自社支援が難しい会社の特徴と対応策【特定技能・企業向け】
特定技能の自社支援が難しい会社の特徴を具体的に解説。小規模企業・外国語対応できない・担当者確保が困難など、状況別の対応策と登録支援機関の活用方法を行政書士が説明します。
導入
「自社支援に切り替えたいが、うちの会社では難しいかもしれない」「どんな会社が自社支援に向いていないのか知りたい」——特定技能外国人を受け入れている企業の担当者から、こうした声をよく聞きます。
自社支援への切り替えはすべての企業に適しているわけではありません。要件を満たせない・体制を維持できない・コスト面で合わないなど、企業の状況によっては登録支援機関への委託を継続するほうが合理的なケースも多くあります。
この記事では、自社支援が難しい会社の具体的な特徴を整理し、それぞれの状況に応じた対応策を解説します。「うちの会社は自社支援が難しいかも」と感じている担当者の方に、現実的な判断材料を提供することが目的です。
結論を先にお伝えすると、自社支援が難しい会社であっても、登録支援機関を活用することで適正に特定技能外国人を受け入れ続けることができます。「自社支援ができない=特定技能が使えない」ではありません。
このページの要点
Q1. 自社支援が難しい会社の最大の特徴は何ですか? 支援責任者・支援担当者を要件どおりに選任できないことです。特に小規模企業では社長が唯一の管理職というケースが多く、組織図の縦ラインにある者は支援責任者・担当者になれないという要件(入管Q&A Q95)を満たせないことがあります。
Q2. 自社支援ができない場合、特定技能外国人は受け入れられませんか? いいえ。登録支援機関に支援業務を全部委託することで、自社支援の要件を満たさなくても特定技能外国人を受け入れることができます。自社支援は選択肢の一つであり、必須ではありません。
Q3. 将来的に自社支援に切り替えられるようになりますか? はい。受入れ経験を積み、外国人雇用の実績を2年以上積んだ段階で要件を満たせるようになる場合があります。今は委託を継続しながら、将来の切り替えに向けて準備を進めることも有効な戦略です。
Q4. 外国語が話せる社員がいない場合は自社支援できませんか? 外国語対応できる社員がいないだけでは自社支援を完全に諦める必要はありませんが、通訳サービスの確保コストが委託費を上回る場合や、緊急時の対応が困難な場合は委託継続が現実的です。
Q5. 受入れ人数が少ない場合、自社支援はコスト的に合いますか? 1〜2名の受入れでは委託費の削減額よりも社内の対応コストが上回るケースが多く、コスト面での優位性は低くなります。受入れ人数が増えてきた段階で改めて検討することをおすすめします。
本文
自社支援が難しい会社の特徴①:支援責任者・担当者を選任できない
具体的な状況
- 社長+現場作業員のみという少人数の会社で、管理部門(人事・総務など)が存在しない
- 管理職が全員、特定技能外国人の業務を直接管理・指揮する立場にある
- 候補者が過去5年以内に出入国・労働関係法令の違反歴がある
入管の公式Q&Aでは「代表取締役、当該外国人が所属する部署を監督する長など、組織図を作成した場合に縦のラインにある者は適格性がない」と明記されています。製造業・建設業・農業など、経営者が現場を直接管理する業態ではこの問題が特に多く見られます。
対応策
- 登録支援機関への全部委託を継続する
- 管理部門の社員を採用・配置し、将来の切り替えに備える
- 外国人雇用の実績を2年以上積んだ段階で改めて要件を確認する
自社支援が難しい会社の特徴②:外国語対応体制を確保できない
具体的な状況
- 受け入れている外国人の母国語(ベトナム語・インドネシア語など)を話せる社員がいない
- 通訳サービスを利用する場合のコストが委託費(月1.5〜3万円/人)を上回る
- 緊急時(外国人が体調不良・事故・トラブルに直面したとき)に即座に母国語で対応できない
外国人が理解できる言語での支援実施は法令上の義務であり、形式的な対応では要件を満たせません。通訳を介した対応でも可能ですが、タイムラグが生じる場面や、細かいニュアンスが伝わらない場面では問題が生じます。
対応策
- 登録支援機関への委託を継続する(委託先が多言語対応を担う)
- 同じ国籍の社員を採用し通訳・橋渡し役として活用することを中長期的に検討する
- 通訳サービスとの契約コストを試算し、委託費との比較を行う
自社支援が難しい会社の特徴③:受入れ人数が少ない
具体的な状況
- 受け入れている特定技能外国人が1〜2名
- 委託費の削減額(月2万円×2名=月4万円)に対して、担当者の対応時間・通訳コストが同程度以上かかる
受入れ人数が少ない場合、自社支援に切り替えてもコスト面での優位性が低く、むしろ社内負担だけが増えるケースがあります。
対応策
- 現状は委託継続とし、受入れ人数が5名以上に増えた段階で切り替えを再検討する
- 採用拡大計画がある場合は将来の切り替えを見据えた社内体制の整備を先行して進める
自社支援が難しい会社の特徴④:担当者の安定確保が困難
具体的な状況
- 担当者候補の社員が退職・異動する可能性が高い
- 支援担当者が決まっても業務多忙で面談・記録作成に時間を割けない
- 人員が少なく担当者が複数の重要業務を兼務している
支援担当者が変わるたびに支援計画変更の届出(14日以内)が必要であり、引き継ぎの漏れが生じやすくなります。外国人にとっても担当者が頻繁に変わることは不安の原因になります。
対応策
- 登録支援機関への委託を継続し、窓口の安定性を確保する
- 社内での担当者育成・ローテーションの仕組みを整える
- 複数名を支援担当者として選任し、担当者不在時のバックアップ体制を整える
自社支援が難しい会社の特徴⑤:書類管理・届出管理の体制がない
具体的な状況
- 面談記録・支援実施記録を作成・保管する仕組みがない
- 随時届出の対象事由(退職・雇用条件変更など)が発生したときに14日以内に届け出る体制がない
- 定期届出(年1回・毎年4〜5月)の準備を適切に進める担当者がいない
届出漏れは30万円以下の罰金の対象となり、特定技能外国人の受入れが継続できなくなる可能性があります。書類管理・届出管理の体制は自社支援の根幹であり、整備できていない状態での切り替えは大きなリスクを伴います。
対応策
- 登録支援機関への委託を継続しながら、書類管理・届出管理の体制を並行して整備する
- 書類作成・届出については行政書士への依頼を検討する
自社支援が難しい会社の特徴⑥:外国人雇用経験が浅い
具体的な状況
- 特定技能外国人の受入れを始めて1年未満
- 外国人雇用に関するトラブル対応・制度理解が十分でない
- 面談で何を確認すればよいか、支援記録をどう書けばよいかわからない
外国人雇用のノウハウが蓄積されていない段階での自社支援は、支援の質が低くなりやすく、外国人への適切なサポートができないリスクがあります。
対応策
- まず1〜2年は登録支援機関への委託を継続し、制度・実務のノウハウを蓄積する
- 委託期間中に登録支援機関から面談記録・支援記録の内容を共有してもらい、将来の自社支援に備える
自社支援の要件を満たせない場合の現実的な選択肢
自社支援が難しい場合でも、以下の選択肢があります。
①登録支援機関への全部委託を継続する 最もシンプルで確実な方法です。委託費はかかりますが、支援の品質・安定性・届出管理を委託先に任せることができます。
②信頼できる登録支援機関を選び直す(変更する) 現在の委託先の対応に不満がある場合は、より条件の良い登録支援機関に変更することも選択肢です。変更時は随時届出が必要です。
③行政書士事務所(登録支援機関兼業)に一括依頼する 行政書士事務所が登録支援機関として登録している場合、支援業務の受託と申請書類の作成・取次を一括して依頼できます。2026年1月の行政書士法改正以降、書類作成は行政書士・弁護士しかできないため、この組み合わせが実務上合理的です。
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、自社支援が難しい状況の企業に対して以下のサポートを提供しています。
- 登録支援機関としての支援受託:自社支援が難しい企業の支援業務を一括して受託します。多言語対応・面談実施・記録管理・届出対応まで対応します。
- 申請書類の作成・取次:行政書士として在留資格申請・届出書類の作成・取次を行います。登録支援機関と行政書士の両方の機能を一つの窓口で提供できます。
- 将来の自社支援に向けたアドバイス:今は委託継続しながら、将来自社支援に切り替えるための準備・体制整備についてアドバイスします。
- 登録支援機関変更のサポート:現在の委託先を変更したい場合の手続き・届出をサポートします。
「自社支援が難しいが、どう対応すればよいか整理したい」という段階からのご相談も歓迎しています。
FAQ
Q1. 自社支援の要件を満たせなければ、特定技能は使えませんか? いいえ。登録支援機関に全部委託することで、自社支援の要件を満たさなくても特定技能外国人を受け入れることができます。
Q2. 将来自社支援に切り替えるために今から準備できることはありますか? 外国人雇用の実績を2年以上積むこと、支援担当者の候補者となり得る社員を育成すること、委託期間中に面談・支援記録のノウハウを習得することなどが準備になります。
Q3. 登録支援機関の費用を下げる交渉はできますか? 受入れ人数が多い場合や長期契約の場合は、費用交渉の余地があるケースもあります。複数の登録支援機関から見積もりを取ることも有効です。
Q4. 登録支援機関を変更する場合、外国人本人への影響はありますか? 窓口となる担当者が変わるため、外国人本人には変更内容を母国語で丁寧に説明することが重要です。信頼関係の再構築が必要になる場合もあります。
Q5. 自社支援が難しい状態で無理に切り替えるとどんなリスクがありますか? 面談漏れ・届出漏れ・支援の質低下・外国人の早期離職・在留資格更新時の問題発覚など、さまざまなリスクが生じます。体制が整うまで切り替えを待つことが合理的な判断です。
まとめ
自社支援が難しい会社の特徴は、①支援責任者・担当者を選任できない、②外国語対応体制を確保できない、③受入れ人数が少ない、④担当者の安定確保が困難、⑤書類・届出管理体制がない、⑥外国人雇用経験が浅い、の6点に整理できます。
これらの特徴に当てはまる企業でも、登録支援機関への委託継続・変更という現実的な選択肢があります。「自社支援ができない=特定技能が使えない」ではなく、自社の状況に合った方法で適正に特定技能外国人を受け入れることが重要です。
企業が次に確認すべきこと
- 記事23のチェックリストで自社支援の可否を確認する
- 自社支援が難しい場合は登録支援機関への委託継続を基本方針とする
- 将来の切り替えに向けた準備(外国人雇用実績の蓄積・社内体制の整備)を並行して進める
- 現在の委託先に不満がある場合は変更を検討する
自社支援の可否確認・登録支援機関としての受託・将来の切り替えサポートについてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。
AUTHOR REVIEW
この記事の監修者
行政書士アーチ事務所
行政書士・申請取次行政書士
大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。
ONLINE CONSULTATION
大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています
行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。
受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。
WHY ARCH OFFICE
行政書士アーチ事務所が選ばれる理由
ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。
01
登録支援機関でもある行政書士事務所
特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。
02
有料職業紹介許可を保有
外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。
03
大阪市拠点・全国オンライン対応
大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。
04
英語・中国語の相談にも対応
外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。
05
個人向けと企業向けの両方に対応
家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。
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