中国人が日本で会社設立して経営管理ビザを目指す流れ【行政書士が解説】
中国人が日本で会社設立し経営管理ビザを取得するまでの手順を解説。4か月ビザの活用法・中国からの送金・資金出所証明・会社設立の手順・審査で特に確認されるポイントを行政書士が整理します。
中国人が日本で会社を設立して経営管理ビザを取得するには、「会社設立→経営管理ビザ申請」という順序が基本です。ただし中国在住の場合は銀行口座の開設・資本金の振込・事務所契約が難しいという特有の問題があります。この記事では準備から申請までの実務的な流れを整理します。
大前提:国籍による制度上の違いはない
経営管理ビザの法的要件は国籍による違いはありません。中国人も他の国籍の方も、同じ要件(資本金3,000万円・常勤職員1名・事務所確保・経歴・日本語能力)を満たす必要があります。
ただし実務上、中国人申請者には次の特有の事情があります。
- 中国在住の場合、日本で銀行口座を開設できないため資本金の振込先の確保が困難
- 中国から日本への送金には中国の外貨管理規制が関係し、資金出所の証明が必要
- 資金調達の透明性・合法性を証明する資料が審査で特に重視される
申請のパターン:3つのルート
パターン①:すでに日本に在留している場合
技人国ビザ・留学ビザ・配偶者ビザなど、すでに何らかの在留資格で日本にいる場合は在留資格変更許可申請として申請します。日本に住民登録があるため銀行口座の開設・事務所契約など会社設立の準備が比較的スムーズに進みます。
パターン②:中国在住で日本に協力者がいる場合
日本在住の日本人・永住者・特別永住者など信頼できる協力者がいる場合は、その方を通じて会社設立手続きを進めることができます。資本金振込口座として協力者の口座を利用するケースが一般的です。
会社設立完了後、中国から在留資格認定証明書交付申請を行い、COEを取得したうえで中国の日本大使館・領事館でビザを取得して入国します。
パターン③:中国在住で日本に協力者がいない場合(4か月ビザを活用)
協力者がいない場合でも「4か月の経営・管理ビザ(起業準備活動)」を活用することで、来日後に会社設立の準備を行うことができます。
会社設立の流れ
日本で株式会社を設立する主な手順は次のとおりです。
①会社の基本事項を決める
- 商号(会社名)
- 事業目的(定款に記載する業種・事業内容)
- 本店所在地(事務所の住所)
- 資本金の額(3,000万円以上)
- 役員構成(代表取締役など)
②定款を作成・認証する
定款を作成し、公証役場で公証人の認証を受けます。株式会社の場合、公証役場での認証が必要です(合同会社は不要)。
③資本金を払い込む
資本金を発起人の口座に払い込みます。中国在住の場合、来日前に協力者の口座に振り込む方法が一般的です。4か月ビザを利用する場合は来日後に本人名義の口座に振り込みます。
④登記申請
法務局に設立登記申請を行います。登録免許税は2025年10月16日以降、株式会社・合同会社ともに21万円です。
⑤各種届出
会社設立後、税務署・都道府県・市区町村・年金事務所・ハローワークなどへの各種届出を行います。
中国からの送金と資金出所証明
2025年10月改正後の審査では、資本金3,000万円の出所と合法性の証明が特に重要な審査ポイントになっています。
審査で確認されること
- 資本金が3,000万円以上かどうか(登記事項証明書で確認)
- 資金の原資が適法なものか
- 借入金・第三者からの貸付金を出資していないか(返済義務のない資金であること)
- 資金がどのように日本に送金されたか
中国からの送金に必要な書類例
- 中国の銀行の残高証明書・入出金履歴
- 送金記録(SWIFT送金記録など)
- 資金の原資を説明する書類(給与明細・不動産売却証明・事業収益の証明など)
- 必要に応じて中国の公証処で作成した公証書(日本語訳付き)
中国人申請者が特に注意すべき審査ポイント
資金の透明性
資本金の出所が不明確な場合、審査で強い疑義が生じます。中国での収入・資産状況を証明できる書類を丁寧に準備することが重要です。
事務所の実態
バーチャルオフィスや住所のみ提供のサービスは認められません。実際に業務が行われていることを写真・契約書・設備で示す必要があります。
賃貸借契約書には次の要素が必要です。
- 使用目的が事業用である
- 法人名義の契約
- 原則1年以上の契約期間
経営者の経歴と事業の関連性
中国での経営経験・業界経験が申請する事業内容とどう結びつくかを説明することが重要です。中国の在職証明・営業許可証(营业执照)・税務申告書類なども有効な資料になります。
日本語能力要件への対応
申請者本人が日本語能力(JLPT N2以上など)を有しない場合、採用する常勤職員がその要件を満たす必要があります。常勤職員として雇用する日本人・永住者等が日本語能力を持っていれば申請者本人の日本語能力は問われません。
全体の流れまとめ(4か月ビザを利用する場合)
| ステップ | 内容 | 場所 |
|---|---|---|
| 1 | 事業計画の策定・専門家確認(中小企業診断士等) | 中国 |
| 2 | 4か月経営管理ビザの申請・取得 | 中国(日本大使館) |
| 3 | 来日・住民登録・銀行口座開設 | 日本 |
| 4 | 事務所契約(法人名義の事業用賃貸) | 日本 |
| 5 | 資本金の振込(本人名義口座) | 日本 |
| 6 | 会社設立登記(法務局) | 日本 |
| 7 | 常勤職員の採用・社会保険加入手続き | 日本 |
| 8 | 必要な許認可の取得(飲食業等の場合) | 日本 |
| 9 | 経営管理ビザ(1年以上)への変更申請 | 日本(入管) |
| 10 | 審査(1〜3か月)・許可・在留カード取得 | 日本 |
よくある質問
Q. 中国にいる間に日本の会社設立を代理でやってもらうことはできますか?
A. 可能です。日本在住の協力者または行政書士・司法書士等の専門家に依頼して、中国在住のまま会社設立手続きを進めることができます。ただし資本金の振込口座の確保・公証書類の準備・印鑑証明の代替書類(中国の公証処発行の公証書)など準備すべき書類が多くなります。
Q. 夫婦で共同経営したい場合、2人とも経営管理ビザを取れますか?
A. 複数の外国人が共同経営する場合、それぞれの申請者が経営管理ビザに該当する活動(経営または管理)に実際に従事することを示す必要があります。役割分担を明確にし、それぞれが経営に実質的に関与していることを説明できることが重要です。
Q. 飲食店を開業したいのですが、飲食業の許認可はビザの前後どちらで取得しますか?
A. 食品衛生法に基づく飲食店営業許可は、物件が確定してから申請する性質のため、来日・事務所(店舗)確保後に取得します。経営管理ビザの申請時に許認可が未取得の場合は、理由書で説明のうえ次回更新時に提出することが認められています。
まとめ
中国人が日本で経営管理ビザを取得するには、資本金3,000万円の準備・資金出所の証明・実態ある事務所の確保・常勤職員の雇用・事業計画の専門家確認というすべての要件をクリアする必要があります。
中国在住の場合は4か月ビザを活用して来日後に準備を進める方法が現実的なルートの一つです。準備に時間がかかるため、早い段階から計画を立てることが重要です。
会社設立後は、労働保険・社会保険の加入手続き・給与計算・就業規則の整備など、社労士業務も発生します。行政書士アーチ事務所には中国語対応の社会保険労務士も在籍しており、ビザ申請から会社設立後の労務管理まで、中国語でワンストップでサポートすることが可能です。言語の壁を心配せずにご相談ください。
本記事は出入国在留管理庁の公式情報および実務経験をもとに作成しています。審査基準は個別事情により異なります。最新情報は必ず出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。
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