特定技能外国人の住居確保支援で注意すべきこと【企業向け・2026年最新版】
特定技能外国人の住居確保支援の義務範囲・注意点・家賃控除のルール・近隣トラブル対応まで解説。義務的支援として求められる住居支援の内容と実務対応を行政書士が説明します。
導入
「住居の確保は企業が必ずやらなければならないのか」「家賃を給与から差し引く場合の注意点は何か」「外国人が近隣住民とトラブルになった場合はどう対応するか」——特定技能外国人を受け入れている企業の担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。
特定技能1号の支援計画の義務的支援には「住居確保・生活関連手続きの支援」が含まれています。ただし企業が必ず住居を提供しなければならないわけではなく、外国人本人が住居を確保できるよう支援することが求められます。
この記事では、住居確保支援の義務範囲・具体的な対応方法・家賃控除のルール・近隣トラブルへの対応など、実務上の注意点を解説します。
このページの要点
Q1. 企業は必ず外国人に住居を提供しなければなりませんか? いいえ。企業が住居を提供することは義務ではありません。外国人本人が住居を確保できるよう支援すること(不動産契約への同行・情報提供など)が義務的支援の内容です。ただし外国人が自力で賃貸契約を結ぶことが難しい場合は、企業による住居確保の支援がより重要になります。
Q2. 社宅・寮を提供する場合、家賃を給与から差し引けますか? 実費相当額の範囲内であれば差し引くことができますが、労使協定の締結と外国人本人への事前説明・同意が必要です。市場家賃より著しく高い額の控除は問題になります。
Q3. 外国人が賃貸契約を結ぶ際に企業が保証人になる必要がありますか? 法令上の義務はありませんが、外国人が連帯保証人を見つけることは困難なケースが多く、企業や保証会社が保証人となることが実務上多くあります。
Q4. 外国人が近隣住民とトラブルになった場合、企業はどう対応すればよいですか? 支援計画の義務的支援として、近隣住民とのトラブル解決に向けた支援が求められます。状況を確認した上で、外国人への生活ルールの再説明・必要に応じた仲介対応が必要です。
Q5. 退職後も外国人が社宅に住み続けることはできますか? 雇用契約が終了した場合、社宅の使用権も終了するのが一般的です。退職時に退去の時期・手続きを明確に伝えることが重要です。退去の猶予期間についても事前に就業規則・入居規則に明記しておくことをおすすめします。
本文
住居確保支援の義務範囲
特定技能1号の義務的支援の第3番目「住居確保・生活関連手続きの支援」として、以下の対応が求められます。
企業が行うべき住居確保支援の内容
- 住居に関する情報の提供(賃貸物件の案内・不動産会社の紹介など)
- 不動産契約の締結に向けた支援(同行・手続きの補助など)
- 生活関連施設(銀行・役所・病院・スーパーなど)の場所の案内
企業が任意で行える支援(義務ではないが有効)
- 社宅・寮の提供
- 家賃補助
- 入居時の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)の一時立替または補助
- 家具・家電の備え付け
住居確保の主な方法
①社宅・寮の提供 企業が所有または賃借している社宅・寮を外国人に提供する方法です。
メリット:
- 外国人本人が賃貸契約を結ぶ必要がない
- 生活環境を企業が把握しやすい
- 初期費用の負担が少ない
注意点:
- 家賃の控除には労使協定の締結が必要
- 市場価格に見合った家賃設定が必要
- 入居・退去のルールを就業規則・入居規則に明記する
②賃貸物件への入居支援 企業が外国人本人の賃貸契約を支援する方法です。
主な支援の内容:
- 近隣の不動産会社への紹介・同行
- 外国人が借りやすい物件・管理会社の情報提供
- 必要書類(在留カード・収入証明など)の案内
- 保証会社の手続きサポート
- 契約書の内容説明(外国人が理解できる言語で)
③保証人・保証会社の活用 外国人が賃貸契約を結ぶ際の課題として、連帯保証人を見つけることの難しさがあります。対応策として以下があります。
- 企業が法人保証人になる
- 家賃保証会社(外国人対応可能なもの)を利用する
- 外国人向けの賃貸支援を行うNPO・支援機関を活用する
家賃控除のルールと注意点
企業が外国人に住居を提供し、その費用を給与から差し引く場合のルールは以下のとおりです。
①労使協定の締結が必要 住居費・光熱費などの任意控除(法定控除以外)は、労使協定を締結した上で行う必要があります(賃金の全額払いの原則の例外)。労使協定なしで控除することは労働基準法違反です。
②控除額は実費相当額の範囲内 控除できる金額は実際にかかっている費用(家賃・光熱費など)の実費相当額の範囲内が原則です。市場家賃よりも著しく高い金額の控除は、実質的な賃金の不当減額とみなされる可能性があります。
目安として、同じ地域の同程度の物件の家賃相場と比較して、著しく高くないことを確認することが重要です。
③事前の書面説明と同意 控除の内容・金額を書面(外国人が理解できる言語)で示し、本人の同意を得ることが重要です。入社前の雇用条件書に記載し、外国人本人が納得した上で署名することが適切な手順です。
④最低賃金との関係 控除後の実質的な手取り額が最低賃金を下回らないよう注意が必要です。住居費を控除した後の総支給額が最低賃金基準を満たしているかを確認してください。
住居環境での注意点
ゴミの分別・出し方の説明 生活オリエンテーションでの説明が必要ですが、入居時に改めて以下を説明することが重要です。
- 地域のゴミ分別ルール(燃えるゴミ・資源ゴミ・不燃ゴミ・粗大ゴミ)
- 収集日・収集場所
- 指定のゴミ袋の有無
ゴミ出しのルールを守らないことは近隣トラブルの最大の原因の一つです。入居後1か月程度は定期的に確認することをおすすめします。
騒音・夜間の行動 夜間の騒音・廊下での大声での通話・複数人での宴会など、近隣住民とのトラブルになりやすい行動について、入居時に具体的に説明することが重要です。
共用スペースのルール 共用廊下・駐輪場・駐車場・ゴミ置き場などの共用スペースの使い方についても具体的に説明します。
宗教的な習慣への対応 ムスリムの方が礼拝のためにシャワーを頻繁に使用するケースや、玄関前で靴を脱いで祈る習慣などがあります。住居環境がこれらの習慣に対応できるか事前に確認することが重要です。
近隣トラブルへの対応
外国人入居者が近隣住民とトラブルになった場合、企業として以下の対応が求められます。
①状況の確認 外国人本人と近隣住民(または管理会社)双方から状況を確認します。外国人本人には母国語で状況を確認し、正確な事実を把握します。
②生活ルールの再説明 トラブルの原因がゴミ・騒音・共用スペースの使い方などの場合は、外国人本人に母国語で具体的に再説明します。
③管理会社・大家との連絡 企業の担当者が管理会社・大家との間に立って問題解決を支援します。
④記録の作成 トラブルの内容・対応状況を支援記録に残しておくことが重要です。
退去時の対応
退職に伴う退去 雇用契約が終了した場合の退去時期・手続きを就業規則・入居規則に明記しておくことが重要です。一般的には退職後1〜2か月程度の猶予期間を設けることが多いですが、明確に規定しておくことで後のトラブルを防ぎます。
原状回復 退去時の原状回復の範囲・費用負担について、入居時に書面で説明しておくことが重要です。
敷金の返還 敷金の返還については、原状回復費用との相殺のルールを入居時に説明しておくことで、退去時のトラブルを防ぐことができます。
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、特定技能外国人の住居確保支援に関して以下のサポートを提供しています。
- 登録支援機関としての住居確保支援:不動産契約への同行・手続きサポートを受託します。
- 生活オリエンテーションでの住居ルール説明:ゴミ出し・騒音・共用スペースのルールを外国人が理解できる言語で説明します。
- 近隣トラブル対応のアドバイス:トラブルが発生した場合の対応方法をアドバイスします。
- 家賃控除の労使協定整備:住居費控除に必要な労使協定の整備についてアドバイスします。
FAQ
Q1. 外国人向けの物件はどこで探せばよいですか? 「外国人入居可」を明示している物件を扱う不動産会社に相談することが有効です。また外国人の入居支援を専門とするNPO・支援団体もあります。地域の国際交流協会に相談することで情報を得られる場合もあります。
Q2. 社宅の家賃はどのくらいに設定すればよいですか? 同じ地域・同程度の広さ・設備の物件の市場家賃を参考に設定することが基本です。市場家賃の50〜70%程度に設定するケースが多くありますが、実費相当額を超えない範囲であることが重要です。
Q3. 家具・家電を社宅に備え付けている場合、その費用も控除できますか? 家具・家電の使用料として控除する場合も、労使協定の締結と本人同意が必要です。ただし家具・家電の提供を「家賃に含む」形で設定し、市場価格と乖離しない家賃設定にする方が管理上シンプルです。
Q4. 外国人が自分で住居を見つけた場合、企業は何もしなくてよいですか? 外国人が自力で住居を確保できた場合でも、住居の状況(住所・入居環境)の確認、生活関連施設の案内など最低限の支援は行うことが求められます。
Q5. 外国人が複数人で一緒に住む場合の注意点は何ですか? 複数人での共同生活は生活リズム・生活習慣の違いからトラブルになりやすいです。入居前に共同生活のルール(掃除当番・深夜の騒音・来客のルールなど)を書面で取り決め、全員が理解・同意した状態で入居することをおすすめします。
まとめ
特定技能外国人の住居確保支援は義務的支援の一つですが、企業が必ず住居を提供しなければならないわけではなく、外国人が住居を確保できるよう支援することが求められます。
社宅を提供する場合は労使協定の締結・実費相当額の範囲内の控除設定・事前の書面説明と同意が必要です。入居後は生活ルールの説明・近隣トラブルへの対応など継続的な支援が重要です。
企業が次に確認すべきこと
- 住居確保支援の方法(社宅提供か賃貸支援か)を決め、支援計画書に記載する
- 社宅の家賃控除を行う場合は労使協定の締結・事前説明と同意を確認する
- 生活オリエンテーションでゴミ出し・騒音・共用スペースのルールを具体的に説明する
- 近隣トラブルへの対応窓口(支援担当者)を外国人本人に伝えておく
行政書士アーチ事務所では、特定技能外国人の住居確保支援・生活オリエンテーションの実施をサポートしています。お気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
行政書士アーチ事務所
行政書士・申請取次行政書士
大阪市を拠点に、ビザ申請・在留資格手続き、特定技能、自社支援切り替え、外国人雇用を全国対応でサポート。
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登録支援機関でもある行政書士事務所
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