特定技能の自社支援とは?登録支援機関との違いをわかりやすく解説【2026年最新版】
特定技能の「自社支援」と「登録支援機関への委託」の違いを比較解説。自社支援の要件・メリット・デメリット・向いている企業の特徴まで、行政書士が企業担当者向けにわかりやすく説明します。
導入
「特定技能の支援は必ず登録支援機関に委託しなければならないのか」「自社でも支援できると聞いたが、どんな要件が必要か」——特定技能外国人を受け入れている、または受入れを検討している企業の担当者から、こうした声をよく聞きます。
特定技能1号の外国人を受け入れる企業には10項目の支援義務があります。この支援を自社で行うのが「自社支援」、登録支援機関に全部または一部を委託するのが「登録支援機関委託」です。どちらを選ぶかは任意であり、要件を満たせば自社支援も可能です。
この記事では、以下の3点を中心に解説します。
- 自社支援と登録支援機関委託の基本的な違い
- 自社支援を行うために必要な要件
- どちらを選ぶべきか判断するためのポイント
結論を先にお伝えすると、自社支援はコスト削減や外国人との関係強化というメリットがありますが、要件充足・多言語対応・書類管理など負担も大きくなります。受入れ人数・社内体制・コストのバランスを踏まえて判断することが重要です。
このページの要点
Q1. 特定技能の支援は必ず登録支援機関に委託しなければなりませんか? いいえ。支援を自社で行う「自社支援」も選択肢の一つです。ただし自社支援には企業・支援責任者・支援担当者それぞれに要件があります。要件を満たせば登録支援機関に委託せず自社で支援を実施できます。
Q2. 登録支援機関に全部委託するとどうなりますか? 支援業務の全部を委託した場合、支援計画の実施義務を果たしたものとみなされます。ただし支援の最終的な責任は受入れ企業にあります。月額費用(1人あたり1.5〜3万円程度)が継続的に発生します。
Q3. 自社支援に切り替えるとコストはどのくらい削減できますか? 登録支援機関への委託費(月額1.5〜3万円/人)が不要になります。10名受け入れている場合、年間で180〜360万円程度の削減効果が見込まれます。ただし社内の人的コストや多言語対応の負担が増えるため、トータルで判断することが重要です。
Q4. 自社支援の要件を満たすには何が必要ですか? 主に①過去2年以内の外国人労働者の雇用・管理実績、②外国人が理解できる言語での支援体制、③支援責任者・支援担当者の選任(過去2年以内の生活相談経験が必要)、④支援記録の作成・保管体制が必要です。
Q5. 支援の一部だけ登録支援機関に委託することはできますか? はい、可能です。ただし全部委託した場合のみ「支援計画の実施義務を果たしたとみなされる」という特例が適用されます。一部委託の場合は企業が支援計画全体の実施責任を負います。
本文
特定技能1号の支援義務とは
特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、外国人が日本での生活・就労を円滑に行えるよう支援する義務があります。支援の内容は以下の10項目に定められています。
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保・生活関連手続きの支援
- 生活オリエンテーション
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(非自発的離職の場合)
- 定期面談の実施
- 行政機関への情報提供
これら10項目の支援を「自社で行う」のが自社支援、「登録支援機関に委託する」のが登録支援機関委託です。
自社支援と登録支援機関委託の違い
| 項目 | 自社支援 | 登録支援機関委託(全部委託) |
|---|---|---|
| 月額費用 | 不要(人的コストは発生) | 1人あたり1.5〜3万円程度 |
| 支援実施の主体 | 企業の支援責任者・担当者 | 登録支援機関 |
| 要件 | 企業・支援責任者・担当者に要件あり | 委託契約の締結のみ |
| 多言語対応 | 自社で確保が必要 | 委託先が対応 |
| 支援義務の充足 | 自社で全項目実施する必要あり | 全部委託で実施義務充足とみなされる |
| 書類管理 | 自社で作成・保管 | 委託先が作成・管理(最終責任は企業) |
| 外国人との関係 | 密接に関わりやすい | 第三者を介した関係 |
受入れ企業全体の約8割が登録支援機関を利用しているとされていますが、受入れ人数が増えるにつれて自社支援に切り替えるケースも増えています。
自社支援に必要な要件
自社支援を行うには、企業・支援責任者・支援担当者のそれぞれに要件があります。
企業(特定技能所属機関)に必要な要件
以下のいずれかに該当することが必要です。
- 過去2年以内に就労系在留資格を持つ外国人の雇用または管理を適正に行った実績があること
- 過去2年以内に中長期在留者の生活相談業務に従事した社員がいること
加えて以下も必要です。
- 外国人が十分理解できる言語(母国語など)での支援を実施できる体制を確保していること
- 支援状況に関する書類を作成し、雇用契約終了後1年以上保管できること
- 欠格事由に該当しないこと
支援責任者に必要な要件
以下のいずれかに該当すること。
- 過去2年間に就労系在留資格を持つ外国人の受入れまたは管理を適正に行った実績があり、かつ役員または職員の中から選任されていること
- 役員または職員であって、過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を持つ者であること
- 上記と同程度に支援業務を適正に実施できると入管庁長官が認めた者であること
さらに、支援責任者は特定技能外国人が所属する部署の管理に関与しないことが求められます(中立性の確保)。欠格事由に該当しないことも必要です。
支援担当者に必要な要件 支援担当者も欠格事由に該当しないことが必要で、支援責任者と同様に外国人が所属する部署の管理に直接関与しない者が望ましいとされています。支援責任者と支援担当者の兼任は可能です。
登録支援機関とは
登録支援機関とは、出入国在留管理庁に登録された機関で、受入れ企業に代わって特定技能外国人への支援業務を実施します。民間企業・行政書士事務所・社会保険労務士・NPO法人・事業協同組合など、要件を満たせば団体・個人を問わず登録できます。
2025年9月時点で約10,500機関以上が登録されています。
登録支援機関の主な役割は以下のとおりです。
- 支援計画の作成支援
- 10項目の義務的支援の実施
- 定期面談の実施・記録
- 支援実施状況の管理
登録支援機関に支援業務の全部を委託した場合、企業は支援計画の実施義務を果たしたものとみなされます。ただし最終的な責任(届出義務・雇用管理)は企業に残ります。
自社支援が向いている企業・向いていない企業
自社支援が向いている企業の例 - 特定技能外国人の受入れ人数が多く、委託費用が大きな負担になっている - 社内に外国語(対象国籍の言語)が話せる社員がいる - 外国人雇用の経験が豊富で、生活相談・労務管理のノウハウがある - 外国人との関係を密にして定着率を高めたい
登録支援機関委託が向いている企業の例 - 初めて特定技能外国人を受け入れる - 外国語対応できる社員がいない - 受入れ人数が少なく、自社で体制を整えるコストが委託費より高くなる - 書類管理・届出などの実務に不安がある
2026年以降の自社支援をめぐる動向
2026年1月の行政書士法改正により、行政書士・弁護士以外の者が報酬を得て在留資格の申請書類を作成することが禁止されました。これにより、登録支援機関が書類作成を受託することも違法となりました。
この改正の影響で、申請書類の作成を自社または行政書士に依頼する必要が明確になりました。自社支援への切り替えを検討する企業が増えている背景の一つでもあります。
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、特定技能の自社支援に関して以下のサポートを提供しています。
- 自社支援要件の確認:現在の社内体制が自社支援の要件を満たすかを確認します。
- 自社支援切り替えのサポート:登録支援機関から自社支援へのスムーズな移行をサポートします。
- 登録支援機関としての受託:自社支援への切り替えを検討中の企業に対し、移行期間中の支援受託も対応します。
- 申請書類の作成・取次:行政書士として在留資格申請書類の作成・取次を行います。
「まず自社支援に切り替えられるか確認したい」という段階からのご相談も歓迎しています。
FAQ
Q1. 自社支援と登録支援機関委託はどちらが多いですか? 受入れ企業全体では登録支援機関を利用するケースが多数を占めます。一方、受入れ人数が多い企業や外国人雇用経験が豊富な企業では自社支援に切り替えるケースも増えています。
Q2. 自社支援を始めるのに入管への届出は必要ですか? 初めから自社支援で受け入れる場合は特別な届出は不要です。登録支援機関からの切り替えの場合は、支援計画の変更届出と支援委託契約の終了届出が必要です。
Q3. 外国語が話せる社員がいない場合、自社支援はできませんか? 外国人が理解できる言語での支援体制の確保が必要です。社員が直接対応できない場合は、通訳サービスや翻訳ツールの活用などで体制を整える方法もあります。ただし実務上の対応の質が重要です。
Q4. 特定技能2号の外国人にも支援義務はありますか? いいえ。特定技能2号には10項目の支援義務がありません。2号に移行した場合は登録支援機関への委託費用も不要になります。
Q5. 支援を一部だけ自社で行い、残りを委託することはできますか? 可能です。ただし全部委託した場合のみ「支援計画の実施義務を果たしたとみなされる」特例が適用されます。一部委託の場合は企業が残りの支援についても実施責任を負います。
Q6. 登録支援機関の選び方で気をつけることはありますか? 対応言語・分野の実績・費用の透明性・連絡対応の速さ・定期訪問の有無などを比較することが重要です。費用の安さだけで選ぶと支援の質が不十分なケースもあります。
Q7. 自社支援で失敗しやすいのはどんなケースですか? 多言語対応が不十分で外国人が相談しにくい環境になるケース、面談記録・支援記録の作成が形骸化するケース、随時届出の漏れが生じるケースなどが代表的です。
Q8. 行政書士に自社支援の支援業務を委託できますか? 行政書士が登録支援機関として登録している場合は、支援業務を受託できます。行政書士アーチ事務所は登録支援機関として支援業務の受託に対応しています。
まとめ
特定技能1号の支援は「自社支援」と「登録支援機関委託」のどちらかを選ぶことができます。自社支援は委託費用を削減できる一方、要件充足・多言語対応・書類管理など準備が必要です。
どちらが適切かは受入れ人数・社内体制・コスト・外国人雇用の経験などによって異なります。自社支援への切り替えを検討する際は、要件の充足状況を丁寧に確認した上で進めることが重要です。
企業が次に確認すべきこと
- 自社支援の要件(企業・支援責任者・担当者)を満たせるか確認する
- 外国人が理解できる言語での支援体制を確保できるか検討する
- 自社支援と委託のコスト・負担をトータルで比較する
- 切り替えを検討する場合は、登録支援機関との契約終了のタイミングを確認する
自社支援への切り替えや、支援体制の整備についてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。
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