特定技能

特定技能外国人への相談対応体制の作り方【企業向け・2026年最新版】

特定技能外国人への相談対応体制の整備方法を解説。相談窓口の設置・対応言語・記録の残し方・外部機関との連携まで、企業が構築すべき体制を行政書士がわかりやすく説明します。

導入

「外国人が何も相談してこないが、本当に問題がないのか不安」「相談窓口を設けているが、実際に機能しているか自信がない」——特定技能外国人を受け入れている企業の担当者から、こうした声をよく聞きます。

特定技能1号の10項目の義務的支援の一つに「相談・苦情への対応」があります。単に「相談窓口を設ける」だけでなく、外国人が実際に相談しやすい環境を整備し、相談があった場合は適切に対応・記録することが求められます。

この記事では、以下の3点を中心に解説します。

  1. 相談対応体制の整備に必要な要素
  2. 外国人が相談しやすい環境を作るための工夫
  3. 相談があった場合の対応フローと記録

結論を先にお伝えすると、相談対応体制の核心は「外国人が相談しやすい担当者・言語・方法を整え、相談があれば迅速に対応し記録を残す」ことです。形式的な窓口設置ではなく、外国人が実際に使える体制を作ることが重要です。

このページの要点

Q1. 相談窓口は誰が担当すればよいですか? 支援担当者(または支援責任者)が相談窓口を担います。外国人の直属の上司ではなく、中立的な立場の担当者が窓口になることが重要です。外国人が職場の問題を相談しやすい環境を整えるためです。

Q2. 相談は何語で受け付ける必要がありますか? 外国人本人が理解できる言語(母国語または英語など)での対応が求められます。担当者が外国語を話せない場合は通訳サービスの活用が必要です。

Q3. 相談があった場合、必ず記録を残す必要がありますか? はい。相談・苦情があった場合は都度「相談記録書」を作成し保管することが必要です。記録は定期届出時の支援実施状況報告の根拠にもなります。

Q4. 深刻な問題(ハラスメント・労働条件違反など)が発覚した場合はどうすればよいですか? 事実関係を確認した上で適切な対応を取り、必要に応じてハローワーク・労働基準監督署などの関係機関へ通報・相談します。深刻な問題を把握しながら放置することは支援義務の不履行となります。

Q5. 外国人が「何もない」と言い続けている場合、それでよいですか? 形式的な「問題なし」の回答を鵜呑みにするのは危険です。外国人が本音を言いにくい環境にある場合もあります。定期面談での丁寧な対話・信頼関係の構築が重要です。

本文

相談対応の法令上の位置づけ

「相談・苦情への対応」は特定技能1号の10項目の義務的支援の第6番目に位置づけられています。支援計画書にも相談窓口の担当者・連絡先・対応時間・使用言語を記載することが求められます。

相談対応の主な目的は以下のとおりです。

  • 外国人が職場・生活上の問題を早期に相談できる環境を整える
  • 問題が深刻化する前に発見・対応する
  • ハラスメント・労働条件違反などの不当な扱いを防ぐ
  • 外国人の定着・安心感の向上につなげる

相談対応体制の5つの要素

①相談窓口担当者の明確化 相談窓口を担う担当者を明確に決め、外国人本人に伝えます。担当者は支援担当者(または支援責任者)が務めることが一般的ですが、外国人の直属の上司は避けることが重要です(中立性の確保)。

複数名の外国人を受け入れている場合や、担当者が不在の場合に備えて、バックアップの担当者も設置することが望ましいです。

②対応言語の確保 外国人本人が理解できる言語での対応が必要です。担当者が外国語を話せない場合の対応策として以下が考えられます。

  • 電話・ビデオ通訳サービスとの契約(即時対応が可能)
  • 同じ国籍の社員への橋渡し依頼
  • 翻訳アプリの活用(緊急でない場合)

特に緊急性の高い相談(体調不良・事故・トラブルなど)には即座に対応できる体制が必要です。

③相談方法の多様化 外国人が相談しやすい方法を複数用意することが重要です。

相談方法特徴
対面最も信頼関係を築きやすい
電話即時対応が可能
メッセージアプリ(LINE等)気軽に相談しやすい
メール記録が残りやすい
定期面談時定期的に状況を確認できる

外国人によっては対面での相談が難しい場合もあるため、メッセージアプリや電話など気軽に連絡できる手段を提供することで相談のハードルが下がります。

④相談可能な時間帯の設定 支援計画書には相談可能な時間帯を記載します。業務時間外の緊急相談への対応方法も事前に決めておくことが重要です。

  • 通常の相談:業務時間内(例:平日9時〜18時)
  • 緊急の相談:24時間対応の緊急連絡先を設定する(担当者の携帯番号など)

⑤外部相談窓口の案内 社内では相談しにくい問題(上司からのハラスメントなど)については、外部の相談窓口を案内することが重要です。

主な外部相談窓口:

  • 外国人技能実習機構(OTIT)
  • 都道府県労働局・ハローワーク
  • 労働基準監督署(労働条件・賃金の問題)
  • 法テラス(法律相談)
  • 外国人総合相談センター
  • 配偶者暴力相談支援センター(DV被害の場合)
  • 各地の国際交流協会

これらの外部窓口を外国人が理解できる言語で記載した資料を渡すことが望ましいです。

外国人が相談しやすい環境を作るための工夫

信頼関係の構築が最優先 外国人が相談しやすいかどうかは、担当者との信頼関係に大きく依存します。定期面談での丁寧な対話・日常的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが基本です。

「相談して大丈夫」と伝える 相談したことで不利益を受けないことを明確に伝えます。「相談や苦情を申し出ても、それを理由に不利益な取り扱いはしない」旨を支援計画書にも記載します。

プライバシーへの配慮 相談内容は原則として相談者の同意なく第三者(特に直属の上司)に伝えないことを明確にします。相談内容が上司に筒抜けになることがわかると、外国人は相談しなくなります。

母国語での情報提供 相談窓口の担当者・連絡先・相談方法を母国語で記載した案内書を渡します。携帯電話に保存してもらうなど、いつでも参照できる状態にすることが効果的です。

相談があった場合の対応フロー

ステップ1:相談内容の傾聴 まず外国人の話を遮らず最後まで聞きます。担当者が外国語を話せない場合は通訳を手配します。

ステップ2:事実確認 相談内容に基づき、必要に応じて関係者(監督者など)からも事実を確認します。ただし、相談者のプライバシーに配慮した方法で確認することが重要です。

ステップ3:対応策の検討・実施 相談内容に応じた対応策を検討し、速やかに実施します。

問題の種類対応例
労働条件(賃金未払い・長時間労働など)是正措置・必要に応じ労働基準監督署へ相談
ハラスメント事実確認・加害者への指導・再発防止策の策定
生活上のトラブル(住居・医療など)関係機関への案内・同行支援
在留資格上の問題行政書士への相談

ステップ4:関係機関への通報・連携(必要な場合) 法令違反が疑われる場合や深刻な問題がある場合は、ハローワーク・労働基準監督署などへ通報・相談します。これは支援義務の一環として義務付けられています。

ステップ5:記録の作成 相談日・内容・対応状況を「相談記録書」に記録します。

相談記録書の作成

相談・苦情があった場合は都度「相談記録書」を作成します。

記載内容

  • 相談日時
  • 相談者の氏名
  • 相談方法(対面・電話・メッセージなど)
  • 相談内容の要約
  • 対応内容
  • 関係機関への通報・相談の有無
  • 担当者の氏名・署名
  • その後の経過・解決状況

保管 相談記録書は雇用契約終了後1年以上保管します。定期届出時に支援実施状況として報告します。

「相談がない」状態への対処

外国人から相談が来ない場合でも、問題がないとは限りません。以下の状況では注意が必要です。

  • 担当者が外国人の直属の上司に近い立場にある
  • 相談したことで不利益を受けた経験がある(または恐れている)
  • 言語の壁で相談のハードルが高い
  • 「相談してはいけない」と思い込んでいる

定期面談(3か月に1回)での丁寧な対話・外国人同士のコミュニティ形成・母国語での情報提供などを通じて、相談しやすい環境を継続的に整備することが重要です。

当事務所に相談できること

行政書士アーチ事務所では、相談対応体制の整備に関して以下のサポートを提供しています。

  • 登録支援機関としての相談窓口の担当:当事務所が相談窓口を担い、外国人からの相談に多言語で対応します。
  • 支援計画書への相談体制の記載サポート:相談窓口・対応時間・使用言語を適切に記載した支援計画書の作成をサポートします。
  • 相談記録書のフォーマット提供:自社での記録管理に使いやすいフォーマットを提供します。
  • 深刻な問題への対応サポート:ハラスメント・労働条件違反など深刻な問題が発覚した場合の対応をアドバイスします。

「外国人が相談しやすい環境を整えたい」という段階からのご相談も歓迎しています。

FAQ

Q1. 外国人が相談した内容を上司に報告する必要がありますか? 相談内容は原則として相談者の同意なく第三者に伝えるべきではありません。ただし法令違反や緊急性が高い問題の場合は、適切な対応のために上司・関係機関への報告が必要になる場合があります。事前に「どのような場合に報告するか」のルールを決めておくことが重要です。

Q2. 外国人同士でトラブルが発生した場合はどうすればよいですか? 双方から事実を確認し、中立的な立場で仲裁・解決策の提示を行います。深刻なトラブルの場合は専門機関(法テラスなど)への相談も検討してください。

Q3. 夜間・休日の緊急相談にはどう対応すればよいですか? 担当者の緊急連絡先(携帯番号)を外国人に伝えておくことが基本です。複数名で担当者ローテーションを組み、常に誰かが対応できる体制が理想です。

Q4. 相談記録は外国人本人に見せる必要がありますか? 法令上の義務はありませんが、対応状況を本人に伝えることは信頼関係の維持に重要です。記録内容について本人に確認を取ることも有効です。

Q5. 相談対応で行政書士はどのような役割を果たせますか? 在留資格に関する問題(更新・変更など)については行政書士が専門的なアドバイスを提供できます。登録支援機関を兼ねている行政書士事務所であれば、相談窓口の担当から申請書類の作成まで一貫して対応できます。

まとめ

特定技能外国人への相談対応体制は、①担当者の明確化、②対応言語の確保、③相談方法の多様化、④相談可能時間の設定、⑤外部相談窓口の案内の5つの要素で構成されます。

相談があった場合は傾聴→事実確認→対応策の実施→必要に応じた関係機関への連携→記録の作成という流れで対応します。「相談がない」状態が続く場合も、外国人が相談しやすい環境になっているかを定期的に見直すことが重要です。

企業が次に確認すべきこと

  1. 相談窓口の担当者・連絡先・対応時間が外国人に伝わっているか確認する
  2. 担当者が外国語で対応できない場合の通訳手段を確保する
  3. 外部相談窓口の一覧を母国語で作成し外国人に渡す
  4. 相談記録書のフォーマットを準備し、相談があれば都度記録する習慣を整える

相談対応体制の整備・支援計画書への反映・記録管理についてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

行政書士アーチ事務所

行政書士・申請取次行政書士

大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。

ONLINE CONSULTATION

大阪市を拠点に、特定技能の相談をオンラインで全国対応しています

行政書士アーチ事務所は大阪市を拠点に、特定技能の在留資格申請、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関に関するご相談を全国から受け付けています。大阪で特定技能に詳しい行政書士を探している企業の方も、遠方の受入れ機関・登録支援機関の方もご相談いただけます。

受入れ分野、雇用条件、協議会、支援体制、届出、記録管理など、企業側で確認すべき点は案件ごとに変わります。申請前や運用変更前に、必要な手続きとリスクを整理します。

WHY ARCH OFFICE

行政書士アーチ事務所が選ばれる理由

ビザ申請の書類作成だけで終わらず、外国人本人・家族・企業側の実務まで確認しながら、必要な手続きと注意点を整理します。

01

登録支援機関でもある行政書士事務所

特定技能の申請だけでなく、支援計画、自社支援切り替え、登録支援機関の変更まで見据えて相談できます。

02

有料職業紹介許可を保有

外国人採用の入口から在留資格、雇用後の手続きまで、採用実務を踏まえて整理します。

03

大阪市拠点・全国オンライン対応

大阪府内はもちろん、遠方の個人・企業からの相談にもLINE、WeChat、電話、フォームで対応します。

04

英語・中国語の相談にも対応

外国人本人、配偶者、企業担当者とのやり取りを、状況に応じて多言語で進められます。

05

個人向けと企業向けの両方に対応

家族滞在、永住、日本人配偶者ビザから、特定技能、技人国、外国人雇用まで横断的に確認します。

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