特定技能「宿泊」の要件・協議会・必要書類【2026年最新版】
特定技能「宿泊」の受入れ要件・試験・対象業務・協議会加入手続き・必要書類を解説。旅館業法の許可・接待禁止・民泊不可など宿泊分野特有の注意点を行政書士が説明します。
導入
「ホテル・旅館で特定技能外国人を受け入れるには何が必要か」「ゲストハウスや民泊でも受け入れられるのか」「接待はどこまで禁止されているのか」——宿泊業の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。
特定技能「宿泊」は、インバウンド需要の回復・拡大に伴い慢性的な人手不足が続くホテル・旅館業界での外国人受入れを可能にする分野です。受入れには、外国人本人の試験合格に加えて、受入れ施設が「旅館業法に基づく旅館・ホテル営業の許可」を取得していること・接待業務を行わせないことなど、分野特有の要件があります。
この記事では、特定技能「宿泊」の要件・試験・対象業務・協議会・必要書類を最新情報に基づいて解説します。
このページの要点
Q1. 特定技能「宿泊」で従事できる業務は何ですか? フロント業務・企画広報業務・接客業務・レストランサービス業務など、宿泊サービスの提供に係る業務全般です。これらの業務に付随する関連業務(館内販売・備品点検など)にも従事できますが、関連業務のみに専従させることは認められません。
Q2. ゲストハウス・民泊・ペンションでも受け入れられますか? いいえ。受入れ可能な施設は旅館業法第2条第2項に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けた施設に限られます。簡易宿所(ゲストハウス・ペンション・民宿など)・下宿・民泊(住宅宿泊事業法に基づくもの)では受け入れることができません。
Q3. 協議会加入のタイミングはいつですか? 在留資格申請の前に宿泊分野特定技能協議会に加入し、入会通知書(観光庁発行)の取得が必要です。入会通知書の発行まで申請から1か月程度かかるため、早めに手続きを進めることが重要です。
Q4. 接待はすべて禁止されていますか? 風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」(歓楽的な雰囲気を演出して客をもてなす行為)を行わせることが禁止されています。一般的なフロント対応・案内・レストランでの配膳などは接待には当たらず、通常の宿泊サービス業務として認められています。
Q5. 特定技能2号はありますか? はい。2023年6月の閣議決定により宿泊分野でも特定技能2号が対象になりました。2号取得には宿泊施設での複数従業員を指導しながらの2年以上の実務経験と2号評価試験への合格が必要です。
本文
特定技能「宿泊」の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所管省庁 | 国土交通省(観光庁) |
| 業務区分 | 1区分(宿泊) |
| 特定技能2号 | あり(2023年6月閣議決定) |
| 受入れ上限 | 設定なし |
| 雇用形態 | 直接雇用のみ(派遣不可) |
| 協議会 | 宿泊分野特定技能協議会(事務局:観光庁観光人材政策担当参事官室) |
| 協議会費用 | 無料 |
| 施設要件 | 旅館業法第2条第2項に規定する旅館・ホテル営業の許可を受けた施設 |
対象業務
必須業務(主たる業務)
- フロント業務:チェックイン・チェックアウト対応、周辺観光地情報の案内、ホテル発着ツアーの手配、電話・メール対応など
- 企画・広報業務:キャンペーン・特別プランの立案、館内案内チラシの作成、ホームページ・SNSでの情報発信など
- 接客業務:館内での案内、宿泊客からの問い合わせ対応など
- レストランサービス業務:注文への応対、配膳・片付け、料理の下ごしらえ・盛りつけなど
関連業務(付随的に従事可能)
- 旅館・ホテルの施設内土産物等売店における販売業務
- 旅館・ホテルの施設内備品の点検・交換業務
注意:関連業務のみに専従させることは認められません。 上記の宿泊サービス業務を主たる業務として従事していることが必要です。
受入れ施設の要件
①旅館業法に基づく「旅館・ホテル営業」の許可 旅館業法第2条第2項に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けた施設であることが必要です。
受入れ可能な施設の例
- シティホテル・ビジネスホテル
- 旅館・温泉旅館
- リゾートホテル
受入れできない施設
- 簡易宿所(ゲストハウス・ペンション・民宿・ドミトリーなど)
- 下宿
- 民泊(住宅宿泊事業法に基づく事業者)
- 旅館・ホテル営業許可を持たない施設
②風俗営業法に該当する施設でないこと 風俗営業法第2条第6項第4号に規定する施設(異性同伴を前提とした宿泊・休憩を目的とする施設)に該当しないことが必要です。
③接待を行わせないこと 特定技能外国人に対して風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」(歓楽的な雰囲気を演出して客をもてなす行為)を行わせることは禁止されています。一般的なフロント対応・案内・レストランサービスは「接待」には該当しません。
④実務経験証明書の発行義務 特定技能外国人から求めがあった場合、実務経験を証明する書面を交付することが義務付けられています。これは特定技能2号の受験資格確認に必要なためです。交付を拒否すると受入れが継続できなくなります。
外国人本人の要件(試験)
パターン①:宿泊業技能測定試験+日本語試験
- 宿泊業技能測定試験(一般社団法人宿泊業技能試験センター実施)に合格
- 日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)に合格
パターン②:技能実習2号修了 宿泊分野に対応する技能実習2号を良好に修了した場合は、技能試験・日本語試験が免除されます。
宿泊業技能測定試験について
- 実施主体:一般社団法人宿泊業技能試験センター(CAIPT)
- 試験内容:学科試験(宿泊業の知識・おもてなし・衛生管理・外国語応対など)
- 国内外で実施
協議会について
協議会名 宿泊分野特定技能協議会
事務局 観光庁観光人材政策担当参事官室 (問い合わせ:コールセンター 0570-052-015、平日10時〜16時)
加入のタイミング 在留資格申請の前に協議会に加入し、入会通知書(観光庁が発行)の取得が必要です。申請から入会通知書の発行まで1か月程度かかります。申請が混み合っている場合はさらに時間がかかることがあるため、在留資格申請の予定日から逆算して余裕をもって申請を行うことが重要です。
加入手続き すべてオンライン手続きです(郵送・紙媒体での受付は行っていません)。 e-Gov電子申請サイトから申請します。
手続きの流れ:
- e-Govアカウントの取得・アプリのインストール
- e-Gov電子申請サイトから入会申請を送信
- 観光庁が審査(所属機関・登録支援機関の両者の申請が完了してから審査開始)
- 審査完了後、入会通知書がメールで届く
- 入会通知書を在留資格申請に使用
自社支援の場合 申請フォームの「登録支援機関」欄に「自社支援」と記載します。
登録支援機関の加入について 支援計画の全部の実施を委託されている登録支援機関も協議会に加入する必要があります。所属機関と登録支援機関の両方の申請が完了してから審査が開始されます。自社支援の場合は申請フォームに「自社支援」と記載し、登録支援機関の申請は不要です。
費用 無料(入会金・年会費なし)
特定技能2号について
2023年6月の閣議決定により、宿泊分野でも特定技能2号の受入れが可能になりました。
2号取得の要件
- 宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント・企画広報・接客・レストランサービス等の業務に2年以上従事した実務経験があること
- 宿泊分野特定技能2号評価試験に合格すること
実務経験の証明 実務経験を証明するため「宿泊分野2号特定技能外国人に求められる実務経験に係る証明書」を宿泊業技能試験センターへ提出します。受入れ企業はこの証明書の発行(交付)を義務として求められます。
2号を取得すると在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になります。
在留資格申請に必要な主な書類
外国人本人に関する書類
- 在留資格変更・認定申請書(最新様式)
- パスポート・在留カードの写し
- 宿泊業技能測定試験の合格証明書
- 日本語試験の合格証明書
- 健康診断個人票
受入れ施設に関する書類
- 特定技能雇用契約書・雇用条件書の写し
- 1号特定技能外国人支援計画書(最新様式)
- 登記事項証明書・納税証明書
- 社会保険・労働保険の納付確認書類
- 旅館業法に基づく旅館・ホテル営業許可証の写し
宿泊分野特有の書類 - 宿泊分野特定技能協議会の入会通知書(観光庁発行)
※書類は制度改正により変更になる場合があります。申請前に入管・観光庁の最新の情報を必ず確認してください。
宿泊分野特有の注意点
①旅館業法の許可確認が最優先 受入れを検討する段階で、まず自施設が「旅館・ホテル営業」の許可を取得しているか確認します。民泊・簡易宿所は対象外であり、許可がなければ受入れは不可能です。
②協議会加入は1か月前倒しで申請 入会通知書の発行に1か月程度(込み合っている場合はそれ以上)かかります。在留資格申請の予定日から逆算して、少なくとも1〜2か月前には協議会への入会申請を完了させることをおすすめします。
③接待の定義に注意 「接待禁止」の範囲を広く捉えすぎて、フロント業務や通常のレストランサービスまで禁止と誤解しているケースがあります。禁止されているのは「歓楽的な雰囲気を演出して客をもてなす行為」であり、通常の宿泊サービス業務は認められています。
④実務経験証明書の交付義務 外国人から求めがあれば実務経験証明書を発行する義務があります。拒否すると受入れ継続ができなくなります。将来の2号取得に向けて実務経験を証明できるよう、日常的に記録を管理しておくことをおすすめします。
⑤委託する登録支援機関も協議会加入が必要 支援計画の全部の実施を委託する登録支援機関も協議会に加入する必要があります。委託先を選ぶ際に加入済みか確認してください。
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、特定技能「宿泊」の受入れに関して以下のサポートを提供しています。
- 協議会加入サポート:e-Gov電子申請による加入手続きの流れをサポートします。
- 在留資格申請書類の作成・取次:旅館業法の許可証確認・分野特有の書類を含めた申請書類の作成・取次を行います。
- 登録支援機関としての支援受託:宿泊分野の支援業務を受託します(当事務所も協議会加入手続きを行います)。
- 2号移行のサポート:実務経験の記録管理・2号評価試験の受験準備・在留資格変更申請をサポートします。
FAQ
Q1. ゲストハウスが旅館業法の許可を取得すれば受け入れられますか? 旅館業法では「旅館・ホテル営業」と「簡易宿所営業」が区別されています。ゲストハウスは一般的に簡易宿所営業に該当するため、旅館・ホテル営業の許可を取得しない限り受け入れることができません。施設の規模・構造によって取得できる許可の種別が異なりますので、都道府県の担当窓口にご確認ください。
Q2. 宿泊業技能測定試験はどこで受験できますか? 一般社団法人宿泊業技能試験センター(CAIPT)が国内外で実施しています。試験日程・申込方法はCAIPTの公式サイト(caipt.or.jp)でご確認ください。
Q3. 外国人にホテルのレストランでの接客をさせることはできますか? はい、可能です。レストランサービス業務(配膳・片付け・注文対応など)は特定技能「宿泊」の対象業務です。ただし「接待」(歓楽的な雰囲気を演出して客をもてなす行為)を行わせることは禁止されています。
Q4. 協議会の入会審査に落ちることはありますか? 旅館業法の許可を持たない施設や、要件を満たさない場合は審査で認められないことがあります。申請前に要件を十分に確認してから申請することが重要です。
Q5. 技能実習「宿泊」を修了した場合、特定技能への移行は簡単ですか? 宿泊分野の技能実習2号を良好に修了した場合は技能試験・日本語試験が免除されるため、試験の準備が不要です。ただし協議会加入・在留資格変更申請の書類準備は必要です。
Q6. 派遣形態での就労は認められていますか? いいえ。宿泊分野では派遣形態での就労は認められていません。受入れ施設との直接雇用のみです。
まとめ
特定技能「宿泊」は、旅館・ホテル営業の許可を持つ施設のみが受け入れ可能で、簡易宿所・民泊・下宿は対象外です。フロント・企画広報・接客・レストランサービスなど宿泊サービス全般の業務に従事できますが、接待業務は禁止されています。
協議会(宿泊分野特定技能協議会)への加入は在留資格申請前に必要で、入会通知書の発行まで1か月程度かかります。在留資格申請の1〜2か月前には加入申請を完了させることをおすすめします。
制度の詳細・書類については変更になる場合があるため、観光庁・入管の最新の公式情報を確認しながら準備を進めることをおすすめします。行政書士アーチ事務所では、特定技能「宿泊」の受入れに関する手続きをサポートしています。お気軽にご相談ください。
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01
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