高度専門職ビザを持つ外国人を迎え入れる企業が知っておくべきこと
高度専門職ビザを持つ外国人を採用・受け入れする企業向けに、職務内容、雇用条件、ポイント、家族帯同の注意点を解説します。
この記事で分かること - 高度専門職ビザの「指定書」とは何か、なぜ転職時に変更申請が必要か - 企業が高度専門職の外国人を迎え入れる3つのパターンと手続きの違い - 企業側が準備・協力すべき書類 - 在留管理上の注意点(職務変更・退職・在留期限) - 技術・人文知識・国際業務との使い分け
結論 高度専門職ビザは「指定書」により所属機関(会社名)が指定されているため、転職・他社から新たに雇用する場合は在留期間が残っていても在留資格変更申請が必須です。許可が出る前に就労させると不法就労になります。企業が高度人材を迎え入れる際は、「海外からの招聘」「自社社員の切り替え」「他社在籍者の新規雇用」のどのパターンかによって手続きが異なります。HR担当者がこの違いを正確に理解しておくことが重要です。
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はじめに:高度専門職ビザと「指定書」の関係
高度専門職1号ビザにはパスポートに「指定書」が添付されており、そこには就労が認められる所属機関(会社名)が明記されています。これは技術・人文知識・国際業務ビザとの大きな違いです。
| 比較 | 高度専門職1号 | 技術・人文知識・国際業務 |
|---|---|---|
| 転職時の手続き | 在留資格変更申請が必須 | 所属機関変更の届出のみ(14日以内) |
| 在留期間中の転職 | 期間が残っていても変更申請が必要 | 届出のみで就労継続可 |
| 許可前の就労 | 不可(不法就労になる) | 届出後すぐ就労可 |
このため、高度専門職の外国人を他社から新たに雇用する場合は、変更申請の許可が出てから就労開始という流れが必須となります。
企業が高度専門職の外国人を迎え入れる3つのパターン
#### パターン1:海外から高度人材を招聘する
海外在住の外国人を新たに高度専門職として迎え入れる場合は、在留資格認定証明書(COE)の交付申請から始まります。
手続きの流れ
- 企業が管轄の入管に在留資格認定証明書交付申請を行う
- 審査・COE交付(優先審査対象のため通常1〜2か月程度)
- 本人が在外日本公館でビザ申請
- 入国・就労開始
#### パターン2:自社の技人国社員を高度専門職に切り替える
すでに自社で「技術・人文知識・国際業務」として勤務している外国人社員が高度専門職のポイント要件(70点以上)を満たすようになった場合、在留資格変更申請により切り替えることができます。
切り替えることで、配偶者の就労制限緩和・永住申請の在留年数短縮など、社員本人にとっての優遇措置が追加されます。企業側は書類準備に協力します。
#### パターン3:他社に在籍している高度専門職の外国人を新たに雇用する
既に他社で高度専門職1号ビザを持っている外国人を新たに雇用する場合、在留資格変更申請が必要です。
- 在留期間が残っていても変更申請が必要(更新申請では対応不可)
- 変更申請の許可が出るまで自社での就労は不可
- 申請中は従前の在留資格・指定書の内容のままのため、内定後すぐに働かせることはできない
この点を見落として内定後すぐに就労させると不法就労になるため、入社時期と申請スケジュールの調整が不可欠です。
企業が準備・協力する主な書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 雇用契約書 | 職務内容・年収・雇用期間を明記 |
| 会社の登記事項証明書 | 3か月以内のもの |
| 会社の直近の決算書 | 経営の安定性を示す |
| 会社の概要・事業説明書 | パンフレット等 |
| 高度人材ポイント計算に関連する書類 | 年収・職務内容がポイント計算と一致していることを示す |
ポイント計算は申請人本人が行いますが、年収・職務内容はすべて雇用契約書の内容が根拠になるため、企業側の書類の精度が申請の成否に直結します。
在留管理上の注意点
#### 職務内容・所属部署の変更
高度専門職は指定書で所属機関が指定されているため、同一企業内であっても職務内容が指定書の内容と大きく変わる場合は変更申請が必要になる場合があります。異動・昇進・職種変更の際は事前に確認することをお勧めします。
#### 退職・雇用終了
外国人社員が退職した場合、企業は出入国在留管理庁への所属機関離脱の届出が必要です(14日以内)。届出を怠ると企業側に不利益が生じる場合があります。
#### 在留期限の管理
高度専門職は在留期間5年が指定されますが、在留期限の管理はHR担当者が行う必要があります。在留期限の3か月前から更新申請が可能なため、余裕を持って準備することが重要です。
高度専門職と技術・人文知識・国際業務の使い分け
| 比較項目 | 高度専門職 | 技術・人文知識・国際業務 |
|---|---|---|
| 取得条件 | ポイント70点以上 | 学歴・職歴・業務の一致 |
| 転職時の手続き | 変更申請が必須 | 届出のみ |
| 職務の柔軟性 | 複合活動が可能 | 許可された活動のみ |
| 配偶者の就労 | 要件緩和あり | 家族滞在(週28時間以内) |
| 永住短縮 | あり(70点で3年、80点で1年) | なし(原則10年) |
ポイントが70点に達しない社員には「技術・人文知識・国際業務」が現実的な選択肢です。また、転職を繰り返す可能性のある外国人にとっては、転職のたびに変更申請が必要な高度専門職より技人国の方が実務上扱いやすい場合もあります。
FAQ
Q1. 他社の高度専門職社員に内定を出した後、すぐに働いてもらえますか? いいえ。在留資格変更申請の許可が出るまで、自社での就労はできません。入社日は変更申請の許可見込み時期に合わせてスケジュールを組む必要があります。
Q2. 変更申請中、本人は元の会社で働き続けられますか? 申請中は従前の指定書の内容(元の会社)に基づく在留資格が継続しているため、元の会社での就労は継続できます。ただし新しい会社での就労は許可が出るまで不可です。
Q3. 自社の技人国社員が高度専門職のポイントを満たした場合、切り替えるメリットはありますか? 社員本人にとっては、永住申請の在留年数短縮・配偶者の就労制限緩和・複合活動の許容など多くのメリットがあります。長期的な定着を促す手段として有効です。企業側の書類準備を協力することで、社員の定着・モチベーション向上にもつながります。
Q4. 高度専門職の社員が退職した場合、どのような届出が必要ですか? 企業は退職日から14日以内に、出入国在留管理庁に所属機関の離脱届を提出する必要があります。届出はオンラインでも可能です。
Q5. ポイントが70点に満たない外国人も同様の方法で雇用できますか? はい。「技術・人文知識・国際業務」として雇用することが可能です。転職時の手続きは届出のみとなるため、採用・転職の手続きはこちらの方が簡便です。
この記事の要点
- 高度専門職は指定書で所属機関が指定されているため、転職・他社からの新規雇用には変更申請が必須
- 変更申請の許可が出る前に就労させると不法就労になる
- 迎え入れのパターン(招聘・切り替え・他社在籍者の新規雇用)によって手続きが異なる
- 企業は雇用契約書・登記事項証明書・決算書などの書類準備に協力する
- 退職時の所属機関離脱届・在留期限管理もHR担当者の重要な責務
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