特定技能外国人を複数人採用する場合の進め方【企業向け・2026年最新版】
特定技能外国人を複数人採用する場合の進め方を解説。採用スケジュール管理・協議会加入・支援計画書の整備・在留期限管理・コスト計算まで企業担当者向けに行政書士が説明します。
導入
「複数名の特定技能外国人を採用したいが、一度に手続きできるのか」「在留期限がバラバラになると管理が大変そう」「複数名採用時の費用・スケジュールはどう考えればよいか」——複数名の受入れを検討している企業の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。
特定技能外国人を複数名採用する場合、1人ずつの申請を積み重ねる形になりますが、管理・手続き・コストを効率化するための工夫が重要です。特に在留期限の管理・協議会加入・支援計画の整備・定期届出の一括対応など、複数名ならではのポイントがあります。
この記事では、複数名採用を進める上での実務的なポイントを整理します。
このページの要点
Q1. 複数名を同時に採用することはできますか? はい。複数名を同時に申請することは可能です。ただし申請は外国人1人ごとに行う必要があります。同時に申請書類を提出することで、審査が並行して進む場合があります。
Q2. 在留期限がバラバラになった場合の管理はどうすればよいですか? 外国人ごとに在留期限・更新申請期限(期限の3か月前)を一覧表で管理することが重要です。更新漏れを防ぐために社内カレンダーへの登録と担当者へのリマインダー設定をおすすめします。
Q3. 複数名の場合、支援計画書は人数分作成しますか? はい。支援計画書は外国人1人ごとに作成する必要があります。ただし同一企業・同一支援担当者・同一支援体制であれば、内容の大部分を共通化することができます。
Q4. 定期届出は人数分別々に提出しますか? いいえ。定期届出は受入れ企業が全員分をまとめて1件の届出として提出します。外国人ごとの別紙を1枚ずつ作成し、本体の届出書に添付する形です。
Q5. 複数名採用でコストはどのくらいかかりますか? 申請費用(1件あたり)・協議会加入費用(多くは無料)・支援委託費(登録支援機関に委託する場合)などが主なコストです。受入れ人数が増えると委託費の総額が大きくなるため、自社支援への切り替えも検討の余地があります。
本文
複数名採用のメリットとデメリット
メリット
- まとまった人員確保が一度に可能
- 採用コスト(送出機関費用・渡航費など)を複数名で分担できる場合がある
- 同じ国籍・言語の仲間がいることで外国人本人の安心感・定着率が向上しやすい
- 定期届出・更新申請をまとめて対応できる
デメリット
- 支援業務(面談・生活支援など)の負担が人数に比例して増える
- 在留期限がバラバラになると管理が複雑になる
- 複数名が同時に帰国・退職するリスクがある
採用スケジュールの設計
複数名を採用する場合、以下の観点からスケジュールを設計することが重要です。
①在留期限の分散 複数名の在留期限が同時期に集中すると、更新申請・支援業務が一時期に集中し管理が困難になります。入社時期を意図的にずらすことで在留期限を分散させることが可能です。
②試用・受入れキャパシティの確認 一度に多数を受け入れると、生活オリエンテーション・住居確保・社内OJTが追いつかない場合があります。自社の受入れキャパシティを考慮した段階的な採用が現実的です。
③協議会加入・申請のタイミング 分野によっては協議会加入審査に時間がかかります(飲食料品製造業は2〜3か月)。採用したい入社日から逆算して協議会加入申請を早めに行うことが重要です。
申請書類の管理
複数名分の申請書類を効率的に管理するためのポイントです。
①外国人ごとにフォルダを作成 以下の情報を外国人ごとにフォルダ(デジタルまたは紙)で管理します。
- 在留資格申請書類一式
- 雇用契約書・雇用条件書
- 支援計画書
- 在留カードの写し・パスポートの写し
- 協議会加入証明書
- 面談記録・支援実施記録
- 届出書類の控え
②在留期限管理台帳の整備 複数名の在留期限・更新申請時期を一元管理する台帳を作成します。
| 氏名 | 国籍 | 在留期限 | 更新申請開始目安 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|
| Aさん | ベトナム | 2027年3月31日 | 2026年12月〜 | 山田 |
| Bさん | インドネシア | 2027年6月30日 | 2027年3月〜 | 山田 |
更新申請は在留期限の3か月前から受け付けられます。台帳に「更新申請開始目安」を記載し、社内カレンダーにリマインダーを設定してください。
③同一内容の書類の共通化 支援計画書・特定技能所属機関概要書など、企業情報に関する書類の多くは複数名分を共通化できます。外国人ごとの個人情報部分のみ変更することで作成の手間を省くことができます。
支援業務の効率化
複数名を受け入れる場合、支援業務(定期面談・生活支援など)の効率化が重要です。
①定期面談のグループ化 同じ国籍・同じ職場の外国人であれば、定期面談をグループで実施することができます。ただし個人的な相談(職場の人間関係・給与への不満など)は個別面談が必要です。
②生活オリエンテーションのグループ実施 複数名が同時に入社する場合は、生活オリエンテーションをグループで実施することで効率化できます。各自の確認書(参考様式第5-8号)は個別に作成します。
③自社支援か委託かの見直し 受入れ人数が5〜10名以上になると、登録支援機関への委託費(月額1.5〜3万円/人)が大きくなります。自社支援への切り替えによるコスト削減効果を試算し、切り替えを検討することをおすすめします。
定期届出の一括対応
定期届出(年1回・毎年4〜5月)は、企業が全員分をまとめて提出します。
複数名の場合の対応ポイント
- 外国人ごとに別紙(実労働日数・時間・給与支給総額・昇給率)を作成する
- 登録支援機関に委託している場合は、支援実施状況の部分を委託先が作成して企業に提供する
- 提出前に全員分の記載内容を確認する
- 電子届出システムへの事前登録で効率化できる
複数名採用時のコスト試算
複数名採用にかかる主なコストの試算例です。
1人あたりの主なコスト(概算)
- 申請書類作成費用(行政書士):3〜8万円
- 送出機関紹介料(海外採用の場合):20〜50万円程度
- 渡航費(海外採用の場合):5〜15万円程度
- 支援委託費(月額・登録支援機関):1.5〜3万円/月
10名受け入れた場合の年間委託費 - 月額2万円×10名×12か月 = 240万円/年
受入れ人数が増えるほど委託費の総額が大きくなります。自社支援に切り替えると委託費が不要になりますが、社内の人的コストが増える点も考慮が必要です。
複数名採用時の注意点
①受入れ上限(分野によっては設定あり) 介護分野の場合、同一事業所内の特定技能外国人の人数が日本人等介護職員の人数を超えてはなりません。建設分野も常用労働者の総数を上回らない等の上限があります。採用前に分野別の受入れ上限を確認してください。
②同一国籍・同一グループに偏るリスク 同一国籍の外国人を多数受け入れた場合、グループ内の人間関係のトラブルが職場全体に影響することがあります。国籍・入社時期を分散させることでリスクを軽減できます。
③連鎖退職のリスク 同じグループから複数名が同時に退職するケースがあります。定期面談で個別の状況を丁寧に把握し、不満・問題の早期発見・解決に取り組むことが重要です。
④住居確保 複数名が同時入社する場合、住居の確保が課題になることがあります。社宅の用意・不動産契約への同行支援を複数名分並行して進める必要があります。
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、複数名の特定技能外国人の受入れに関して以下のサポートを提供しています。
- 複数名分の申請書類の一括作成・取次:複数名分の書類作成を効率的に進めます。
- 在留期限管理台帳の整備サポート:複数名の在留期限・更新申請時期の管理方法をアドバイスします。
- 定期届出の一括対応:複数名分の定期届出書類を一括して作成・提出サポートします。
- 登録支援機関としての受託:複数名分の支援業務を受託します。面談・記録・届出管理を一括対応します。
- 自社支援切り替えの判断サポート:受入れ人数に応じた自社支援切り替えのコスト・メリット分析をサポートします。
FAQ
Q1. 複数名の申請を同時に提出すると審査が早くなりますか? 必ずしも早くなるわけではありません。審査は案件ごとに行われます。ただし同一企業の申請が重なる場合は、審査の効率化が図られる場合もあります。
Q2. 国籍が異なる外国人を同時に採用できますか? はい、可能です。国籍が異なる場合は、国籍ごとに対応言語・二国間協定の手続きが異なります。各国籍の手続きを個別に確認することが必要です。
Q3. 複数名のうち1名が途中退職した場合、他の人の在留資格に影響しますか? 原則として他の人の在留資格には影響しません。ただし退職者分の随時届出は個別に必要です。
Q4. 在留期限を意図的にそろえることはできますか? 在留期限は申請日・審査結果によって決まるため、完全にそろえることは困難です。ただし入社時期を調整することである程度近い時期にすることは可能です。
Q5. 複数名の定期面談を一度にまとめて実施できますか? グループ面談は可能ですが、個人的な相談・労働条件の確認は個別面談が必要です。グループ面談は情報共有・生活上の共通課題の確認に活用し、個別面談で詳細を確認するハイブリッド形式が有効です。
まとめ
特定技能外国人を複数名採用する場合は、在留期限管理台帳の整備・申請書類の共通化・定期届出の一括対応・支援業務の効率化が重要なポイントです。
受入れ人数が増えるほど委託費総額が大きくなるため、自社支援への切り替えのコスト効果も積極的に検討することをおすすめします。また連鎖退職・受入れ上限・住居確保など複数名ならではのリスクにも事前に備えることが重要です。
企業が次に確認すべきこと
- 採用予定人数・入社時期・在留期限の分散計画を立てる
- 自社の受入れキャパシティ(支援体制・住居・OJT体制)を確認する
- 在留期限管理台帳を整備し、更新申請のリマインダーを設定する
- 受入れ人数が増えた場合の自社支援切り替えのコスト効果を試算する
行政書士アーチ事務所では、複数名の特定技能外国人の受入れ手続きを一括してサポートしています。お気軽にご相談ください。
AUTHOR REVIEW
この記事の監修者
行政書士アーチ事務所
行政書士・申請取次行政書士
大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。
ONLINE CONSULTATION
大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています
行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。
受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。
WHY ARCH OFFICE
行政書士アーチ事務所が選ばれる理由
ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。
01
登録支援機関でもある行政書士事務所
特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。
02
有料職業紹介許可を保有
外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。
03
大阪市拠点・全国オンライン対応
大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。
04
英語・中国語の相談にも対応
外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。
05
個人向けと企業向けの両方に対応
家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。
RELATED ARTICLES
