、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」も必要です。雇用保険の被保険者となる場合は資格取得届と同時に対応できます。届出期限は雇い入れの翌月10日まで(雇用保険被保険者の場合は資格取得届提出時)です。

労災保険について

労災保険は事業主が100%負担する保険で、業務上・通勤途上の災害に対応します。外国人であっても日本人と同様に労災保険の対象です。

特定技能外国人が業務中に怪我をした場合は、日本人と同様に労災申請が可能です。「外国人だから労災を使えない」という誤解が生じることがありますが、これは誤りです。外国人本人に対しても、入社時に労災制度の内容を母国語で説明しておくことが重要です。

年金と脱退一時金の説明義務

外国人が年金保険料の支払いを嫌がる・不信感を持つケースが多くあります。その多くは「帰国後に年金を受け取れないなら払いたくない」という理由です。

この問題への対応として脱退一時金制度の説明が重要です。

脱退一時金とは 日本の厚生年金(または国民年金)に加入していた外国人が帰国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に払い戻しを請求できる制度です。支払った保険料の一部が戻ってきます(請求は外国人本人が行います)。

説明のポイント

  • 帰国後2年以内に申請が必要(申請しないと時効・掛け捨て)
  • 申請は日本年金機構への書面提出で可能
  • 払い戻し金額は加入期間・保険料額によって異なる
  • 申請方法・必要書類を生活オリエンテーション時または退職時に母国語で説明する

社会保障協定 日本と社会保障協定を締結している国(2025年時点で23か国:フィリピン・インドネシア・中国・韓国・インドなど)の外国人は、日本での年金加入期間と本国の年金加入期間を通算できる場合があります。通算することで将来年金を受け取れる可能性が高まるため、説明することで外国人の安心感につながります。

社会保険未加入が与える影響

社会保険・雇用保険の未加入(または保険料の滞納)は、特定技能の受入れ継続に深刻な影響を与えます。

①在留資格の更新不許可 在留資格の更新申請時に、社会保険料・税金の納付状況が確認されます。滞納がある場合は更新が不許可となる可能性があります。

②特定技能の受入れ機関としての欠格事由 社会保険に関する法令を遵守していないことは、受入れ機関の欠格事由に該当する場合があります。

③追徴金 未加入が発覚した場合は過去2年分の保険料を遡及徴収されます。

保険料の給与天引きの注意点

法定の保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)は労使協定なしで給与天引きが可能ですが、任意保険(火災保険・生命保険など)を給与から天引きする場合は労使協定の締結が必要です。未締結で任意保険を天引きすると労働基準法違反になります。

また、住居費・光熱費などを給与から控除する場合も、労使協定の締結と外国人本人への事前説明が必要です。控除の内容を外国人が理解できる言語で説明し、同意を得ることが重要です。

社会保険加入状況の確認書類

在留資格申請・更新時には以下の書類で社会保険の加入・納付状況を証明します。

  • 社会保険料納入証明書(年金事務所発行)
  • 社会保険料納入確認書(年金事務所発行)
  • 健康保険・厚生年金保険料領収証書
  • 雇用保険料の確認書類(労働保険料申告書の控えなど)

これらを適切に保管しておくことで、更新申請時にスムーズに提出できます。

当事務所に相談できること

行政書士アーチ事務所では、特定技能外国人の保険手続きに関して以下のサポートを提供しています。

  • 在留資格申請書類の作成・取次:社会保険加入状況の確認・書類整備を含めた申請書類の作成をサポートします。
  • 登録支援機関としての支援受託:生活オリエンテーションでの保険制度・脱退一時金の説明も行います。
  • 保険手続きの整備確認:現在の保険加入状況が適正かどうかの確認をアドバイスします。

FAQ

Q1. 雇用保険に加入したことをハローワークに届け出るタイミングはいつですか? 雇用した翌月10日までが原則ですが、資格取得届の提出は速やかに行うことをおすすめします。提出時に「外国人雇用状況の届出」も同時に処理できます。

Q2. 外国人本人が社会保険への加入を嫌がる場合はどうすればよいですか? 法令上の義務であるため拒否はできません。ただし嫌がる理由(脱退一時金の存在を知らない・制度を理解していないなど)を母国語で確認し、丁寧に説明することで理解を得ることが重要です。

Q3. 保険証はいつ発行されますか? 健康保険の被保険者証は資格取得届の提出後、おおむね1〜2週間程度で届きます。マイナ保険証(マイナンバーカードの保険証利用)に切り替えている場合はマイナンバーカードで受診が可能です。

Q4. 退職時の社会保険手続きは何が必要ですか? 健康保険・厚生年金の資格喪失届(退職日の翌日から5日以内)、雇用保険の資格喪失届(退職日の翌日から10日以内)の提出が必要です。退職後は外国人本人への脱退一時金の説明も忘れずに行ってください。

Q5. 社会保障協定の手続きは特定技能外国人に適用されますか? 社会保障協定は主に企業から派遣される社員(一時派遣)に適用される制度です。特定技能外国人として直接雇用される場合は通常適用されません。ただし加入期間の通算については協定によって異なります。個別にご確認ください。

まとめ

特定技能外国人も日本人と同様に社会保険・雇用保険への加入が義務です。未加入は在留資格更新不許可・追徴金のリスクに直結します。外国人特有の手続きとして「ローマ字氏名届」の提出・退職時の「脱退一時金」の説明・社会保障協定の確認が重要です。

保険料の給与天引きの際は、法定保険料と任意保険の区別(任意保険は労使協定が必要)にも注意が必要です。

企業が次に確認すべきこと

  1. 現在受け入れている特定技能外国人の社会保険・雇用保険の加入状況を確認する
  2. ローマ字氏名届の提出が必要かどうかを確認する
  3. 社会保険料・税金の滞納がないかを確認する(更新申請前の重要確認事項)
  4. 退職・帰国時の脱退一時金の案内フローを整備する

保険手続きの整備・在留資格申請サポートについてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。

ONLINE CONSULTATION

大阪市を拠点に、オンラインで全国対応しています

行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続きのご相談を全国から受け付けています。 大阪府内の方はもちろん、遠方にお住まいの方や来所が難しい方も、LINE・WeChat・電話・お問い合わせフォームを使って申請準備を進めることができます。

家族滞在、永住申請、日本人配偶者ビザなどは、収入・同居実態・扶養状況・税金や年金の納付状況など、個別事情によって確認すべき点が変わります。 ご自身のケースで不安がある場合は、申請前に一度ご相談ください。

WHY ARCH OFFICE

行政書士アーチ事務所が選ばれる理由

ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。

01

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特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。

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