経営管理ビザ更新で見られる事業実績【行政書士が解説】
経営管理ビザの更新審査では事業の継続性・安定性・納税・社会保険・活動実態が厳しく確認されます。赤字でも更新できるか・活動内容説明文書の書き方・不許可になりやすいパターンを行政書士が解説します。
「一度許可を取れば更新は簡単」という認識は危険です。経営管理ビザの更新審査では、事業の継続性・安定性・経営活動の実態・公的義務の履行状況が新規申請時以上に厳しく確認されます。2025年10月改正後は活動内容説明文書の提出が原則必須となり、審査の質がさらに高まっています。
更新審査で確認される主なポイント
経営管理ビザの更新申請では、次の項目が総合的に審査されます。
①事業の継続性・安定性
直近在留期間中に事業が実際に継続して行われてきたかどうかが最も重視されます。具体的には次の点が確認されます。
- 売上・粗利・営業利益の推移
- 実在する取引の証拠(契約書・請求書・入出金記録)
- 今後の事業計画の合理性と改善見込み
②公租公課の履行状況
納税・社会保険の適正な履行は更新審査の核心要件の一つです。
- 法人税・消費税・源泉所得税の納付状況
- 健康保険・厚生年金・雇用保険・労働保険の適用・納付状況
③常勤職員の実在性
2025年10月改正後の新基準では常勤職員1名以上の雇用が必須です。更新審査では雇用の実在性が次の書類で確認されます。
- 雇用契約書
- 賃金台帳・給与支払記録
- 社会保険加入記録・住民票
形式的な雇用(給与が実際に支払われていない・社会保険に加入させていないなど)は発覚します。実態を伴う雇用管理が必要です。
④経営活動の実態
経営者本人が実際に経営活動を行っていることが確認されます。業務の大半を外部に委託し、申請者本人が日常的な経営判断を行っていない場合は「経営・管理の活動実態がない」と判断されます。
また、在留期間中の過半以上を海外で過ごしていた場合は、日本での活動実態がないとして消極的に評価されます。
⑤事業所の継続確保
更新時点でも実態ある事業所が継続して確保されていることが必要です。自宅兼用・バーチャルオフィスへの変更は認められません。
2025年10月改正後の更新:活動内容説明文書
2025年7月以降、経営管理ビザの更新申請では「活動内容説明文書」の提出が原則必須となっています。
この書類は「直近の在留期間中にどのような経営・管理活動を行ったか」を具体的かつ定量的に説明するものです。
記載すべき内容
- 直近期間の売上・収支の実績と推移
- 主要取引先・取引内容・取引実績
- 常勤職員の在籍状況・役割
- 日本語運用体制の状況
- 必要な許認可の取得・維持状況
- 今後1年間の事業計画と改善見込み
経過措置期間(〜2028年10月16日)の扱い
2025年10月16日時点ですでに経営管理ビザで在留している方の更新については、2028年10月16日までの間は経過措置が設けられています。
この期間中は、新基準(資本金3,000万円・常勤職員1名など)をまだ完全に満たしていない場合でも、次の条件を総合的に考慮して更新の可否が判断されます。
- 経営状況が良好であること
- 法人税等の納付義務を適切に履行していること
- 次回更新申請時までに新基準を満たす見込みがあること
赤字決算での更新:判断の分かれ目
赤字決算での更新が許可されるかどうかは、赤字の理由と将来性の説明次第です。
更新が認められやすい赤字のパターン
- 開業初年度・立ち上げ期の初期投資による赤字で、売上実績が着実に伸びている
- 設備投資・拡張投資による一時的な赤字で、事業の実態と将来性が説明できる
- 赤字ではあるが実在する取引があり、今後の改善計画が具体的
更新が困難になりやすいパターン
- 売上がほぼゼロで事業活動の実態がない
- 複数期にわたり売上・取引が継続して減少
- 債務超過の状態で改善の見込みが示せない
- 役員報酬が著しく低く(月額18万円未満の目安)、経営者自身の生活基盤が不安定
更新で不許可になりやすいパターン
実務上よく見られる更新不許可の原因をまとめます。
- 事業の売上がほぼなく、経営活動の実態が確認できない
- 税金・社会保険の未納・滞納がある
- 在留期間中の過半以上を海外で過ごしていた
- 常勤職員の雇用が形式的で、実際の勤務実態がない
- 事業所が移転・廃止されており、申請時点で確保されていない
- 活動内容説明文書が抽象的で数字・証拠が伴っていない
- 役員報酬が最低賃金を大きく下回る水準で設定されている
更新申請のタイミング
更新申請は在留期間満了日の3か月前から申請が可能です。審査期間は通常1〜2か月かかります。
よくある質問
Q. 1期目の決算がまだ出ていません。更新申請できますか?
A. 決算が出ていない段階でも更新申請は可能です。その場合は最新の試算表・月次収支・取引実績などで現在の事業状況を説明します。初回更新は在留期間が短い(1年)ことが多いため、申請時期を確認して早めに準備することをお勧めします。
Q. 事業内容を変更しました。更新時に問題になりますか?
A. 事業内容の変更は更新審査で確認されます。変更した理由・変更後の事業内容・その実態を説明する書類を準備することが必要です。大幅な変更の場合は、変更後の事業が経営管理ビザの活動範囲に適合しているかどうかも確認が必要です。
Q. 常勤職員が退職して現在は雇用ゼロです。更新できますか?
A. 常勤職員の雇用が新基準の要件として義務化されています。雇用ゼロの状態での更新は2028年10月16日以降は認められません。経過措置期間中であっても、雇用体制の説明と今後の雇用計画を示すことが求められます。早急に常勤職員の採用を進めることをお勧めします。
Q. 更新が不許可になった場合、どうすればよいですか?
A. 不許可の理由を入管で確認したうえで、原因を特定して改善策を講じてから再申請することが基本です。不許可後の再申請は初回より審査が厳しくなります。不許可理由によっては一定期間の改善実績を積んでから再申請する必要があります。専門家への早期相談をお勧めします。
まとめ
経営管理ビザの更新審査は「事業が実際に動いているか」という実態確認が核心です。決算書・税務申告書だけでなく、取引の証拠・雇用の実態・活動内容説明文書が揃って初めて更新審査を乗り越えられます。
2025年10月改正後は審査の質が高まっており、形式的な書類を揃えるだけでは不十分です。更新申請に向けて早い段階から事業実績の記録を整備しておくことが、最大のリスク対策になります。
不安がある場合は、在留期限の3か月前を目安に入管業務を専門とする行政書士へのご相談をお勧めします。
本記事は出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について(令和7年10月16日施行)」および実務経験をもとに作成しています。審査基準は個別事情により異なります。最新情報は必ず出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。
RELATED ARTICLES
