特定技能で不許可になりやすい理由と対策【2026年最新版】
特定技能の申請が不許可になりやすい理由を企業側・外国人本人側に分けて解説。書類不備・支援計画の不備・欠格事由・業務区分の誤りなど、よくある原因と事前対策を行政書士が詳しく説明します。
導入
「書類をそろえて申請したのに不許可になってしまった」「どの点が問題だったのかわからない」——特定技能の申請に関して、こうした相談が増えています。
特定技能の申請は不許可になるケースが一定数あります。不許可の原因は書類の不備だけでなく、企業側の要件不充足・業務内容の認定・支援計画の記載内容など多岐にわたります。不許可になると再申請が必要になり、入社予定日がずれ込むなど実務上の影響も生じます。
この記事では、以下の3点を中心に解説します。
- 不許可になりやすい主な理由(企業側・外国人本人側)
- 特に注意が必要な落とし穴
- 不許可を防ぐための事前対策
結論を先にお伝えすると、不許可の原因の多くは「事前の確認不足」と「書類・記載内容の不備」です。申請前に要件・書類・業務内容を丁寧に確認することが、不許可リスクを下げる最も効果的な対策です。
このページの要点
Q1. 特定技能の申請が不許可になる主な理由は何ですか? 主な理由は、書類の不備・様式の誤り、企業側の欠格事由該当(社会保険未加入・税金未納など)、業務内容が対象分野の業務区分に合致しない、支援計画書の記載が不十分、外国人本人の要件不充足などです。複数の原因が重なるケースもあります。
Q2. 不許可になった場合はどうすればよいですか? 不許可通知を受けた後、不許可の理由を確認した上で、問題点を修正して再申請することが一般的です。不許可理由によっては専門家への相談が有効です。不許可歴が今後の申請に影響する場合もあるため、再申請前に状況を丁寧に整理することが重要です。
Q3. 書類の様式を間違えると不許可になりますか? 古い様式を使用した場合は受理されない・差し戻されるリスクがあります。特定技能の申請書類は制度改正のたびに様式が更新されます。申請のたびに入管の公式サイトから最新版をダウンロードすることが必須です。
Q4. 更新申請でも不許可になることはありますか? はい。更新は単なる延長ではなく、入管が活動状況・企業の適正性・支援実施状況を改めて確認する手続きです。税証明書の年度間違い・支援記録の欠落・届出義務の未履行などが原因で不許可になるケースがあります。
Q5. 分野によって受入れ自体が停止される場合はありますか? はい。受入れ見込数の上限に達した分野では、新規の在留資格認定証明書の交付が一時停止されることがあります。2026年4月13日以降、外食業分野では海外からの新規呼び寄せや国内での在留資格変更申請が原則不許可となっています。最新情報の確認が必要です。
本文
不許可になりやすい理由①:書類の不備・様式の誤り
特定技能の申請で最も多い不許可・差し戻しの原因が書類の不備です。
古い様式の使用 申請書・支援計画書などの様式は制度改正のたびに更新されます。2025年4月の改正では申請書と支援計画書の様式が変更され、古い様式は受理されません。申請のたびに入管の公式サイトから最新版をダウンロードすることが必須です。
証明書類の有効期限切れ 登記事項証明書・住民票・納税証明書などは発行日から原則3か月以内のものが必要です。書類を早めに取得しすぎると、申請時には有効期限が切れてしまうことがあります。申請予定日から逆算して取得時期を調整することが重要です。
税証明書の年度間違い 更新申請で特に多いミスが、課税証明書・納税証明書・源泉徴収票の年度を誤るケースです。年度を間違えると直ちに不許可にはなりませんが、追加書類の要求で審査が1〜2か月延びることがあります。在留期限ギリギリの申請では特に注意が必要です。
外国語書類への翻訳文の未添付 外国語で作成された書類には日本語翻訳文の添付が必要です。翻訳者の氏名・連絡先の記載が必要な場合もあります。
雇用契約書の言語不備 雇用契約書は外国人本人が理解できる言語での作成が必要です。日本語のみで作成した場合は不受理・不許可の原因となります。
不許可になりやすい理由②:企業側の要件不充足
企業(所属機関)側の要件を満たしていない場合も不許可の原因になります。
社会保険・労働保険の未加入・未納 雇用保険・健康保険・厚生年金への加入が義務付けられており、未加入の場合は申請が認められません。また、税金・社会保険料に未納・滞納がある場合は欠格事由に該当する可能性があります。申請前に必ず加入・納付状況を確認してください。
直近1年以内の非自発的離職者の存在 受入れ希望の業務と同種の業務に従事する日本人労働者を、直近1年以内に企業都合で離職させている場合は受入れが認められない可能性があります。採用計画を立てる際は、自社の雇用状況と照らし合わせて確認が必要です。
協議会への加入漏れ・遅延 受入れ開始後、原則4か月以内に協議会に加入する必要があります。加入が遅れると更新申請に影響が出る場合があります。
届出義務の未履行 随時届出が必要な変更(雇用契約の変更・終了など)を届け出ていない場合、更新時に問題となる場合があります。2025年4月の改正で随時届出の対象範囲が変更されているため、最新の届出要件を確認しておくことが重要です。
不許可になりやすい理由③:業務内容の不一致
特定技能では、従事できる業務が対象分野の業務区分に限定されています。実際の業務内容が業務区分に合致しないと判断された場合は不許可になります。
業務区分の確認不足 「製造業なら特定技能が使える」と大まかに理解していても、業種・業務内容によっては対象外の場合があります。特に製造業系は業務区分が細分化されているため、採用前に自社の業務内容が該当するかを丁寧に確認する必要があります。
主たる業務と付随業務の区別 特定技能外国人は対象業務区分の業務を主として従事する必要があります。対象外の業務が主体になっている実態では、申請内容と実態の乖離として問題になる場合があります。
職務記述書(ジョブディスクリプション)の記載不足 具体的な業務内容を記載した職務記述書の内容が曖昧であったり、業務区分との対応が明確でない場合は追加説明を求められたり不許可になるリスクがあります。
不許可になりやすい理由④:支援計画書の不備
支援計画書は特定技能1号の申請で最も作成に時間がかかる書類であり、不備も生じやすい書類です。
抽象的な記載 10項目の支援について「実施する」「行う」といった抽象的な記載では不十分です。いつ・どのように・誰が実施するかを具体的に記載する必要があります。
古い様式の使用 2025年4月の改正で支援計画書の様式が変更されています。地方公共団体が行う共生社会の施策と連携した支援が要件に加わっており、旧様式は受理されません。
実態と計画内容の乖離 更新申請では、前回の在留期間中に支援計画を実際に実施していたかが審査されます。面談記録・支援記録が適切に作成・保管されていない場合は更新不許可のリスクがあります。
不許可になりやすい理由⑤:外国人本人側の要件不充足
外国人本人の要件が満たされていない場合も不許可の原因となります。
技能試験・日本語試験の合格証明の不備 合格証明書の有効期限切れや、対象業務区分に対応していない試験区分の合格証明書の提出は不許可の原因になります。採用段階で試験の種類・区分・有効期限を確認しておくことが重要です。
技能実習修了による免除の要件不充足 技能実習2号を良好に修了した場合の試験免除は、同一分野であることなど一定の要件があります。免除が適用されると思って進めていたが実際は適用されないケースも起こり得ます。
素行・在留歴の問題 税金・社会保険料の未納歴や、過去の法令違反歴がある場合は不許可の原因になる場合があります。
不許可になりやすい理由⑥:分野による受入れ停止
通常の要件を満たしていても、分野の受入れ上限に達した場合は新規申請が通らないケースがあります。
2026年4月13日以降、外食業分野では受入れ見込数の上限到達を理由として、海外からの新規呼び寄せ(在留資格認定証明書の交付)および国内からの在留資格変更申請が原則不許可となっています。既存の特定技能外国人の在留期間更新は通常どおり行われます。
このように、分野によって新規受入れが停止される場合があります。採用を検討している分野の受入れ状況は、申請前に必ず最新情報を確認することが必要です。
更新申請で特に注意すべきポイント
更新申請は初回申請以上に厳格に審査される局面です。以下の点に特に注意が必要です。
支援記録・面談記録の整備 在留期間中に支援計画どおりに支援を実施し、その記録を適切に保管していることが求められます。記録が不十分な場合は更新不許可のリスクがあります。
税証明書の年度の正確な把握 課税証明書・納税証明書の年度は申請時期によって変わります。年度を間違えると審査が止まり、在留期限に間に合わなくなるリスクがあります。
届出義務の履行確認 随時届出・定期届出が適切に提出されているかを確認します。届出漏れがある場合は更新時に問題となる場合があります。
無資格者による申請書類作成のリスク(2026年1月以降)
2026年1月より、行政書士や弁護士の資格を持たない者が報酬を得て特定技能の申請書類を作成することは禁止されています。登録支援機関が書類作成を名目に報酬を受け取ることも違法となりました。
申請書類の作成は、申請取次の資格を持つ行政書士または弁護士に依頼するか、自社で対応することが必要です。違法な書類作成業者を利用した場合、申請内容の正確性にも問題が生じるリスクがあります。
不許可を防ぐための事前対策チェックリスト
申請前に以下の点を確認しておくことで、不許可リスクを下げることができます。
企業側の確認事項 - 社会保険・雇用保険・労働保険に適切に加入しているか - 税金・社会保険料に未納・滞納がないか - 直近1年以内に同種業務の日本人を非自発的に離職させていないか - 自社の業務内容が対象分野の業務区分に該当するか - 協議会への加入が完了しているか(または加入手続き中か)
書類の確認事項 - 申請書・支援計画書が最新様式か - 証明書類の有効期限が切れていないか - 外国語書類に日本語翻訳文が添付されているか - 雇用契約書が外国人本人が理解できる言語で作成されているか - 対象分野に合った証明書類(試験合格証明・協議会加入証明など)が揃っているか
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、不許可リスクの低減に向けて以下のサポートを行っています。
- 申請前の要件確認:企業側・外国人本人側の要件を申請前に整理し、問題点を事前に把握します。
- 書類の作成・確認:最新様式・最新要件に基づいた書類作成と確認を行います。申請取次も対応しています。
- 支援計画書の作成支援:10項目の支援を具体的かつ適切に記載した支援計画書の作成をサポートします。
- 不許可後の再申請サポート:不許可になった場合の原因整理と再申請に向けた対応をサポートします。
- 更新申請の管理サポート:支援記録の整備・届出義務の管理・更新時期の確認など、継続的なサポートに対応します。
「申請前に不安な点を確認したい」「一度不許可になってしまった」という場合も、お気軽にご相談ください。
FAQ
Q1. 不許可の理由を入管に確認できますか? 不許可の場合、不許可通知とともに理由が示されることがあります。理由が明確でない場合は入管に確認することも可能ですが、詳細な説明が得られない場合もあります。不許可通知を受けた場合は、内容を確認した上で専門家に相談することをおすすめします。
Q2. 不許可になると再申請はできますか? はい、一般的には再申請が可能です。ただし、不許可の原因が解消されていない状態での再申請は再度不許可になるリスクがあります。原因を確認・修正した上で申請することが重要です。
Q3. 審査中に書類の不備が発覚した場合はどうなりますか? 追加書類の提出を求められる場合があります。その場合、審査期間が延びます。在留期限が近い場合は入社日に影響が出る可能性があるため、早めに書類を準備し余裕をもって申請することが重要です。
Q4. 支援計画書の内容と実態が違う場合、どうなりますか? 更新申請時に、前回の在留期間中の支援実施状況が確認されます。計画と実態が大きく乖離している場合や、面談記録が残っていない場合は更新が認められない可能性があります。
Q5. 税金の未納があっても申請できますか? 未納があると欠格事由に該当したり、素行不良と判断されるリスクがあります。申請前に未納分を完納し、完納後の証明書を添付することが対策として有効です。やむを得ない事情がある場合は専門家に相談してください。
Q6. 外食業分野で特定技能を採用したいのですが、現在申請できますか? 2026年4月13日以降、外食業分野では海外からの新規呼び寄せおよび国内での在留資格変更申請が原則不許可となっています。既存の外食業特定技能外国人の更新は影響を受けません。ただし、外食業分野内での転職や技能実習修了者からの移行など一部の例外ルートが認められています。最新の運用状況を必ず確認してください。
Q7. 登録支援機関に申請書類の作成を依頼できますか? 2026年1月より、行政書士・弁護士以外の者が報酬を得て申請書類を作成することは禁止されています。申請書類の作成は行政書士または弁護士に依頼するか、自社で作成する必要があります。
Q8. 不許可を防ぐために一番重要なことは何ですか? 申請前の丁寧な確認が最重要です。要件の充足・最新様式の使用・書類の有効期限管理・業務内容の業務区分との合致を事前に確認することで、多くの不許可は防ぐことができます。不安がある場合は専門家への相談をおすすめします。
まとめ
特定技能の申請が不許可になる原因は、書類の不備・企業側の要件不充足・業務内容の不一致・支援計画書の不備など多岐にわたります。不許可を防ぐためには、申請前の丁寧な確認と準備が最も重要です。
また、2025年4月の制度改正による様式変更・届出要件の変更、2026年1月の行政書士法改正による書類作成ルールの変更など、実務に影響する変化が続いています。制度の最新情報を確認しながら対応することが不可欠です。
企業が次に確認すべきこと
- 社会保険・納税状況など企業側の欠格事由に該当しないかを確認する
- 自社の業務内容が特定技能の対象業務区分に合致するか確認する
- 申請書類が最新様式かどうかを確認する
- 採用予定の分野に受入れ停止措置が出ていないか確認する
申請前の確認・書類作成・支援計画書の整備について不安がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。申請取次から支援計画の実施まで一貫して対応いたします。
RELATED ARTICLES
