特定技能外国人を受け入れる企業の条件【2026年最新版】
特定技能外国人を受け入れる企業(所属機関)に求められる要件を詳しく解説。欠格事由・支援義務・協議会加入・雇用契約の適正性など、受入れ前に確認すべき条件を行政書士がわかりやすく整理します。
導入
「自社は特定技能外国人を受け入れられる条件を満たしているのか」「何を整えれば受入れを開始できるのか」——初めて特定技能の活用を検討する企業の担当者の方から、こうした声をよく聞きます。
特定技能外国人を受け入れる企業(所属機関)には、外国人本人の要件とは別に、企業側が満たすべき要件と、受入れ後に継続的に果たすべき義務があります。これらを事前に把握せずに採用を進めると、申請段階で問題が発覚したり、受入れ後に義務を履行できず行政指導を受けるリスクがあります。
この記事では、以下の3点を中心に解説します。
- 受入れ企業に求められる主な要件(欠格事由・雇用契約・支援体制など)
- 受入れ後に企業が果たすべき継続的な義務
- 条件を満たせるか不安な場合の対処法
結論を先にお伝えすると、受入れ企業の条件は「法令遵守」「適正な雇用契約」「支援体制の整備」「協議会への加入」の4つを軸に整理できます。いずれも受入れ前から準備が必要であり、特に社会保険・納税の状況や過去の法令違反歴は早めに確認しておくことが重要です。
このページの要点
Q1. 特定技能外国人を受け入れられない企業はありますか? はい。出入国・労働関係法令に違反した経歴がある、税金・社会保険料の未納がある、直近1年以内に同種業務の日本人を非自発的に離職させているなどの場合は、受入れが認められない可能性があります。これらは「欠格事由」として法令で定められています。
Q2. 受入れ企業は外国人にどんな支援をしなければなりませんか? 特定技能1号の外国人には、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・日本語学習支援・定期面談など10項目の支援が義務付けられています。支援は登録支援機関に全部委託することもできます。
Q3. 協議会への加入はいつまでに必要ですか? 受入れを開始した後、原則として4か月以内に対象分野の協議会に加入する必要があります。分野によって加入タイミングや手続きが異なります。加入できない場合は受入れが認められなくなる可能性があるため、早めに確認してください。
Q4. 特定技能外国人の給与はどう決めればよいですか? 同等の業務に従事する日本人の報酬と同等以上であることが必要です。最低賃金を下回ることは認められません。外国人であることを理由とした差別的な待遇は禁止されています。
Q5. 自社支援と登録支援機関委託の違いは何ですか? 自社支援は企業が自ら支援計画を実施する方法で、要件(支援責任者・支援担当者の設置など)を満たす必要があります。登録支援機関に全部委託した場合は支援計画の実施義務を果たしたものとみなされます。いずれも支援の最終的な責任は企業にあります。
本文
受入れ企業(所属機関)とは
特定技能制度において、外国人を雇用する企業・事業者のことを「所属機関」または「受入れ機関」と呼びます。受入れ企業は、外国人本人の要件(技能試験・日本語試験の合格など)とは別に、企業側としての要件を満たす必要があります。
要件は大きく「受入れ開始前に満たすべき要件」と「受入れ後に継続的に果たすべき義務」に分かれます。
受入れ企業に求められる主な要件
①欠格事由に該当しないこと
以下のような欠格事由に該当する場合、受入れが認められません。
- 過去5年以内に出入国・労働関係法令(不法就労助長、労働基準法違反など)の違反があること
- 過去1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていること
- 過去1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていること
- 税金・社会保険料・労働保険料に未納・滞納があること
- 外国人に対して保証金の徴収や違約金を定める契約を締結していること
欠格事由は入管の運用要領で詳細が定められています。制度改正により内容が変わる可能性があるため、申請前に最新情報を確認することが重要です。
②適正な雇用契約の締結
特定技能外国人と締結する雇用契約は、以下の基準を満たす必要があります。
- 報酬額が日本人と同等以上であること
- 所定労働時間が日本人と同等であること
- 報酬の支払い方法・頻度・通貨払いの原則が守られていること
- 一時帰国を希望する場合に有給休暇を取得できる環境があること
外国人であることを理由とした差別的な待遇は禁止されています。また雇用契約書は外国人本人が理解できる言語での作成が必要です。
③支援体制の整備
特定技能1号の外国人を受け入れる場合、支援計画の策定と実施体制が必要です。自社で支援を行う場合(自社支援)は、支援責任者と支援担当者を選任し、所定の要件を満たす必要があります。
支援体制が整えられない場合は、登録支援機関に支援業務を委託することができます。
④分野別協議会への加入
受入れを開始した後、原則として4か月以内に対象分野の協議会に加入する必要があります。協議会への加入が完了していないと、その後の在留資格の更新手続きに影響が出る場合があります。
分野によって協議会の運営主体・加入手続き・加入タイミングが異なります。
⑤届出義務の履行
受入れ後は定期届出(年1回、2026年4月〜5月提出が初回)および随時届出(雇用契約の変更・終了など)を入管に提出する義務があります。
支援義務の内容:10項目の支援とは
特定技能1号の外国人に対しては、以下の10項目の支援を実施する義務があります。
- 事前ガイダンス:入国前に、業務内容・報酬・生活環境などについて説明する
- 出入国時の送迎:入国・帰国時に送迎を行う(または手配する)
- 住居確保・生活関連手続きの支援:住居の確保や生活に必要な契約の支援
- 生活オリエンテーション:日本での生活ルール・制度・支援機関などを説明する
- 日本語学習機会の提供:日本語学習の機会や情報を提供する
- 相談・苦情への対応:職業生活・日常生活・社会生活上の相談に対応する
- 日本人との交流促進:地域社会への参加や日本人との交流を促す
- 転職支援:非自発的離職の場合、転職に必要な支援を行う
- 定期面談:3か月に1回以上、支援責任者または支援担当者が面談を実施する
- 行政機関への情報提供:行政手続きに関する情報を提供する
なお2025年4月の改正により、地方公共団体が行う共生社会の施策と連携した支援が要件に加わりました。支援計画書の様式が更新されているため、最新版を使用することが必要です。
支援業務の全部を登録支援機関に委託した場合は、支援計画の実施義務を果たしたものとみなされます。ただし支援の最終的な責任は受入れ企業にあります。
自社支援と登録支援機関委託の比較
| 項目 | 自社支援 | 登録支援機関委託 |
|---|---|---|
| コスト | 委託費用不要 | 月額費用が発生(目安:1名あたり1.5〜3万円程度) |
| 要件 | 支援責任者・担当者の選任が必要 | 委託先との契約締結が必要 |
| 書類管理 | 自社で面談記録・支援記録を管理 | 委託先が管理・作成 |
| 対応言語 | 外国人が理解できる言語での対応が必要 | 委託先が対応 |
| 責任の所在 | 企業(自社) | 企業(最終的な責任は変わらない) |
特定技能外国人を受け入れている企業の多くが登録支援機関を利用しているとされています。一方で、受入れ人数が増えてきた段階で自社支援への切り替えを検討するケースも増えています。
当事務所では、登録支援機関として支援業務の受託に加え、自社支援への切り替えを検討している企業向けのサポートも行っています。
分野別協議会とは
分野別協議会は、各特定産業分野の所管省庁・受入れ企業・有識者などで構成される組織です。制度の適正運用や問題解決を目的として設けられており、受入れ企業は必ず加入する必要があります。
協議会の主な役割は、受入れの適正化に向けた情報共有・課題対応・外国人の保護です。
加入のタイミングや手続きは分野によって異なります。たとえば介護分野では協議会への入会申請後に証明書が発行され、その証明書を申請書類に添付する必要があります。建設分野では申請前に加入が必要な場合もあります。
※協議会の加入タイミング・手続き・費用は分野によって異なり、変更される可能性があります。最新情報は各分野の所管省庁または協議会の公式情報をご確認ください。
受入れ後に企業が果たすべき継続的な義務
受入れを開始した後も、以下の義務が継続的に課されます。
定期届出(年1回) 2025年4月の改正により、定期届出は年4回から年1回に変更されました。対象年度(4月1日〜翌年3月31日)の受入れ・活動・支援実施状況を翌年4月1日〜5月31日に提出します。初回は2026年4〜5月が対象です。
随時届出 雇用契約の変更・終了、支援責任者の変更、協議会への加入など、変更が生じた際は随時届出が必要です。届出の種類と期限は変更の内容によって異なります。
定期面談 支援責任者または支援担当者が3か月に1回以上、外国人本人および監督者と面談を実施し、記録を作成・保管する必要があります。定期届出が年1回になった後も、面談の頻度は変わりません。
支援記録の保管 支援の実施状況を記録し、適切に保管する義務があります。
受入れ前に自社でチェックすべきポイント
受入れを検討している企業は、以下の点を事前に確認しておくことをおすすめします。
- 社会保険(健康保険・厚生年金)・雇用保険に適切に加入しているか
- 税金・社会保険料・労働保険料の未納・滞納がないか
- 過去5年以内に出入国・労働関係法令の違反がないか
- 直近1年以内に同種業務の日本人を非自発的に離職させていないか
- 自社の業種・業務が特定技能の対象分野・業務区分に該当するか
- 支援を自社で行うか、登録支援機関に委託するかを決める
- 対象分野の協議会の加入手続きを確認する
不許可・受入れ停止になりやすいケース
以下のようなケースでは申請が不許可になったり、受入れ継続が困難になる場合があります。
- 社会保険・労働保険の未加入が判明した
- 申請書類の不備や虚偽記載があった
- 協議会への加入が期限内に完了しなかった
- 支援計画書の内容が実態と乖離していた
- 同種業務の日本人を直近1年以内に非自発的に離職させていた
- 届出義務を怠っていた
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、受入れ企業の条件確認から受入れ後のサポートまで、以下の対応が可能です。
- 受入れ前の要件確認:欠格事由・社会保険・労働保険の加入状況など、受入れ前に確認すべきポイントを整理します。
- 申請書類の作成・取次:在留資格認定・変更申請に必要な書類の作成と申請取次を行います。
- 支援計画書の作成確認:最新様式に対応した支援計画書の内容確認・作成サポートをします。
- 登録支援機関としての支援受託:支援計画の実施から面談記録・届出対応まで一貫して対応できます。
- 自社支援切り替えのサポート:委託から自社支援に切り替えたい企業の要件確認・体制整備をサポートします。
- 労務面の整理:必要に応じて、社会保険・労働保険の加入状況など労務面の確認もサポートします。
「受入れ前に自社の状況を整理したい」という段階からのご相談も歓迎しています。
FAQ
Q1. 小規模な会社でも特定技能外国人を受け入れられますか? 企業の規模による制限はありませんが、欠格事由に該当しないこと・支援体制の整備・協議会加入などの要件は規模に関係なく求められます。小規模企業の場合は支援業務を登録支援機関に委託することで対応しやすくなります。
Q2. 社会保険に加入していない会社は受け入れできませんか? 社会保険(健康保険・厚生年金)・雇用保険への適切な加入は受入れの前提条件です。法令上加入義務がある事業者が未加入の場合は、受入れ申請が認められない可能性があります。まず加入状況を確認し、未加入であれば早急に対応することが必要です。
Q3. 過去に労働基準法違反を指摘されたことがあります。受け入れは難しいですか? 違反の内容・時期・改善状況によって対応が異なります。過去5年以内の重大な違反は欠格事由に該当する場合があります。個別の状況によって判断が変わるため、専門家に相談の上で確認することをおすすめします。
Q4. 支援責任者と支援担当者は別の人物でなければなりませんか? 同一人物が兼任することも可能です。ただし、支援責任者には一定の要件(過去5年以内に出入国・労働関係法令違反がないことなど)が求められます。
Q5. 協議会への加入に費用はかかりますか? 分野によって異なります。介護分野の協議会は入会費・年会費が無料とされています。費用・加入方法は分野ごとに異なるため、各分野の所管省庁または協議会の公式情報で確認してください。
Q6. 登録支援機関に委託すれば、企業側の義務はなくなりますか? いいえ。支援業務の全部を委託した場合、支援計画の実施義務を果たしたものとみなされますが、支援の最終的な責任は受入れ企業にあります。届出義務・雇用契約の適正管理・定期届出の提出なども引き続き企業が対応する必要があります。
Q7. 受入れ人数に上限はありますか? 分野によって受入れ上限が設けられている場合があります。また、企業単位での受入れ上限が設定されている分野もあります。特に建設分野・介護分野などは上限の確認が重要です。最新情報は所管省庁の公式情報でご確認ください。
Q8. 自社支援に切り替えるには何が必要ですか? 支援責任者・支援担当者の選任、支援計画の修正・再提出、登録支援機関との委託契約の終了などが必要です。切り替えに際して入管への届出も必要となります。要件を整理した上で計画的に進めることをおすすめします。
まとめ
特定技能外国人を受け入れる企業には、欠格事由に該当しないこと・適正な雇用契約の締結・支援体制の整備・協議会加入・届出義務の履行という複数の要件と義務があります。これらは受入れ開始前から確認・準備を進めることが重要です。
制度は引き続き改正される可能性があるため、申請前および受入れ後も定期的に最新情報を確認することをおすすめします。
企業が次に確認すべきこと
- 欠格事由に該当しないか(社会保険・納税・法令違反歴)
- 自社の業種・業務が特定技能の対象かどうか
- 支援を自社で行うか登録支援機関に委託するかを決める
- 対象分野の協議会の加入手続きを確認する
受入れの要件確認から申請・支援まで、一貫してサポートを希望される企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。
RELATED ARTICLES
