自社支援と登録支援機関委託の費用比較【特定技能・企業向け】
特定技能の自社支援と登録支援機関委託の費用を徹底比較。委託費の相場・自社支援の人件費・通訳コスト・削減シミュレーションまで、企業が判断するための費用情報を行政書士が解説します。
導入
「登録支援機関への委託費をどのくらい削減できるのか試算したい」「自社支援に切り替えると本当にコストが下がるのか」——特定技能外国人を受け入れている企業の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。
自社支援への切り替えを判断する上で、費用の比較は重要な判断材料の一つです。しかし単純に「委託費がなくなる」と考えるのは危険です。自社支援にも人件費・通訳コスト・書類管理コストなどが発生します。トータルのコストで比較することが正しい判断につながります。
この記事では、以下の3点を中心に解説します。
- 登録支援機関委託の費用の内訳と相場
- 自社支援にかかるコストの内訳
- 受入れ人数別のコスト削減シミュレーション
結論を先にお伝えすると、受入れ人数が多く外国語対応できる社員がいる企業ほど自社支援のコストメリットが大きくなります。受入れ人数が少ない・通訳コストが高い場合は委託継続が合理的な場合もあります。
このページの要点
Q1. 登録支援機関への委託費の相場はいくらですか? 1人あたり月額1.5〜3万円程度が相場です。地域・対応言語・サービス内容によって異なります。初期費用(契約締結料・支援計画書作成料)が別途かかる場合もあります。
Q2. 自社支援にするとどのくらいコストを削減できますか? 委託費(月額2万円×10名の場合)で年間240万円の削減が見込まれます。ただし担当者の人件費・通訳費用などが発生するため、トータルでの試算が重要です。
Q3. 自社支援にかかる主なコストは何ですか? 担当者の対応時間(人件費換算)・通訳サービス費用(外国語対応できる社員がいない場合)・書類管理ツールの導入費用などが主なコストです。
Q4. 何名以上受け入れると自社支援がコスト的に有利になりますか? 担当者の対応コストや通訳費用によって異なりますが、一般的に5名以上で委託費削減の効果が顕著になり始め、10名以上で明確なコストメリットが出やすくなります。
Q5. 行政書士への申請書類作成依頼費用はどのくらいですか? 在留資格変更・更新申請1件あたり3〜8万円程度が相場です(事務所・案件の複雑さによって異なります)。自社支援に切り替えても申請書類の作成は行政書士に依頼できるため、この費用は自社支援・委託のどちらでも発生します。
本文
登録支援機関委託の費用内訳
登録支援機関に支援業務を委託する場合の費用は以下のとおりです。
①月額委託費(継続費用) 最も大きな費用項目です。1人あたり月額1.5〜3万円が相場ですが、サービス内容・地域・対応言語によって幅があります。
| サービスレベル | 月額費用(1人あたり) |
|---|---|
| 基本プラン(書類作成・届出管理中心) | 1.5〜2万円程度 |
| 標準プラン(面談実施・多言語対応含む) | 2〜2.5万円程度 |
| フルサポートプラン(訪問面談・緊急対応含む) | 2.5〜3万円以上 |
②初期費用(契約時のみ)
- 契約締結料:0〜5万円程度
- 支援計画書作成料:0〜3万円程度(月額に含まれる場合もあり)
- 事前ガイダンス実施費用:0〜2万円程度
③申請書類作成費用 2026年1月の行政書士法改正以降、登録支援機関が申請書類を作成することは禁止されています。在留資格申請の書類作成は行政書士・弁護士への依頼が必要であり、別途費用が発生します。
年間委託費の試算
| 受入れ人数 | 月額2万円/人の場合 | 月額2.5万円/人の場合 |
|---|---|---|
| 3名 | 72万円/年 | 90万円/年 |
| 5名 | 120万円/年 | 150万円/年 |
| 10名 | 240万円/年 | 300万円/年 |
| 20名 | 480万円/年 | 600万円/年 |
| 30名 | 720万円/年 | 900万円/年 |
自社支援にかかるコストの内訳
自社支援に切り替えた場合、委託費はなくなりますが以下のコストが発生します。
①担当者の人件費(最大のコスト) 支援担当者が面談・書類管理・届出対応などに費やす時間を人件費換算したものです。
目安となる月間対応時間(1人あたり):
- 定期面談(3か月に1回):1〜2時間/月
- 面談記録・支援記録の作成:1〜2時間/月
- 相談対応(発生時):0.5〜2時間/月
- 届出管理:0.5〜1時間/月
合計:月2〜7時間程度(外国人1人あたり)
時給換算(担当者の時給3,000円と仮定):
- 5名受入れの場合:月10〜35時間 → 月3〜10万円相当
- 10名受入れの場合:月20〜70時間 → 月6〜21万円相当
②通訳サービス費用(外国語対応できる社員がいない場合) 電話・ビデオ通訳サービスを利用する場合の費用目安: - 月額契約:3,000〜1万5,000円程度(利用時間による) - 都度利用:1分あたり100〜200円程度
月2〜4時間利用した場合:月1.2〜4.8万円程度
③書類管理ツール・通信費 クラウドストレージ・管理ツールの利用料:月0〜数千円程度(無料ツールでも対応可能)
④申請書類作成費用(行政書士への依頼) 自社支援・委託のどちらでも在留資格申請書類の作成は行政書士への依頼が必要です(2026年1月改正以降)。1件あたり3〜8万円程度。更新申請は1〜2年に1度の費用です。
受入れ人数別コスト比較シミュレーション
以下は主要なコスト項目を比較した試算例です。自社に外国語対応できる社員がいる場合(通訳費用なし)とない場合(通訳費用あり)で分けて示します。
条件設定
- 委託費:月額2万円/人
- 担当者人件費:月4時間/人 × 時給3,000円 = 月1.2万円/人
- 通訳費用(社員対応不可の場合):月1万円/人
【自社に外国語対応できる社員がいる場合】
| 受入れ人数 | 委託費(年) | 自社支援コスト(年) | 年間削減額 |
|---|---|---|---|
| 3名 | 72万円 | 43万円 | 約29万円削減 |
| 5名 | 120万円 | 72万円 | 約48万円削減 |
| 10名 | 240万円 | 144万円 | 約96万円削減 |
| 20名 | 480万円 | 288万円 | 約192万円削減 |
【自社に外国語対応できる社員がいない場合(通訳費用あり)】
| 受入れ人数 | 委託費(年) | 自社支援コスト(年) | 年間削減額 |
|---|---|---|---|
| 3名 | 72万円 | 79万円 | 約7万円増加 |
| 5名 | 120万円 | 132万円 | 約12万円増加 |
| 10名 | 240万円 | 264万円 | 約24万円増加 |
| 20名 | 480万円 | 528万円 | 約48万円増加 |
※上記はあくまで試算例です。実際のコストは企業の状況・担当者の対応時間・通訳費用などによって大きく異なります。自社の状況に合わせて試算することをおすすめします。
コスト以外の判断要素
費用の比較だけでなく、以下の観点も合わせて判断することが重要です。
自社支援のコスト以外のメリット
- 外国人との信頼関係が深まり定着率が向上する
- 外国人雇用のノウハウが社内に蓄積される
- 急な相談・トラブルに迅速に対応できる
登録支援機関委託のコスト以外のメリット
- 専門家による安定した支援品質
- 担当者不在時のバックアップ体制
- 制度改正への自動対応
- 外国人が第三者に相談しやすい環境
費用だけを基準にして判断すると、定着率の低下や支援品質の低下につながる場合があります。トータルで判断することが重要です。
費用を抑えながら専門家を活用する方法
自社支援に切り替えつつ、専門家のサポートを部分的に活用することで、費用と品質のバランスを取ることができます。
モデル①:自社支援+行政書士への申請書類作成依頼
- 日常の支援業務は自社で行い、在留資格申請の書類作成のみ行政書士に依頼
- 委託費ゼロ・書類作成は専門家に任せる
モデル②:自社支援+登録支援機関への一部業務委託
- 面談など主要な支援は自社で行い、多言語対応が必要な部分のみ外部に依頼
- 全部委託より安価・自社支援より安定
モデル③:登録支援機関(行政書士事務所兼業)への一括依頼
- 支援業務の受託と申請書類の作成・取次を一つの窓口で完結
- 2026年1月改正後の最も合理的な選択肢の一つ
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、費用比較・切り替えの判断から実施まで以下のサポートを提供しています。
- 費用試算のサポート:自社の受入れ人数・担当者のコスト・通訳費用を整理し、自社支援と委託のコストを比較します。
- 登録支援機関としての受託:引き続き委託を希望する企業の支援業務を受託します。
- 自社支援切り替えのサポート:切り替え手続き・新支援計画書の作成・届出書類の準備を行います。
- 申請書類の作成・取次:行政書士として在留資格申請書類の作成・取次を行います。支援業務の受託と一括で対応できます。
「コストの試算を一緒にしてほしい」という段階からのご相談も歓迎しています。
FAQ
Q1. 登録支援機関の費用は交渉できますか? 受入れ人数が多い・長期契約の場合など、交渉の余地があることがあります。複数の登録支援機関から見積もりを取り比較することが有効です。
Q2. 費用が安い登録支援機関を選ぶとどんなリスクがありますか? 対応言語が限られる・面談の質が低い・担当者の交代が頻繁・緊急時の対応が遅いなど、サービス品質に問題が生じるリスクがあります。費用だけでなくサービス内容を総合的に評価することが重要です。
Q3. 自社支援の担当者コストはどう計算すればよいですか? 担当者の月給÷月間労働時間(時給換算)×支援業務の月間対応時間で概算できます。担当者が現場管理など他の業務も担っている場合は、支援業務に割く時間を見積もることが重要です。
Q4. 受入れ人数が増えた場合、委託費は人数分かかりますか? 一般的には人数に比例して費用が増えます。ただし登録支援機関によっては、人数が増えると1人あたりの単価が下がるボリュームディスカウントがある場合もあります。
Q5. 自社支援でも行政書士費用はかかりますか? 在留資格申請書類の作成は2026年1月以降、行政書士・弁護士にしか依頼できません。自社支援でも委託でも、申請書類の作成を外部に依頼する場合は行政書士費用が発生します。自社で書類を作成する場合は不要ですが、専門的な知識が必要です。
Q6. 特定技能2号に移行した場合、支援コストはどうなりますか? 特定技能2号には10項目の支援義務がありません。2号に移行した外国人については登録支援機関への委託も不要となり、支援コストがなくなります。
まとめ
自社支援と登録支援機関委託の費用比較では、委託費の削減額だけでなく担当者の人件費・通訳費用などの自社支援コストも含めたトータルでの比較が重要です。
外国語対応できる社員がいる場合は5名以上で自社支援のコストメリットが明確になり始めます。外国語対応できる社員がいない場合は、通訳費用が委託費を上回るケースもあるため、費用対効果を慎重に試算することが必要です。
費用だけでなく、定着率・支援品質・社内負担・制度対応力なども合わせて判断し、自社の状況に最適な支援方法を選ぶことが重要です。
企業が次に確認すべきこと
- 現在の委託費(月額×人数×12か月)を計算する
- 自社支援の担当者コスト(時給×月間対応時間×人数×12か月)を試算する
- 通訳費用が必要かどうか確認し、必要であれば費用を見積もる
- トータルコストを比較し、切り替えの経済的メリットを確認する
費用比較・切り替えの判断・手続きサポートについてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。
AUTHOR REVIEW
この記事の監修者
行政書士アーチ事務所
行政書士・申請取次行政書士
大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。
ONLINE CONSULTATION
大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています
行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。
受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。
WHY ARCH OFFICE
行政書士アーチ事務所が選ばれる理由
ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。
01
登録支援機関でもある行政書士事務所
特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。
02
有料職業紹介許可を保有
外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。
03
大阪市拠点・全国オンライン対応
大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。
04
英語・中国語の相談にも対応
外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。
05
個人向けと企業向けの両方に対応
家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。
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