特定技能

支援実施状況の記録と保存期間の考え方【特定技能・企業向け】

特定技能の支援実施状況の記録種類・記載内容・保存期間・管理方法を解説。定期面談記録・相談記録・生活オリエンテーション確認書など、企業が整備すべき記録を行政書士が説明します。

導入

「支援の記録はどんな書類を作ればよいか」「いつまで保管しなければならないか」「記録がなければどうなるか」——特定技能外国人を受け入れている企業の担当者から、こうした質問をよくいただきます。

特定技能の支援業務には、実施した支援内容を記録として残し、一定期間保管する義務があります。記録が不十分または存在しない場合、更新申請の不許可・行政指導のリスクがあります。

この記事では、以下の3点を中心に解説します。

  1. 作成・保管が必要な支援記録の種類と内容
  2. 保存期間のルール
  3. 実務的な記録管理の方法

結論を先にお伝えすると、支援実施記録の保管義務は特定技能雇用契約の終了日から1年以上です。記録の種類は多岐にわたりますが、入管の参考様式を活用することで漏れを防ぐことができます。

このページの要点

Q1. 支援実施記録はいつまで保管しなければなりませんか? 特定技能雇用契約の終了日から1年以上の保管が義務付けられています。雇用中はもちろん、退職後も1年間は保管が必要です。

Q2. 記録を作成しなかった場合はどうなりますか? 記録がない場合は支援が実施されていないとみなされるリスクがあります。更新申請時の不許可・行政指導の対象となる可能性があります。「実施したが記録がない」では証明になりません。

Q3. 記録は紙でなければなりませんか? 紙・電子データのどちらでも可能です。入管から提示を求められた場合に速やかに提出できる状態で管理することが重要です。

Q4. 登録支援機関に委託している場合、記録の管理は委託先がやってくれますか? 登録支援機関が支援記録を作成・管理することが一般的ですが、記録の最終的な管理責任は受入れ企業にあります。委託先から定期的に記録のコピーを受け取り、自社でも保管しておくことをおすすめします。

Q5. 定期届出に記録は必要ですか? はい。定期届出(年1回・毎年4〜5月)では支援実施状況を報告します。面談記録・相談記録などが根拠書類となるため、適切に作成・保管されていることが必要です。

本文

作成・保管が必要な支援記録の種類

特定技能の支援に関して作成・保管が必要な主な記録は以下のとおりです。

記録の種類参考様式作成タイミング
事前ガイダンス実施記録参考様式第5-1号事前ガイダンス実施後
出入国時の送迎実施記録参考様式第5-2号入国・帰国時の送迎後
住居確保・生活関連手続き支援実施記録参考様式第5-3号手続き支援後
生活オリエンテーション確認書参考様式第5-8号生活オリエンテーション実施後
定期面談報告書(外国人本人)参考様式第5-5号定期面談実施後
定期面談報告書(監督者)参考様式第5-6号定期面談実施後
相談・苦情対応記録任意様式相談・苦情があったとき
日本語学習支援実施記録任意様式情報提供・案内実施後
日本人との交流促進実施記録任意様式交流促進活動実施後
転職支援実施記録(非自発的離職時)参考様式第5-7号転職支援実施後
オンライン面談同意書任意様式オンライン面談の同意取得時

これらの参考様式は出入国在留管理庁の公式サイトから無料でダウンロードできます。様式は制度改正により変更される場合があるため、申請・届出のたびに最新版を確認してください。

各記録の主な記載内容

①事前ガイダンス実施記録(参考様式第5-1号)

  • 実施日・実施方法(対面・オンラインなど)
  • 実施者・参加者(外国人本人)の氏名
  • 説明した主な内容(業務内容・報酬・支援内容・相談窓口など)
  • 使用言語
  • 外国人本人の署名

②生活オリエンテーション確認書(参考様式第5-8号)

  • 実施日・実施時間・実施場所
  • 実施者・参加者の氏名
  • 説明した内容の項目(ゴミ出し・緊急時対応・医療機関など)
  • 使用言語
  • 外国人本人の署名

③定期面談報告書(参考様式第5-5号・第5-6号)

  • 面談実施日・実施時間・実施方法
  • 面談実施者・面談対象者の氏名・役職
  • 使用言語
  • 確認した主な事項と回答内容(具体的に記載)
  • 問題・相談事項の有無(ある場合はその内容と対応状況)
  • 関係機関への通報・相談の有無

④相談・苦情対応記録

  • 相談日時
  • 相談者の氏名
  • 相談内容
  • 対応内容
  • 関係機関への通報・相談の有無
  • その後の経過・解決状況

保存期間のルール

基本ルール:特定技能雇用契約の終了日から1年以上 支援実施記録の保管期間は、特定技能雇用契約の終了日(退職日・在留期限満了日など)から1年以上とされています。

雇用中の記録は当然保管が必要ですが、外国人が退職・帰国した後も1年間は記録を保管し続ける必要があります。

オンライン面談の録画保管:雇用契約終了日から1年以上 オンライン面談の録画については、特定技能雇用契約の終了日から1年以上保管し、入管から閲覧を求められた場合は応じる必要があります。

保管期間終了後の対応 保管義務期間が終了した記録は、個人情報保護の観点からも適切に廃棄・削除することが推奨されます。

記録管理の実務的な方法

①外国人ごとにフォルダ(台帳)を作成する 外国人1人につき1つのフォルダ(紙またはデジタル)を作成し、以下のように整理します。

``` 【フォルダ構成例】 外国人Aさん/ ├── 雇用契約書・雇用条件書 ├── 支援計画書 ├── 事前ガイダンス記録 ├── 生活オリエンテーション確認書 ├── 定期面談記録/ │ ├── 2025年4月面談(外国人) │ ├── 2025年4月面談(監督者) │ ├── 2025年7月面談(外国人) │ └── ... ├── 相談・苦情記録 └── 届出書類の控え ```

②記録の作成タイミングを明確にする 「後でまとめて作成する」は記憶の不正確さや漏れの原因になります。支援実施後できるだけ早い時点(当日または翌日)に記録を作成するルールを設けることが重要です。

③電子データの場合はバックアップを取る 電子データで管理する場合は、定期的にバックアップを取り、データ消失のリスクを防ぎます。クラウドストレージ(Google Drive・Dropboxなど)を活用することで、複数のデバイスからアクセス・バックアップが可能になります。

④担当者が変わっても引き継げる管理体制 支援担当者が交代した際に記録が適切に引き継がれるよう、記録の保管場所・フォルダ構成・命名規則などを社内でルール化しておくことが重要です。

登録支援機関に委託している場合の記録管理

登録支援機関に支援業務を委託している場合でも、記録の最終的な管理責任は受入れ企業にあります。

委託している場合のおすすめ対応

  • 定期的に(少なくとも3か月に1回)委託先から面談記録・支援実施記録のコピーを受け取る
  • 登録支援機関を変更する際は、過去の記録をすべて受け取ることを解約条件に含める
  • 委託先の記録管理状況を定期的に確認する

委託先が「記録はこちらで管理しています」と言っていても、受入れ企業として記録の内容を把握しておくことが重要です。

記録が不十分な場合のリスク

記録が不十分または存在しない場合、以下のリスクが生じます。

  • 更新申請の不許可:支援が実施されていないとみなされる
  • 行政指導・勧告:支援計画の不履行として指摘される
  • 定期届出の記載不備:根拠となる記録がないため報告内容が不正確になる
  • 登録支援機関変更時の引き継ぎ困難:過去の支援状況が把握できなくなる

「支援は実施したが記録がない」という状況は、実施していないと同じリスクを負います。記録の作成・保管は支援の実施と同等に重要です。

よくある記録管理の失敗と対策

「後でまとめて書く」 記憶が薄れる・書き漏れが生じる原因です。面談・支援実施直後に記録する習慣を徹底してください。

「問題なし」のみの記載 「問題なし」だけでは具体的な確認内容が不明で、審査で不十分と判断される場合があります。実際に確認した事項と回答を具体的に記載してください。

担当者のパソコンのみに保存 担当者が退職すると記録にアクセスできなくなるリスクがあります。共有サーバー・クラウドストレージに保存するルールを整えてください。

保管期間を把握していない 雇用契約終了後1年以上の保管義務を知らず、退職後すぐに記録を廃棄してしまうケースがあります。退職者の記録も1年間は保管してください。

当事務所に相談できること

行政書士アーチ事務所では、支援記録の管理に関して以下のサポートを提供しています。

  • 登録支援機関としての記録作成・管理:面談記録・支援実施記録の作成・保管を受託します。
  • 記録管理フォーマットの提供:自社での記録管理に使いやすいフォーマットを提供します。
  • 既存記録の点検:現在の記録管理が適切かどうかを確認し、不備があれば改善策をアドバイスします。
  • 定期届出の書類作成サポート:支援実施記録をもとにした定期届出書類の作成をサポートします。

「記録管理の体制を整えたい」「今の記録が適切かどうか確認してほしい」という段階からのご相談も歓迎しています。

FAQ

Q1. 参考様式以外の自由様式で記録を作成してもよいですか? はい、自由様式での作成も可能です。ただし参考様式を使用することで記載漏れを防ぎやすくなります。自由様式を使用する場合は参考様式の記載項目を参考に、必要な情報が含まれているか確認してください。

Q2. 記録は日本語で作成しなければなりませんか? 日本語での作成が基本ですが、外国人本人が署名する確認書については母国語版も用意することが望ましいです。入管から提示を求められた際に内容が確認できる状態であることが重要です。

Q3. 退職した外国人の記録は誰が保管しますか? 受入れ企業が保管する義務があります。退職後も雇用契約終了日から1年以上保管してください。登録支援機関を利用していた場合も、企業として記録のコピーを保管しておくことをおすすめします。

Q4. 入管から記録の提示を求められた場合、どう対応しますか? 速やかに要求された記録を提示できる状態で管理しておくことが重要です。提示できない場合は支援が実施されていないとみなされるリスクがあります。

Q5. 支援記録はいつから作成する必要がありますか? 在留資格の許可日(入国日または在留資格変更許可日)から支援が開始されるため、その日以降に実施した支援について記録を作成します。事前ガイダンスは在留資格申請前に実施するため、申請前から記録が始まります。

Q6. 相談記録は何件分保管すればよいですか? 在留期間中に発生したすべての相談・苦情について記録を作成・保管します。相談がなかった場合は記録の作成は不要ですが、定期面談記録に「相談・苦情なし」と記載することが望ましいです。

まとめ

特定技能の支援実施記録は、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・定期面談・相談対応など多岐にわたります。保管期間は特定技能雇用契約の終了日から1年以上です。

記録は支援を実施した証明であり、更新申請・定期届出・行政指導への対応において重要な根拠書類となります。「実施したが記録がない」は「実施していない」と同じリスクを負います。外国人ごとのフォルダ管理・即時記録の習慣・バックアップ体制を整え、適切に管理することが重要です。

企業が次に確認すべきこと

  1. 必要な支援記録の種類を確認し、参考様式を入管の公式サイトからダウンロードする
  2. 外国人ごとのフォルダ(台帳)を作成し、記録を整理する
  3. 退職した外国人の記録も雇用契約終了日から1年以上保管されているか確認する
  4. 電子データの場合はバックアップ体制を整え、担当者交代時の引き継ぎルールを設ける

記録管理の体制整備・定期届出書類の作成についてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

行政書士アーチ事務所

行政書士・申請取次行政書士

大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。

ONLINE CONSULTATION

大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています

行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。

受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。

WHY ARCH OFFICE

行政書士アーチ事務所が選ばれる理由

ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。

01

登録支援機関でもある行政書士事務所

特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。

02

有料職業紹介許可を保有

外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。

03

大阪市拠点・全国オンライン対応

大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。

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英語・中国語の相談にも対応

外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。

05

個人向けと企業向けの両方に対応

家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。

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