特定技能

自社支援に切り替える前に確認すべき社内体制【特定技能・チェックリスト付き】

特定技能の自社支援に切り替える前に確認すべき社内体制を解説。支援責任者・担当者の要件、多言語対応、書類管理、届出管理など切り替え前のチェックリストを行政書士が整理します。

導入

「自社支援に切り替えたいが、何から準備すればよいかわからない」「社内体制が整っているかどうか確認したい」——登録支援機関への委託から自社支援への切り替えを検討している企業の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。

自社支援への切り替えは、コスト削減や外国人との関係強化というメリットがある一方、社内体制が整っていない状態で始めると、支援の質の低下・届出漏れ・外国人の不安など多くの問題が生じます。切り替え前に社内体制を丁寧に確認することが成功の鍵です。

この記事では、切り替え前に確認すべき社内体制を6つの観点から整理し、チェックリストとして提示します。

結論を先にお伝えすると、切り替え前に確認すべき体制は「①支援責任者・担当者の選任」「②多言語対応」「③書類管理」「④届出管理」「⑤面談実施体制」「⑥費用・負担の試算」の6点です。これらが整った段階で切り替えを進めることが重要です。

このページの要点

Q1. 自社支援に切り替える前に最低限確認すべきことは何ですか? 支援責任者・支援担当者を要件どおりに選任できるか、外国人が理解できる言語での対応体制を確保できるか、の2点が最優先です。この2点が揃わない状態での切り替えは困難です。

Q2. 外国語が話せる社員がいない場合、自社支援はできませんか? 社員が直接外国語を話せなくても、通訳サービスの活用などで対応体制を整えることは可能です。ただし重要な場面(面談・相談対応など)では正確な意思疎通が必要であり、通訳の確保コストと手間も考慮することが重要です。

Q3. 書類管理はどの程度の体制が必要ですか? 面談記録・支援実施記録・相談記録を外国人ごとに整理・保管できる体制が必要です。雇用契約終了後1年以上の保管義務があります。Excelや専用フォルダでの管理から始めることができます。

Q4. 切り替えに適したタイミングはいつですか? 在留期間更新の2〜3か月以上前が理想です。更新直前の切り替えは書類準備が重なりリスクが高まります。また受入れ開始から少なくとも1〜2年以上経過し、外国人雇用のノウハウが蓄積された段階が現実的です。

Q5. 社内体制が整っていない場合、どうすればよいですか? 無理に切り替えず、引き続き登録支援機関への委託を継続することが現実的な選択肢です。体制が整うまでの間、当事務所のような登録支援機関に委託しながら準備を進めることをおすすめします。

本文

確認ポイント①:支援責任者・支援担当者の選任

自社支援の前提として、要件を満たした支援責任者と支援担当者を企業内から選任できることが必要です。

確認事項

  • 企業として過去2年以内に就労系在留資格を持つ外国人の雇用・管理実績があるか(または個人としての経験を持つ候補者がいるか)
  • 特定技能外国人が所属する部署の直接管理に関与しない立場の社員が候補者として存在するか
  • 候補者が欠格事由(過去5年以内の出入国・労働関係法令違反など)に該当しないか
  • 支援責任者と支援担当者を安定的に確保できるか(担当者退職時の後任を含む)

注意点 社長(代表取締役)は組織図の縦ラインにあるため原則として支援責任者・担当者にはなれません(入管公式Q&A Q95)。規模の小さな会社で現場と管理部門が分離していない場合は、自社支援ができないケースがあります。

チェック

  • ☐ 支援責任者の候補者がいる(役員または職員・欠格事由なし・直接管理に非関与)
  • ☐ 支援担当者の候補者がいる(同上)
  • ☐ 担当者が退職・異動した場合の後任確保の見通しがある

確認ポイント②:多言語対応体制

外国人が理解できる言語(母国語または英語など)での支援実施体制の確保が求められます。

確認事項

  • 受け入れている(または予定している)外国人の国籍・言語を把握しているか
  • 対応できる言語を話せる社員が社内にいるか
  • 社内に対応できる社員がいない場合、電話通訳・ビデオ通訳サービスの契約を検討しているか
  • 重要書類(支援計画書・面談記録・相談対応など)を母国語で作成・説明できる体制があるか

対応言語別の現実的な対応策 ベトナム語・インドネシア語・フィリピン語(タガログ語)などは日本国内での需要が高く、電話通訳・ビデオ通訳サービスで対応できるものが増えています。ただし費用(1分あたり数十円〜)と、緊急時に即対応できるかの確認が必要です。

チェック

  • ☐ 外国人の母国語での対応体制が確保できる(社員または外部通訳サービス)
  • ☐ 面談・相談対応で母国語でのコミュニケーションが可能
  • ☐ 重要書類を母国語で作成・提供できる

確認ポイント③:書類管理体制

支援実施記録・面談記録・相談記録などを適切に作成・保管できる体制が必要です。

確認事項

  • 面談記録(参考様式第5-5号・第5-6号)を面談のたびに作成できる体制があるか
  • 支援実施記録を外国人ごとに整理・管理できる仕組みがあるか
  • 記録を雇用契約終了後1年以上保管できる環境があるか
  • 担当者が変わっても記録を引き継げる管理体制があるか

管理方法の選択肢 | 方法 | メリット | デメリット | |------|---------|---------| | 紙での管理 | すぐに始められる | 検索・引き継ぎが煩雑 | | Excelでの管理 | 比較的容易 | 担当者依存になりやすい | | クラウドストレージ(Google Drive等) | アクセス共有が容易 | 設定・運用ルールが必要 | | 専用管理ツール | 体系的に管理できる | 導入コストが発生 |

チェック

  • ☐ 面談記録・支援記録の作成フローが決まっている
  • ☐ 外国人ごとにフォルダ・台帳を作成して管理できる
  • ☐ 記録の保管場所と保管期間のルールが決まっている

確認ポイント④:届出管理体制

随時届出(14日以内)と定期届出(年1回・4〜5月)を漏れなく提出できる体制が必要です。

確認事項

  • 随時届出の対象事由(退職・雇用条件変更・支援計画変更・受入れ困難など)を把握している担当者がいるか
  • 退職・異動・雇用条件変更などの情報が人事担当者から届出担当者に即座に共有されるフローがあるか
  • 定期届出(毎年4〜5月)のスケジュールが社内カレンダーに登録されているか
  • 電子届出システムへの登録が完了しているか

自社支援特有の届出 自社支援では「支援計画実施困難に係る届出(参考様式第3-7号)」が追加されます。支援が実施できなかった場合や行政機関への相談が必要になった場合に事由発生から14日以内の提出が必要です。

チェック

  • ☐ 随時届出の対象事由一覧を手元に置いている
  • ☐ 変更事由発生時の情報共有フローが社内で決まっている
  • ☐ 定期届出(毎年4〜5月)のスケジュールを登録している
  • ☐ 電子届出システムへの登録が完了している(または予定がある)

確認ポイント⑤:定期面談の実施体制

3か月に1回以上の定期面談を継続的に実施できる体制が必要です。

確認事項

  • 支援担当者が3か月ごとの面談スケジュールを管理・実施できるか
  • 外国人本人と監督者の両方に対して別々に面談を実施できるか
  • 面談を母国語(または外国人が理解できる言語)で実施できるか
  • オンライン面談を実施する場合、録画・保管の体制があるか
  • 面談後に記録を速やかに作成できるか

チェック

  • ☐ 3か月ごとの面談スケジュールを管理する仕組みがある
  • ☐ 外国人本人・監督者の両方への面談体制がある
  • ☐ 母国語での面談または通訳の手配ができる
  • ☐ 面談記録を面談後に作成・保管できる体制がある

確認ポイント⑥:費用・負担の試算

切り替えによるコスト削減効果と、社内コスト増加を比較する必要があります。

削減できるコスト - 登録支援機関への委託費用(月額1.5〜3万円/人)

新たに発生するコスト・負担

  • 担当者の人件費(面談・書類管理・届出対応にかかる時間)
  • 通訳サービス費用(社員が外国語対応できない場合)
  • 書類管理ツールの導入費用(必要に応じて)

試算の考え方 担当者が月に何時間費やすかを見積もり、時給換算した人件費と委託費を比較することが重要です。受入れ人数が多いほど委託費の削減効果が大きくなります。

チェック

  • ☐ 委託費の削減額(月額委託費×人数×12か月)を試算した
  • ☐ 担当者の対応時間(人件費)を見積もった
  • ☐ 通訳サービス等の外部費用を見積もった
  • ☐ トータルのコスト比較をした

切り替えに適さないケースの判断基準

以下の状況が複数当てはまる場合は、切り替えを見送り委託継続を検討することをおすすめします。

  • 支援責任者・担当者の要件を満たす社員が社内にいない
  • 外国語対応できる社員がおらず通訳コストが委託費を上回る
  • 受入れ人数が1〜2名で委託費の削減効果が小さい
  • 担当者の交代が頻繁で継続的な体制維持が困難
  • 在留期間更新が2か月以内に迫っている
  • 外国人雇用を始めてから1年未満でノウハウが不十分

当事務所に相談できること

行政書士アーチ事務所では、自社支援切り替え前の体制確認から実施まで以下のサポートを提供しています。

  • 切り替え前の体制確認:上記の6つの観点で現状をヒアリングし、切り替えの可否と準備すべき点を整理します。
  • 移行期間中の支援受託:体制整備が整うまでの間、当事務所が登録支援機関として支援を継続します。
  • 切り替え手続きのサポート:新支援計画書の作成・届出書類の準備を行います。
  • 自社支援開始後の伴走:面談記録の管理・届出漏れ防止・制度改正への対応など継続サポートをします。

「まず自社支援に切り替えられるか診断してほしい」という段階からのご相談も歓迎しています。

自社支援切り替え前チェックリスト(まとめ)

【必須要件の確認】

  • ☐ 企業として過去2年以内の外国人雇用・管理実績がある
  • ☐ 支援責任者の候補者がいる(欠格事由なし・直接管理に非関与)
  • ☐ 支援担当者の候補者がいる(同上)
  • ☐ 外国人が理解できる言語での対応体制がある

【運営体制の確認】

  • ☐ 面談記録・支援記録の管理フローが決まっている
  • ☐ 随時届出の情報共有フローが決まっている
  • ☐ 3か月ごとの面談スケジュール管理の仕組みがある
  • ☐ 電子届出システムへの登録がある(または予定がある)

【コスト・タイミングの確認】

  • ☐ 委託費削減額と社内コスト増加を試算した
  • ☐ 在留期間更新が2か月以内に迫っていない
  • ☐ 登録支援機関との契約の解約条件を確認した
  • ☐ 引き継ぎ書類(面談記録等)の受け取りを依頼した

FAQ

Q1. チェックリストで「×」が多い場合は切り替えを諦めるべきですか? 必ずしもそうではありません。準備に時間がかかる項目と、すぐに対応できる項目を整理し、準備が整った段階で切り替えを進めることが現実的です。準備中は引き続き登録支援機関への委託を継続することをおすすめします。

Q2. 自社支援の準備にはどのくらいの期間が必要ですか? 社内体制の整備状況によりますが、一般的に2〜4か月程度かかります。登録支援機関との契約解除通知期間(1〜3か月前)も考慮した上でスケジュールを組むことが重要です。

Q3. 外国語対応できる社員を採用する必要がありますか? 必須ではありませんが、受け入れる外国人の国籍に対応できる言語能力を持つ社員がいると自社支援がスムーズになります。通訳サービスの活用で代替することも可能ですが、日常的なコミュニケーションの質は落ちる場合があります。

Q4. 書類管理ツールはどのようなものがよいですか? 受入れ人数が少ない場合はExcel+フォルダ管理で十分です。人数が増えてきたらクラウドストレージやHRツールの活用を検討することをおすすめします。いずれも「担当者が変わっても引き継げること」を意識して設計することが重要です。

Q5. 切り替えを急いだ場合のリスクは何ですか? 支援の質の低下・面談漏れ・届出漏れ・外国人の不安・更新申請時の問題発覚など、さまざまなリスクが生じます。切り替えを焦らず、体制が整った段階で進めることが重要です。

まとめ

自社支援への切り替え前に確認すべき社内体制は、①支援責任者・担当者の選任、②多言語対応体制、③書類管理体制、④届出管理体制、⑤定期面談の実施体制、⑥費用・負担の試算の6点です。

これらの体制が整っているかどうかをチェックリストで確認し、不足している点を補った上で切り替えを進めることが成功への近道です。体制が整っていない状態での拙速な切り替えは、外国人への支援の質を低下させ、企業リスクを高めることになります。

企業が次に確認すべきこと

  1. 本記事のチェックリストで現状を確認する
  2. 「×」の項目について対応策を検討する
  3. 登録支援機関との契約書の解約条件を確認する
  4. 切り替えのスケジュール(解約通知・書類準備・届出)を設定する

切り替え前の体制確認・準備サポートについてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。

AUTHOR REVIEW

この記事の監修者

行政書士アーチ事務所

行政書士・申請取次行政書士

大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。

ONLINE CONSULTATION

大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています

行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。

受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。

WHY ARCH OFFICE

行政書士アーチ事務所が選ばれる理由

ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。

01

登録支援機関でもある行政書士事務所

特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。

02

有料職業紹介許可を保有

外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。

03

大阪市拠点・全国オンライン対応

大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。

04

英語・中国語の相談にも対応

外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。

05

個人向けと企業向けの両方に対応

家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。

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