ARTICLE 12
賃金台帳に必ず記載すべき項目|法定記載事項と保存期間を社労士が解説

賃金台帳は、すべての事業者に作成・保管が義務付けられている法定帳簿のひとつです。「給与明細を発行しているから大丈夫」と思っている会社もありますが、給与明細と賃金台帳は別物です。
本記事では、賃金台帳に記載しなければならない法定事項と、実務上のポイントを解説します。
賃金台帳とは
賃金台帳は、労働基準法第108条に基づき、すべての使用者に作成・保管が義務付けられている帳簿です。
労働基準監督署の調査が入った際に必ず確認される書類のひとつであり、整備が不十分な場合は是正指導の対象となります。
法定記載事項(必ず記載すべき項目)
労働基準法施行規則第54条により、以下の事項を記載しなければなりません。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 従業員の氏名 |
| 性別 | 男・女の別 |
| 賃金計算期間 | 例:4月1日〜4月30日 |
| 労働日数 | その期間の実労働日数 |
| 労働時間数 | 所定内・時間外を合わせた総労働時間数 |
| 時間外労働時間数 | 法定時間外労働の時間数 |
| 深夜労働時間数 | 午後10時〜午前5時の労働時間数 |
| 休日労働時間数 | 法定休日の労働時間数 |
| 基本給・手当その他賃金の種類ごとの額 | 基本給・各種手当・賞与等を種類別に記載 |
| 控除項目と金額 | 社会保険料・雇用保険料・所得税・住民税等の控除額 |
よくある記載漏れ
深夜・休日労働時間数の未記載
時間外労働時間数は記載していても、深夜労働・休日労働の時間数を別途記載していないケースが多いです。これらは割増率が異なるため、別々に記録する必要があります。
賃金の種類ごとの内訳未記載
「給与合計○○円」とだけ記載し、基本給・残業代・各種手当の内訳を記載していないケースも是正対象となります。
賃金計算期間の未記載
当月分・翌月分など、どの期間の賃金かが不明な台帳は不備とみなされます。
給与計算ソフト利用時の注意点
多くの会社が給与計算ソフトを利用していますが、ソフトの出力データがそのまま賃金台帳の要件を満たしているとは限りません。
以下の点を確認してください。
- 深夜・休日労働時間数が別途出力されているか
- 賃金の種類ごとの金額が明細として出力されているか
- 控除項目が個別に記載されているか
ソフトの設定によっては一部項目が省略されている場合があるため、定期的に出力内容を確認することをお勧めします。
保存期間
賃金台帳の保存期間は、最後に記載した日から5年間(当面の間は3年間の経過措置あり)です。
退職した従業員の台帳も含めて保管が必要です。
作成単位
賃金台帳は従業員ごとに作成します。複数の従業員をまとめた一覧形式でも法定要件を満たしますが、従業員ごとに必要な記載事項がすべて含まれている必要があります。
まとめ
- 賃金台帳は労基法第108条に基づく法定帳簿
- 氏名・性別・賃金計算期間・労働時間数・時間外・深夜・休日労働時間数・賃金種別・控除額の記載が必須
- 深夜・休日労働時間数の記載漏れが最も多いミス
- 給与計算ソフトの出力が法定要件を満たしているか定期確認が必要
- 保存期間は最終記載から5年間(当面3年)
賃金台帳の整備・見直しについては、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年6月時点の法令に基づいています。
執筆:社会保険労務士アーチ事務所(大阪)