特定技能の支援義務を怠った場合のリスク【企業向け・2026年最新版】
特定技能の支援義務を怠った場合に企業が負うリスクを解説。罰則・受入れ停止・在留資格取消し・行政指導など、義務不履行がもたらす具体的な影響を行政書士がわかりやすく説明します。
導入
「支援計画書は作ったが、実際の支援はほとんどできていない」「定期面談の記録が残っていない」「届出の期限を過ぎてしまった」——特定技能外国人を受け入れている企業の担当者から、こうした声を聞くことがあります。
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、10項目の義務的支援・定期面談・各種届出など多くの義務があります。これらを怠った場合、罰則・受入れ停止・行政指導・在留資格の取消しなど、企業経営に直接影響するリスクが生じます。
この記事では、以下の3点を中心に解説します。
- 支援義務不履行・届出義務違反に対する罰則とペナルティ
- 義務を怠ることで生じる実務上の影響
- リスクを防ぐための日常的な対策
結論を先にお伝えすると、支援義務の不履行は単なる「書類上の問題」ではなく、特定技能外国人の受入れ継続ができなくなる・将来の採用が制限されるという直接的なビジネスリスクにつながります。形式的な対応ではなく、実態に即した支援の実施が重要です。
このページの要点
Q1. 支援義務を怠った場合、罰則はありますか? はい。届出義務の不履行・虚偽の届出は入管法上30万円以下の罰金の対象となります。また支援義務の重大な不履行は在留資格の取消し事由や受入れ機関としての欠格事由に該当する可能性があります。
Q2. 定期面談を実施しなかった場合どうなりますか? 定期面談の不実施は支援計画の不履行として扱われ、更新申請時に問題となります。面談記録が存在しない場合、支援が実施されていないとみなされ、更新が認められない可能性があります。
Q3. 届出の期限を過ぎた場合はどうなりますか? 随時届出の期限(14日以内)を過ぎた場合、入管法上の義務違反となります。気づいた時点で速やかに提出することが重要ですが、遅延は受入れ継続に影響する可能性があります。
Q4. 支援義務の不履行は特定技能外国人の在留資格に影響しますか? はい。支援義務が適切に履行されていないことが判明した場合、外国人の在留資格が取り消される可能性があります。外国人本人にとっても重大な不利益となります。
Q5. 軽微な義務違反でも受入れが停止されますか? 軽微な違反でも指導・勧告の対象となる場合があります。指導・勧告に従わない場合や重大な違反の場合は、受入れ機関としての認定が取り消され、特定技能外国人の受入れができなくなる可能性があります。
本文
特定技能企業に課される主な義務
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には以下の主な義務があります。
支援義務(特定技能1号のみ)
- 支援計画に基づく10項目の義務的支援の実施
- 3か月に1回以上の定期面談の実施・記録
- 支援実施記録の作成・保管(雇用契約終了後1年以上)
届出義務
- 定期届出(年1回・毎年4〜5月)
- 随時届出(事由発生から14日以内)
雇用管理義務
- 日本人と同等以上の報酬の支払い
- 社会保険・労働保険への適切な加入
- 適正な労働条件の維持
これらのいずれかを怠った場合、段階的なペナルティが課される可能性があります。
リスク①:罰則(30万円以下の罰金)
入管法では以下の行為に対して30万円以下の罰金が規定されています。
- 定期届出・随時届出を行わなかった場合
- 虚偽の内容で届出を行った場合
- 入管職員の調査を妨害した場合
罰金は企業(法人)だけでなく、実際に違反行為を行った担当者個人にも科される場合があります(両罰規定)。
リスク②:行政指導・改善命令
支援義務の不履行・届出義務違反が判明した場合、入管から以下の行政措置が取られる可能性があります。
指導 まず改善を求める指導が行われます。指導を受けた段階で速やかに改善することが重要です。
勧告 指導に従わない場合や重大な義務違反がある場合は勧告が行われます。勧告内容と企業名が公表される場合があります。
改善命令 勧告にも従わない場合は改善命令が出されます。命令に違反した場合はさらに重大なペナルティにつながります。
リスク③:受入れ機関としての認定取消し・欠格事由への該当
以下の場合、受入れ機関としての欠格事由に該当し、特定技能外国人の受入れが認められなくなります。
- 出入国・労働関係法令の重大な違反(過去5年以内)
- 支援計画の適正な実施を怠ったことで行政処分を受けた場合
- 特定技能外国人に対する暴行・脅迫・監禁などの重大な人権侵害
- 届出義務の重大な不履行
欠格事由に該当すると、受入れ中の特定技能外国人の在留資格更新が認められなくなるだけでなく、新たな受入れもできなくなります。
リスク④:特定技能外国人の在留資格取消し
受入れ機関の義務違反は、特定技能外国人本人の在留資格にも影響します。
- 企業の支援義務不履行が原因で外国人が適切な支援を受けられなかった場合
- 企業が欠格事由に該当した場合
- 外国人が実際には特定技能の活動を行っていないと認められた場合
在留資格が取り消された外国人は日本に在留できなくなり、強制退去の対象となります。企業にとっても即戦力を失う深刻な事態です。
リスク⑤:更新申請の不許可
定期面談の記録不備・支援実施記録の欠落・届出漏れなどは、更新申請の審査で問題となります。
入管は更新申請時に在留期間中の支援実施状況を審査します。以下の状況では不許可リスクが高まります。
- 定期面談の記録が存在しない・不十分
- 支援計画書に記載した支援を実施した証跡がない
- 届出義務が適切に履行されていない
- 支援計画書の記載内容と実態が大きく乖離している
更新不許可は外国人本人の就労継続ができなくなるだけでなく、採用・育成にかけたコストが無駄になるという企業にとっての大きな損失につながります。
リスク⑥:外国人の早期離職・トラブル
支援を怠ることで外国人が孤立し、以下の問題が生じるリスクがあります。
- 職場でのハラスメントや不当な扱いに気づかず放置される
- 生活上のトラブル(住居・健康・行政手続きなど)が解決されず悪化する
- 外国人本人が転職・帰国を選択し早期離職につながる
- 外国人からの苦情がハローワーク・労働基準監督署に持ち込まれる
- SNS等で職場環境への不満が拡散し採用ブランドに悪影響が出る
特定技能の支援義務は外国人保護の観点から設けられており、形式的な対応では外国人の安心・定着につながりません。
「形式的な支援」が招くリスク
支援計画書を作成し、届出は提出していても、実態が伴っていない「形式的な支援」も問題になります。
よくある形式的な対応の例
- 定期面談を実施したことにして記録だけ作成する
- 外国人が内容を理解していないまま支援計画書に署名させる
- 生活オリエンテーションを省略して書類だけ整える
- 相談窓口を設けているが実際には機能していない
入管の調査や外国人からの申告により実態が明らかになった場合、虚偽の届出・支援義務の重大な不履行として、より重いペナルティの対象となります。
リスクを防ぐための日常的な対策
①支援スケジュールの管理 3か月ごとの定期面談・年1回の定期届出を社内カレンダーに登録し、漏れが生じないよう管理します。
②記録の即時作成 面談・支援実施後は速やかに記録を作成します。「後でまとめて書く」は記憶の不正確さや記録漏れの原因になります。
③随時届出の即時対応 退職・雇用条件変更などの事由が生じた時点で、14日以内の届出義務があることを担当者全員が認識し、即座に対応する体制を整えます。
④実態に即した支援の実施 支援計画書に記載した内容を実際に実施することが基本です。実施できない支援は計画書から削除し、実施できる支援のみを記載します。
⑤外国人が相談しやすい環境の整備 問題が表面化しやすい環境を作ることで、早期発見・早期対応が可能になります。担当者が中立的な立場にあることが重要です。
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、支援義務の適正な履行に関して以下のサポートを提供しています。
- 登録支援機関としての支援受託:支援業務を適正に実施し、面談記録・届出管理まで一貫して対応します。
- 支援実施状況の点検:現在の支援実施状況・記録・届出が適正かどうかを確認し、問題点を整理します。
- 届出漏れの対応サポート:届出漏れが発覚した場合の対応策・書類作成をサポートします。
- 更新申請サポート:支援実施状況を踏まえた更新申請書類の作成・取次を行います。
「支援がきちんとできているか不安」「届出漏れがあるかもしれない」という段階からのご相談も歓迎しています。
FAQ
Q1. 届出漏れに気づいた場合、どうすればよいですか? 気づいた時点で速やかに届出を行うことが重要です。遅延の事実は正直に説明し、放置することは避けてください。状況によっては専門家に相談の上、対応することをおすすめします。
Q2. 登録支援機関に委託していれば企業のリスクはなくなりますか? いいえ。支援の最終的な責任は受入れ企業にあります。登録支援機関が適切に支援を実施しているかを企業として確認する義務があります。委託先任せにせず、実施状況を定期的に確認することが重要です。
Q3. 外国人本人が面談を拒否した場合、義務違反になりますか? 外国人本人が拒否した場合でも、企業として面談を実施しようとした事実と、拒否された経緯を記録に残すことが重要です。記録があれば義務の履行に向けた努力として評価されます。
Q4. 支援の一部ができなかった場合(例:送迎が手配できなかった)はどうすればよいですか? 実施できなかった場合は、代替措置(公共交通機関の案内・費用補助など)を講じた上でその内容を記録します。自社支援の場合は「支援計画実施困難に係る届出」が必要になる場合があります。
Q5. 行政指導を受けた場合、すぐに公表されますか? 指導段階では通常公表されません。勧告の段階で公表される可能性があります。指導を受けた段階で速やかに改善することが重要です。
Q6. 外国人が労基署に申告した場合、企業にどんな影響がありますか? 労働基準監督署による調査が入る可能性があります。労働基準法違反が認められた場合は是正勧告・罰則の対象となるほか、特定技能の受入れ継続にも影響します。
Q7. 特定技能2号の外国人には支援義務はありますか? いいえ。特定技能2号には10項目の義務的支援はありません。ただし雇用管理義務・届出義務は引き続き適用されます。
まとめ
特定技能の支援義務を怠った場合のリスクは、①罰金(30万円以下)、②行政指導・改善命令、③受入れ機関としての欠格事由該当、④外国人の在留資格取消し、⑤更新申請の不許可、⑥外国人の早期離職・トラブルの6点に整理できます。
「形式的な支援」も実態の伴わない支援として問題となります。支援計画書に記載した内容を実際に実施し、記録を適切に残すことが、リスク回避の基本です。
企業が次に確認すべきこと
- 直近3か月以内に定期面談を実施し、記録が残っているか確認する
- 随時届出の漏れがないか(退職・雇用条件変更などの事由を確認)
- 定期届出(毎年4〜5月)の準備スケジュールを確認する
- 支援実施記録が適切に作成・保管されているか確認する
支援義務の適正な履行・届出管理・記録整備についてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。
AUTHOR REVIEW
この記事の監修者
行政書士アーチ事務所
行政書士・申請取次行政書士
大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。
ONLINE CONSULTATION
大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています
行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。
受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。
WHY ARCH OFFICE
行政書士アーチ事務所が選ばれる理由
ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。
01
登録支援機関でもある行政書士事務所
特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。
02
有料職業紹介許可を保有
外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。
03
大阪市拠点・全国オンライン対応
大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。
04
英語・中国語の相談にも対応
外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。
05
個人向けと企業向けの両方に対応
家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。
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