行政書士アーチ事務所ビザ申請・在留資格コラム
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外国人雇用

在留資格と労働条件通知書の関係【行政書士が解説】

外国人を雇用する際の労働条件通知書は、労働法上の義務書類であると同時に在留資格審査の判断資料でもあります。業務内容・報酬・契約期間の記載が審査にどう影響するか、外国人特有の必要記載事項を行政書士が解説します。

外国人雇用における労働条件通知書(または雇用契約書)は、労働基準法上の義務書類であるだけでなく、在留資格の審査において入管庁が業務内容・報酬・雇用条件を確認するための重要書類でもあります。日本人採用と同じ書式で済ませると、審査上の問題が生じることがあります。

行政書士アーチ事務所では就労ビザ申請に必要な書類のサポートを行っています。「労働条件通知書の業務内容が抽象的すぎて審査官に内容が伝わらなかった」というケースは珍しくありません。在留資格審査を意識した記載が許可につながります。

労働条件通知書の2つの役割

外国人雇用における労働条件通知書には2つの役割があります。

1つ目は労働基準法上の義務としての役割です。雇用主は労働者に対して、賃金・労働時間・業務内容などの労働条件を書面で明示しなければなりません(労働基準法第15条)。これは日本人・外国人を問わず適用される義務です。

2つ目は在留資格審査の判断書類としての役割です。技術・人文知識・国際業務など就労系の在留資格を申請する際、労働条件通知書または雇用契約書は入管庁に提出する主要書類の一つです。審査官はこの書類をもとに業務の専門性・報酬水準・雇用の安定性を確認します。

入管庁の審査においては、雇用契約書でも労働条件通知書でも提出書類として認められます。ただし両者の記載内容は一致している必要があります。

在留資格審査で重視される記載項目

業務内容(従事する業務)

審査官が最も注目する項目です。「営業」「事務」「システム開発」などの一語では不十分で、どのような専門知識を使ってどのような業務を行うかを具体的に記載する必要があります。

業務内容の記載が抽象的・曖昧な場合、審査官が「単純労働ではないか」と判断して追加資料を求めたり、不許可になるリスクがあります。職務内容説明書を別途添付する場合でも、労働条件通知書の業務内容欄は可能な範囲で具体的に記載してください。

報酬額

就労ビザの基準省令では、日本人が同等の業務に従事する場合と同等額以上の報酬を支払うことが要件とされています。最低賃金を下回る金額はもちろん、同職種の日本人相場より著しく低い報酬は審査で問題になります。

「外国人だから安くていい」は通用しません。同一労働同一賃金の観点からも、外国人であることを理由に報酬を下げることは許されません。在留資格が許可されない原因になるだけでなく、労働法上のトラブルにもつながります。

雇用契約期間

契約期間の定めがある場合(有期契約)は、その期間が在留期間の付与に影響します。契約期間が1年であれば、在留期間も原則1年になりやすくなります。長期的に雇用する意向があるなら、契約期間を「期間の定めなし」とすることで、より長い在留期間(3年・5年)が付与されやすくなります。

就業場所

在留資格で認められた業務を行う場所であることが必要です。転勤が多い場合は「日本国内の事業所」などと記載し、実態に合わせておく必要があります。

外国人特有の必要記載事項

日本人採用の労働条件通知書にはない、外国人特有の記載として以下を盛り込むことをお勧めします。

在留資格取得を条件とする条項

在留資格の変更・取得が許可されない場合は雇用契約の効力が生じない(または雇用契約を解除できる)旨を明記しておくことが重要です。

記載例:「本契約は、就労可能な在留資格での在留許可を得ることを条件として効力を生じる」

留学生を新卒採用する場合は「在留資格変更が許可されない場合、本契約は効力を生じない」などと適宜変更してください。

在留資格更新不許可の場合の取り扱い

在留資格の更新が許可されなかった場合の雇用継続の可否・退職手続きについても明記しておくことで、将来的なトラブルを防げます。

在留資格が更新できずに就労継続が不可能になった場合の手続きを事前に書面化しておくことは、会社・外国人社員双方にとって重要です。

研修・現場実習がある場合

入社後に現場研修・実地研修期間がある場合は、その内容・期間・研修後の本来業務への移行時期を明記してください。単純労働にあたる現場作業が主たる業務と判断されないよう、研修の位置づけを明確にする必要があります。

労働条件通知書と他の申請書類の整合性

在留資格申請では複数の書類を同時に提出します。労働条件通知書の記載内容が他の書類と矛盾していると、審査官に疑義を持たれる原因になります。

特に以下の整合性を確認してください。

  • 業務内容:職務内容説明書・申請書の業務内容欄と一致しているか
  • 報酬額:申請書の給与欄と一致しているか
  • 雇用形態・期間:申請書の雇用状況欄と一致しているか
  • 就業場所:会社の所在地・登記情報と矛盾していないか

多言語での交付

労働条件通知書を外国人が理解できる言語で交付することは法的義務ではありませんが、厚生労働省の指針では事業主が努めるべき事項として示されています。

外国人社員が内容を理解していないと、在留資格の審査過程で審査官からの質問に適切に答えられず、許可が下りない可能性があります。本人が契約内容を正確に把握できるよう、母国語版の労働条件通知書を用意することをお勧めします。

厚生労働省は英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・タガログ語・インドネシア語・ベトナム語の8言語でモデル労働条件通知書を公開しています。

よくある質問

Q. 雇用契約書と労働条件通知書のどちらを作ればよいですか?

A. 入管庁への申請上はどちらでも構いません。ただし雇用契約書は双方が署名するため、合意内容を明確にする効果があります。実務上は、労働条件通知書(会社→本人への一方的な通知)に加えて雇用契約書(双方署名)を作成するか、雇用契約書に労働条件通知書の内容を盛り込む形が一般的です。

Q. 業務内容を幅広く記載しすぎると問題になりますか?

A. 在留資格の範囲外の業務が含まれるような広すぎる記載は、審査で問題になる可能性があります。一方で実態に沿った業務の範囲を明確に記載することは必要です。実際に従事する主たる業務を中心に、具体的かつ正確に記載することが重要です。

Q. 試用期間中の給与が本採用より低い場合、どう記載すればよいですか?

A. 試用期間中の報酬が日本人と同等額以上の水準を下回る場合は在留資格審査で問題になる可能性があります。試用期間と本採用後の報酬をそれぞれ明記したうえで、いずれも適正な水準であることを示すことが重要です。

Q. 業務内容が変わった場合、労働条件通知書を再発行する必要がありますか?

A. 業務内容が大きく変わった場合は、変更後の内容を示す書面を作成することをお勧めします。在留資格の更新申請時には現在の業務内容が審査されるため、労働条件通知書の内容が実態と乖離していると問題になる可能性があります。

まとめ

外国人雇用における労働条件通知書は、労働法上の義務を果たすだけでなく、在留資格審査の結果を左右する重要書類です。

業務内容は具体的に、報酬は日本人と同等以上、契約期間は長期雇用の意向があれば「期間の定めなし」に、そして在留資格に関する条項を盛り込むことが実務上のポイントです。他の申請書類との整合性を確認してから提出してください。

書類の作成に不安がある場合や、記載内容が在留資格の要件を満たすかどうか判断できない場合は、入管業務を専門とする行政書士へのご相談をお勧めします。

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本記事は出入国在留管理庁・厚生労働省の公式情報および実務経験をもとに作成しています。審査基準・法令の詳細は個別事情により異なります。最新情報は必ず各公式サイトでご確認ください。

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