特定技能

特定技能外国人の雇用契約書に入れるべき項目【チェックリスト付き・2026年最新版】

特定技能外国人の雇用契約書に入れるべき項目をチェックリスト形式で解説。法令上の必須記載事項・禁止事項・多言語対応・雇用条件書との関係まで行政書士がわかりやすく説明します。

導入

「特定技能の雇用契約書は通常の雇用契約書と何が違うのか」「何を記載しなければならないか」「日本語だけで作成してよいか」——特定技能外国人を受け入れる企業の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。

特定技能の雇用契約書には、通常の雇用契約書の内容に加えて、特定技能制度特有の記載事項があります。記載が不十分であると在留資格申請の不許可・差し戻しにつながります。また必ず外国人が理解できる言語で作成・提供することが法令上求められています。

この記事では、特定技能外国人の雇用契約書に入れるべき項目をチェックリスト形式で整理します。

このページの要点

Q1. 特定技能の雇用契約書に特有の記載事項はありますか? はい。通常の労働契約の記載事項に加え、①一時帰国のための休暇取得、②帰国時の費用負担、③外国人が理解できる言語での作成・提供、が特定技能特有の必須事項です。

Q2. 雇用契約書と雇用条件書はどう違いますか? 雇用契約書は労使双方が署名する契約書類です。雇用条件書は賃金の詳細・労働条件の詳細を別紙として整備するものです。実務上は両方を一体として作成・提供することが一般的です。どちらも外国人が理解できる言語での作成が必要です。

Q3. 雇用契約書は日本語のみで作成してよいですか? いいえ。外国人本人が理解できる言語(母国語または英語など)での作成・提供が必要です。入管の公式サイトには多言語版の参考様式が公開されています。

Q4. 有期契約にすべきですか?無期契約にすべきですか? 特定技能1号は在留期間に上限があるため、在留期間と連動した有期雇用契約が一般的です。在留期間の更新に合わせて契約を更新する形をとります。特定技能2号は在留期間の上限がないため、無期雇用契約も制度上は可能です。

Q5. 雇用契約書に記載してはいけないことはありますか? 違約金・損害賠償の予定、パスポートや在留カードの預かり、強制貯金、保証金の徴収などは禁止されています。これらを記載した契約は無効であり、在留資格申請も不許可となります。

本文

特定技能雇用契約書の基本的な性質

特定技能の雇用契約書は「特定技能雇用契約」として、入管法施行規則および関連省令(特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令)に基づく基準を満たす必要があります。

入管の公式サイトには「特定技能雇用契約書」と「雇用条件書(賃金の支払を含む)」の参考様式が多言語版(ベトナム語・インドネシア語・フィリピン語・英語・中国語など)で公開されています。参考様式を活用することで記載漏れを防ぐことができます。

雇用契約書の必須記載事項

①業務内容 特定技能外国人が従事する業務内容を具体的に記載します。申請する特定技能の分野・業務区分に該当することが必要です。

記載例:「製造ライン作業(食品の製造・加工・品質管理)」「フロント業務・接客業務・レストランサービス業務」

②就業場所 主に就業する場所(事業所の名称・所在地)を記載します。

③労働時間・休憩時間

  • 始業・終業時刻
  • 休憩時間の長さ・時間帯
  • 所定外労働の有無
  • 変形労働時間制を採用している場合はその旨

④休日・休暇

  • 週休日(曜日または変形労働時間制の場合の定め)
  • 年次有給休暇の付与条件
  • 一時帰国のための休暇取得を認める旨(特定技能特有の記載事項)

⑤賃金

  • 基本給の金額・支払方法
  • 各種手当(通勤手当・住宅手当・食事手当など)の種類・金額
  • 賃金締切日・支払日
  • 昇給の有無・条件(建設分野は毎年昇給の記載が必須)

⑥契約期間

  • 契約期間の定め(有期の場合は開始日・終了日)
  • 更新の有無・更新条件

⑦社会保険・労働保険への加入 健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険への加入の旨を記載します。

⑧帰国時の費用負担(特定技能特有の記載事項) 雇用契約終了時に外国人が帰国を希望する場合の渡航費用の負担について記載します。

⑨一時帰国のための休暇(特定技能特有の記載事項) 外国人が一時帰国を希望する場合に、休暇を取得できる旨を記載します。

雇用条件書に記載すべき主な内容

雇用条件書(賃金の支払を含む)は雇用契約書と一体で作成することが一般的です。以下の内容を詳細に記載します。

賃金に関する詳細

  • 基本給の金額(月給制・日給制など)
  • 各手当の種類・金額・支給条件
  • 時間外労働・休日労働・深夜労働の割増率と計算方法
  • 賃金控除の内容(社会保険料・税金・住居費など)
  • 賃金支払日・支払方法

昇給に関する事項

  • 昇給の有無
  • 昇給の基準・時期(建設分野は具体的な記載が必須)

退職に関する事項

  • 自己都合退職の場合の手続き・予告期間
  • 雇用期間満了時の更新・不更新の判断基準

禁止記載事項

以下の内容を記載した契約条項は無効であり、在留資格申請が不許可となります。

①退職・帰国時の違約金・損害賠償の予定 「○か月以内に退職した場合は○万円を支払う」などの違約金条項は労働基準法16条違反です。

②パスポート・在留カードの預かり 「入社時にパスポートを預かる」などの記載は禁止です。

③強制貯金 一定額を強制的に積み立てさせる条項は労働基準法18条違反です。

④保証金の徴収 採用・就労にあたって保証金を徴収する条項は禁止です。

⑤本人の意思に反する帰国妨害 退職・帰国を妨げる条項は無効です。

多言語対応のポイント

参考様式の活用 入管の公式サイトで公開されている多言語版参考様式を活用することで、記載漏れと翻訳の手間を省けます。以下の言語版が公開されています。

  • 日本語・英語・ベトナム語・インドネシア語・フィリピン語(タガログ語)・中国語・カンボジア語(クメール語)・タイ語・ミャンマー語・モンゴル語・ネパール語など

自社様式を使う場合 企業独自の様式を使う場合も、省令で求められているすべての記載事項を含め、外国人が理解できる言語で作成することが必要です。

署名について 外国人本人に内容を十分に説明した上で、自筆で署名させることが重要です。理解していないまま署名させることは避けてください。

2部作成・1部は外国人本人に交付 雇用契約書・雇用条件書は2部作成し、1部は外国人本人に交付します。本人が内容をいつでも確認できる状態にしておくことが重要です。

雇用契約書チェックリスト

雇用契約書を作成・確認する際のチェックリストです。

【必須記載事項の確認】

  • ☐ 業務内容が特定技能の業務区分に該当することを具体的に記載している
  • ☐ 就業場所を記載している
  • ☐ 始業・終業時刻・休憩時間を記載している
  • ☐ 休日(週休日)を記載している
  • ☐ 年次有給休暇の付与条件を記載している
  • ☐ 一時帰国のための休暇取得を認める旨を記載している
  • ☐ 基本給・各種手当の金額・支払日を記載している
  • ☐ 昇給の有無・条件を記載している
  • ☐ 契約期間(有期の場合は更新条件)を記載している
  • ☐ 社会保険・労働保険への加入を記載している
  • ☐ 帰国時の費用負担について記載している

【禁止事項の確認】

  • ☐ 違約金・損害賠償の予定条項がない
  • ☐ パスポート・在留カードの預かり条項がない
  • ☐ 強制貯金条項がない
  • ☐ 保証金徴収条項がない

【多言語対応の確認】

  • ☐ 外国人が理解できる言語(母国語または英語)で作成している
  • ☐ 入管の最新の参考様式または相当の内容で作成している
  • ☐ 外国人本人に内容を説明し、自筆署名を取得している
  • ☐ 1部を外国人本人に交付している

【在留資格申請との整合確認】

  • ☐ 業務内容が在留資格申請書類の記載と一致している
  • ☐ 報酬額が日本人同等以上であることを説明できる
  • ☐ 建設分野の場合:月給制・昇給義務の記載がある

更新時の注意点

在留期間更新のタイミングでは、最新の雇用契約書・雇用条件書の提出が求められます。以下の点を確認してください。

  • 更新後の契約期間が在留期間と整合しているか
  • 給与額が変更になっている場合は最新の金額が記載されているか
  • 業務内容・就業場所に変更がないか
  • 入管の参考様式の最新版を使用しているか(改正により様式が変わることがあります)

当事務所に相談できること

行政書士アーチ事務所では、特定技能外国人の雇用契約書整備に関して以下のサポートを提供しています。

  • 雇用契約書・雇用条件書の確認:法令上の必須記載事項が含まれているか、禁止事項が含まれていないかを確認します。
  • 多言語版の確認:外国人が理解できる言語での作成・翻訳の確認をサポートします。
  • 在留資格申請書類との整合確認:業務内容・報酬額が申請書類と一致しているかを確認します。
  • 更新時の書類確認:更新申請時の最新様式への対応・記載内容の更新をサポートします。

FAQ

Q1. 入管の参考様式をそのまま使えばよいですか? 参考様式は記載項目が網羅されており、活用することをおすすめします。ただし、企業の実情に合わせて空欄を適切に埋めることが重要です。また様式は制度改正で変更されることがあるため、申請のたびに最新版を公式サイトで確認してください。

Q2. 雇用契約書の署名は電子署名でもよいですか? 可能です。ただし電子署名の場合も外国人本人が内容を十分に確認・理解した上で署名することが重要です。電子化する場合は保存・管理方法も整備してください。

Q3. 試用期間を設ける場合の記載は? 試用期間の有無・期間・条件を記載します。試用期間中であっても日本人同等以上の報酬の要件は適用されます。

Q4. アルバイトを特定技能に切り替える場合、雇用契約書を新たに作成しますか? はい。在留資格が変更になるため、特定技能に対応した新しい雇用契約書・雇用条件書を作成し直すことが必要です。アルバイト時代の契約書をそのまま流用することはできません。

Q5. 雇用契約書の内容を変更する場合は届出が必要ですか? 報酬・業務内容など重要な条件を変更する場合は随時届出(雇用契約の変更に係る届出)が必要です。変更のたびに最新の雇用条件書を作成・保管してください。

まとめ

特定技能外国人の雇用契約書には、通常の雇用契約の記載事項に加えて「一時帰国のための休暇」「帰国時の費用負担」という特定技能特有の記載が必要です。また外国人が理解できる言語での作成・提供が義務です。

違約金・パスポートの預かり・強制貯金などの禁止事項が含まれていないことを確認した上で、本記事のチェックリストを活用して適切な契約書を整備してください。

企業が次に確認すべきこと

  1. 本記事のチェックリストで現在の雇用契約書の記載内容を確認する
  2. 外国人が理解できる言語(母国語または英語)で作成・提供しているか確認する
  3. 入管の最新の参考様式を使用しているか確認する
  4. 禁止事項(違約金・パスポート預かりなど)が含まれていないか確認する

行政書士アーチ事務所では、雇用契約書の確認・整備・在留資格申請をサポートしています。お気軽にご相談ください。

ONLINE CONSULTATION

大阪市を拠点に、オンラインで全国対応しています

行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続きのご相談を全国から受け付けています。 大阪府内の方はもちろん、遠方にお住まいの方や来所が難しい方も、LINE・WeChat・電話・お問い合わせフォームを使って申請準備を進めることができます。

家族滞在、永住申請、日本人配偶者ビザなどは、収入・同居実態・扶養状況・税金や年金の納付状況など、個別事情によって確認すべき点が変わります。 ご自身のケースで不安がある場合は、申請前に一度ご相談ください。

WHY ARCH OFFICE

行政書士アーチ事務所が選ばれる理由

ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。

01

登録支援機関でもある行政書士事務所

特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。

02

有料職業紹介許可を保有

外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。

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大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。

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英語・中国語の相談にも対応

外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。

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家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。

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