特定技能「自動車運送業」の要件・協議会・注意点【2026年最新版】
特定技能「自動車運送業」の受入れ要件・業務区分・協議会加入・働きやすい職場認証・新任運転者研修・日本語レベルの注意点まで行政書士が解説します。トラック・タクシー・バス別に整理。
導入
「トラック・タクシー・バスの運転手として外国人を採用できると聞いたが、何が必要か」「自動車運送業は他の分野と何が違うのか」「働きやすい職場認証とは何か」——物流・運輸業の担当者から、こうしたご相談が増えています。
特定技能「自動車運送業」は2024年3月に新設された比較的新しい分野です。トラック・タクシー・バスの深刻なドライバー不足に対応するために設けられました。他の分野と大きく異なる点として、①業務区分によって日本語レベルの要件が異なること(タクシー・バスはN3以上)、②受入れ前に「働きやすい職場認証」の取得が必要なこと、③タクシー・バスは新任運転者研修の実施が義務であること、が挙げられます。
この記事では、特定技能「自動車運送業」の要件・試験・3業務区分・協議会・注意点を最新情報に基づいて解説します。
このページの要点
Q1. 特定技能「自動車運送業」の業務区分は何ですか? トラック(貨物自動車)・タクシー・バスの3区分です。それぞれ従事できる業務・必要な免許・日本語レベルの要件が異なります。
Q2. 日本語レベルの要件は全区分共通ですか? いいえ。タクシー運転者・バス運転者についてはJLPT N3以上またはJFT-Basic A2以上が必要です(他の分野の多くはN4以上)。トラック運転者はJLPT N4以上またはJFT-Basicで構いません。
Q3. 「働きやすい職場認証」とは何ですか? 一般財団法人日本海事協会が実施する「運転者職場環境良好度認証制度」のことです。受入れ事業者がこの認証を取得していることが受入れの前提条件であり、協議会加入の条件にもなっています。トラックはGマーク(全日本トラック協会)でも代替可能です。
Q4. タクシー・バスの新任運転者研修とは何ですか? 外国人本人の試験合格後、実際に業務を開始する前に実施が義務付けられている研修です。タクシーとバスそれぞれで法令に定められた内容の研修を受入れ企業が実施することが必要です。
Q5. 運転免許は誰が取得しますか? 外国人本人が日本の運転免許を取得する必要があります。業務区分によって必要な免許が異なります(トラックは第一種、タクシー・バスは第二種)。海外からの採用の場合、入国前または入国後の免許取得が大きなハードルとなります。
本文
特定技能「自動車運送業」の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所管省庁 | 国土交通省 |
| 業務区分 | 3区分(トラック・タクシー・バス) |
| 特定技能2号 | なし(自動車運送業は2号の対象外) |
| 受入れ見込数 | 最大2万4,500人(2024〜2028年度・5年間) |
| 雇用形態 | 直接雇用のみ(派遣不可) |
| 協議会 | 自動車運送業分野特定技能協議会(事務局:国土交通省) |
| 協議会加入開始 | 2025年1月17日〜 |
| 協議会費用 | 無料 |
| 協議会証明書発行 | 届出から1か月以内の見込み |
3つの業務区分
①トラック運転者(貨物自動車)
- 事業用自動車(トラック)の運転および運転に付随する業務全般
- 必要な免許:第一種運転免許(普通・中型・大型など、運転する車両に応じたもの)
- 日本語要件:JFT-BasicまたはJLPT N4以上
- 受入れ前に実施すべき研修:初任運転者研修(国土交通省告示による)
②タクシー運転者
- 事業用自動車(タクシー)の運転および運転に付随する業務全般
- 必要な免許:第二種運転免許
- 日本語要件:JFT-Basic A2以上またはJLPT N3以上(他区分より高いレベル)
- 受入れ前に実施すべき研修:新任運転者研修(受入れ企業が実施義務)
③バス運転者
- 事業用自動車(バス)の運転および運転に付随する業務全般
- 必要な免許:第二種運転免許(大型)
- 日本語要件:JFT-Basic A2以上またはJLPT N3以上(タクシーと同様)
- 受入れ前に実施すべき研修:新任運転者研修(受入れ企業が実施義務)
| 区分 | 必要免許 | 日本語要件 | 新任研修義務 |
|---|---|---|---|
| トラック | 第一種(種別は車種により) | N4以上・JFT-Basic | なし(初任研修は必要) |
| タクシー | 第二種 | N3以上・JFT-Basic A2以上 | あり |
| バス | 第二種(大型) | N3以上・JFT-Basic A2以上 | あり |
外国人本人の要件
①特定技能1号評価試験への合格 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(実施:一般財団法人日本海事協会)への合格が必要です。試験は学科試験と実技試験で構成されています(CBT方式またはペーパーテスト方式)。
②日本語試験への合格
- トラック:JFT-Basic(合格)またはJLPT N4以上
- タクシー・バス:JFT-Basic A2以上またはJLPT N3以上
タクシー・バスはN3という高いレベルが求められます。これは乗客とのコミュニケーションの必要性が考慮されているためです。
③運転免許の取得 業務区分に対応した日本の運転免許を取得していることが必要です。
- トラック:普通・中型・大型など(運転する車両に応じた第一種免許)
- タクシー・バス:第二種運転免許
第二種運転免許の取得は外国人にとって大きなハードルです。特に海外から採用する場合、入国後に免許を取得する期間が必要になります。
④新任運転者研修の修了(タクシー・バスのみ) タクシー・バスの場合は、試験合格に加えて新任運転者研修を修了することが必要です。
受入れ企業の要件
①自動車運送事業者であること 道路運送法第2条第2項に規定する自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を経営していることが必要です。
②働きやすい職場認証の取得(全区分必須・最重要) 受入れ企業は以下のいずれかの認証・認定を取得していることが必要です。これは協議会加入の条件にもなっています。
| 区分 | 必要な認証・認定 |
|---|---|
| トラック | 働きやすい職場認証制度(一般財団法人日本海事協会)またはGマーク(全日本トラック協会の貨物自動車運送事業安全性評価事業) |
| タクシー | 働きやすい職場認証制度 |
| バス | 働きやすい職場認証制度 |
働きやすい職場認証制度とは 一般財団法人日本海事協会が実施する「運転者職場環境良好度認証制度」です。労働時間・賃金・安全・環境などの観点から職場環境を評価・認証する制度で、一つ星・二つ星・三つ星の3段階があります。特定技能の受入れには一つ星以上の認証が必要です。認証取得には時間がかかるため、受入れを検討している段階から早めに取得手続きを進めることが重要です。
③新任運転者研修の実施(タクシー・バスのみ) タクシー・バスでの受入れの場合、受入れ企業が外国人本人に対して新任運転者研修を実施することが義務付けられています。
④協議会への加入 自動車運送業分野特定技能協議会への加入(在留資格申請前)が必要です。
⑤登録支援機関への委託条件 登録支援機関に支援を委託する場合、その登録支援機関も協議会の構成員であることが必要です。
協議会について
協議会名 自動車運送業分野特定技能協議会
事務局 国土交通省(旅客課・貨物課)
加入開始 2025年1月17日から加入申請の受付が開始されました。
加入のタイミング 在留資格申請の前に加入が必要です。届出から1か月以内に証明書が発行される見込みです(不備がある場合はさらに時間がかかる場合があります)。
加入の条件 協議会への加入申請前に、働きやすい職場認証(またはGマーク)を取得していることが必要です。認証を取得していない事業者は協議会に加入できません。
加入手続き 国土交通省のホームページからオンラインで申請します。 - 受入れ事業者(特定技能所属機関):第1号様式 - 登録支援機関:第2号様式
登録支援機関も加入が必要 支援業務を委託する登録支援機関も協議会の構成員である必要があります。
費用 無料
受入れ前に準備すべき手順
自動車運送業分野での受入れは、以下の順序で準備を進めることが重要です。
- 働きやすい職場認証の取得(またはGマーク・最も時間がかかる)
- 協議会への加入申請(認証取得後・証明書発行まで1か月程度)
- 外国人本人の試験合格・免許取得の確認
- 在留資格申請(特定活動への申請を経て特定技能へ)
- 新任運転者研修の実施(タクシー・バスのみ・就業開始前)
- 就労開始
特に働きやすい職場認証の取得には審査・認定プロセスがあり、相当の準備期間が必要です。受入れを検討している段階から早めに取得手続きを開始することが重要です。
自動車運送業分野特有の注意点
①運転免許の取得が最大のハードル 特定技能「自動車運送業」は、外国人本人が日本の運転免許を取得していることが前提です。特に第二種運転免許(タクシー・バス)の合格率は低く、複数回の受験が必要なケースも多くあります。海外から採用する場合、入国後の免許取得期間を採用スケジュールに組み込む必要があります。
②タクシー・バスはN3以上の日本語が必要 タクシー・バスはN3という高い日本語レベルが求められます。乗客との日常的なコミュニケーション・緊急時の対応などが必要なためです。N3レベルに達していない候補者は採用できません。
③働きやすい職場認証なしでは協議会加入もできない 認証を取得していない事業者は協議会に加入できず、協議会加入がなければ在留資格申請もできません。認証取得から受入れ開始まで相当の時間がかかるため、計画的に進めることが不可欠です。
④特定技能2号がない 自動車運送業分野には特定技能2号が設定されていません。通算5年の在留期間の上限後、継続就労するためには他の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)への変更を検討する必要があります。
⑤分野が新設されたばかりで実務例が少ない 自動車運送業分野は2024年3月に新設されたばかりで、協議会の加入受付も2025年1月17日に開始されたばかりです。実務上の事例・書類の様式・手続きの詳細が整備途上の部分もあるため、最新の公式情報を確認しながら進めることが重要です。
在留資格申請に必要な主な書類
外国人本人に関する書類
- 在留資格変更・認定申請書(最新様式)
- パスポート・在留カードの写し
- 自動車運送業分野特定技能1号評価試験の合格証明書
- 日本語試験の合格証明書(N3以上またはJFT-Basic A2以上:タクシー・バス)
- 運転免許証の写し
- 健康診断個人票
受入れ企業に関する書類
- 特定技能雇用契約書・雇用条件書の写し
- 1号特定技能外国人支援計画書(最新様式)
- 登記事項証明書・納税証明書
- 社会保険・労働保険の納付確認書類
自動車運送業分野特有の書類
- 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員資格証明書
- 働きやすい職場認証証(またはGマーク認定証・トラックの場合)
- 自動車運送事業許可証の写し
※書類は制度改正により変更になる場合があります。申請前に入管・国土交通省の最新情報を必ず確認してください。
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、特定技能「自動車運送業」の受入れに関して以下のサポートを提供しています。
- 働きやすい職場認証取得の確認サポート:認証の取得状況・申請スケジュールの確認をサポートします。
- 協議会加入サポート:加入申請の流れ・必要書類の確認をサポートします。
- 在留資格申請書類の作成・取次:分野特有の書類を含めた申請書類の作成・取次を行います。
- 登録支援機関としての支援受託:入国後の10項目の支援業務を受託します。
FAQ
Q1. 海外にいる外国人がどうやって日本の運転免許を取得すればよいですか? 海外から採用する場合、入国後に日本の教習所で取得することが基本的なルートです。第二種免許の取得を前提に採用する場合は、入国から免許取得・研修修了まで相当の期間と費用が必要です。具体的なルートについては専門家に相談することをおすすめします。
Q2. 外国の運転免許を日本の免許に切り替え(外免切替)できますか? 一部の国籍については外免切替が可能ですが、第二種免許は外免切替の対象外であり、別途試験が必要です。また外免切替で取得できる免許の種別は国籍・免許種別によって異なります。
Q3. トラック・タクシー・バスを兼務させることはできますか? 業務区分が異なるため、それぞれの区分の試験合格・免許・研修が必要です。基本的には一つの区分での受入れが前提です。
Q4. 働きやすい職場認証の取得にはどのくらいかかりますか? 申請から認証取得まで数か月かかる場合があります。詳細は日本海事協会の公式サイトでご確認ください。受入れを検討している段階から早めに手続きを進めることをおすすめします。
Q5. 自動車運送業の特定技能外国人が交通事故を起こした場合の対応は? 日本人ドライバーと同様に処理されます。受入れ企業として適切な保険加入・安全管理体制の整備が重要です。
まとめ
特定技能「自動車運送業」は2024年に新設されたトラック・タクシー・バスの3区分からなる分野です。他の分野と大きく異なる特徴として、①タクシー・バスはJLPT N3以上が必要、②働きやすい職場認証取得が協議会加入の前提条件、③タクシー・バスは新任運転者研修の実施義務、④外国人本人の日本の運転免許取得が必須、の4点が挙げられます。
特に働きやすい職場認証の取得から受入れ開始まで相当の準備期間が必要です。受入れを検討している段階から早めに準備を開始することが重要です。制度が新設されたばかりであるため、最新の公式情報を確認しながら進めることをおすすめします。
企業が次に確認すべきこと
- 自社が「働きやすい職場認証」またはGマークを取得しているか確認する
- 受入れたい業務区分(トラック・タクシー・バス)と必要な日本語レベルを確認する
- 協議会への加入申請(認証取得後)を進める
- 候補者の日本の運転免許取得計画を立てる
行政書士アーチ事務所では、特定技能「自動車運送業」の受入れに関する手続きをサポートしています。お気軽にご相談ください。
AUTHOR REVIEW
この記事の監修者
行政書士アーチ事務所
行政書士・申請取次行政書士
大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。
ONLINE CONSULTATION
大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています
行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。
受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。
WHY ARCH OFFICE
行政書士アーチ事務所が選ばれる理由
ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。
01
登録支援機関でもある行政書士事務所
特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。
02
有料職業紹介許可を保有
外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。
03
大阪市拠点・全国オンライン対応
大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。
04
英語・中国語の相談にも対応
外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。
05
個人向けと企業向けの両方に対応
家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。
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