ARTICLE 09
従業員がSNSで会社の誹謗中傷を投稿したときの対応|社労士が解説

WeChat・Weibo・小紅書・TikTok・X(旧Twitter)・Instagramなど、今や多くの従業員がSNSを日常的に利用しています。
そのSNSに、従業員が会社に関する否定的な情報を投稿した場合、どのような影響が生じるでしょうか。
SNSは情報の拡散速度が速く、影響範囲が広いのが特徴です。一度投稿された内容は、瞬時に不特定多数へ広がる可能性があります。内容によっては、会社の社会的信用の低下・ブランドイメージへのダメージ・顧客離れ・取引先との関係悪化など、実際のビジネス損失につながるケースもあります。
では、こうした事態が起きたとき、会社はどのように対応すればよいのでしょうか。
発生時の対応手順
ステップ1:証拠を保全する
まず、投稿内容をスクリーンショット・URL・投稿日時とともに保存します。削除されると証拠がなくなるため、発見次第すぐに保全することが最優先です。
ステップ2:投稿者を特定し、事実確認を行う
投稿者が社内の誰かを特定し、投稿の経緯・事実関係を確認します。感情的な対応は避け、事実確認を冷静に行うことが重要です。
ステップ3:投稿の削除を求める
投稿者本人に削除を求めます。任意での削除が望ましいですが、拒否された場合はプラットフォームへの削除申請を検討します。
ステップ4:法的対応を検討する
内容が名誉毀損・業務妨害・秘密情報の漏洩等に該当する場合は、弁護士を通じた内容証明・削除請求・損害賠償請求も選択肢となります。
ステップ5:対外的な対応を検討する
投稿が広く拡散し社会的影響が生じている場合は、公式声明の発表や事実関係の説明を検討します。
ステップ6:懲戒処分を検討する
就業規則に懲戒規定がある場合、内容の重大性に応じて懲戒処分(譴責・減給・出勤停止・懲戒解雇等)を検討できます。就業規則にSNSに関する規定がない場合は、懲戒処分の根拠が弱くなるため注意が必要です。
ステップ7:再発防止策を講じる
同様の事態が再発しないよう、社内ルールの整備・従業員教育を実施します。
事後対応より「予防」が重要
こうした対応には多大な時間・コスト・労力がかかります。発生してから対処するより、事前の予防策が格段に重要です。
会社が取るべき予防措置
1. 就業規則・SNS管理規程に明確な規定を設ける
就業規則または別途「SNS利用規程」に、以下の内容を明記しておくことが重要です。
- 会社・同僚・取引先に関する情報の無断投稿の禁止
- 機密情報・個人情報の漏洩禁止
- 違反した場合の懲戒処分の内容
規定がなければ、どれだけ問題のある投稿でも懲戒処分を下しにくくなります。
2. 入社時に誓約書を取得する
SNSの利用に関するルールと守秘義務について、入社時に書面で誓約書を取得しておくことが有効です。後からのトラブルを防ぐ証拠となります。
3. 定期的な教育・研修を実施する
従業員に対し、SNS投稿が会社・本人双方に与えるリスクについて定期的に教育します。「投稿が会社に与える影響」を具体的に伝えることが効果的です。
4. 社内の相談・苦情窓口を整備する
従業員が不満を抱えたとき、社外のSNSではなく社内で解決できる仕組みを作ることが根本的な予防になります。内部告発制度・上司以外への相談窓口の整備が有効です。
5. 情報セキュリティ管理を強化する
機密情報・個人情報の取り扱いルールを明確にし、従業員が意図せず機密情報をSNSに投稿するリスクを低減します。
外国人従業員が多い会社への補足
中国語圏の従業員が多い職場では、WeChatや小紅書などの中国語SNSでの投稿リスクにも注意が必要です。就業規則・SNS規程・誓約書の中国語版を用意しておくことを推奨します。
なお、外国人従業員の在留資格・就労管理については、当グループの行政書士アーチ事務所がサポートしています。詳しくは[こちら](/visa/)をご覧ください。
まとめ
- SNSトラブルが発生したらまず証拠保全、次に事実確認・削除要請・法的対応の順で進める
- 懲戒処分には就業規則のSNS関連規定が必須
- 事後対応より予防(規程整備・誓約書・教育)が重要
- 外国人従業員が多い場合は多言語対応の規程・誓約書を準備する
SNS利用規程の整備・就業規則の見直しについては、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年6月時点の法令に基づいています。
執筆:社会保険労務士アーチ事務所(大阪)