日本人の親が亡くなり、台湾籍の相続人が台湾にいる場合|印鑑証明書が使えます

被相続人が日本人で、相続人が台湾籍かつ台湾在住の場合の相続手続きを解説します。台湾には戸籍制度と印鑑証明制度があるため、日本人とほぼ同じ形で手続きを進められます。

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日本人の親が亡くなり、台湾籍の相続人が台湾にいる場合

被相続人は日本人で日本に住んでいた。相続人である自分は台湾籍で、台湾に住んでいる——国際結婚をされた配偶者の方、日本国籍を取得しなかったお子さん、日本国籍を離脱された方などが該当します。

国籍は相続する権利に影響しません。そのうえで、相続人が台湾籍である場合は、日本人の相続人とほぼ同じ形で手続きを進められます。 台湾に戸籍制度と印鑑証明制度があるためです。

この記事の要点

  • 被相続人が日本人であれば準拠法は日本法です。相続人が台湾籍でも、相続人の範囲や相続分は日本の民法で判断します。
  • 相続人の続柄は、日本の戸籍からたどれます。 婚姻も出生も国籍喪失も、被相続人の戸籍に記載されます。
  • 戸籍で分からないのは、台湾籍の相続人の現在の氏名・生存・住所です。
  • 台湾の戸政事務所が発行する戸籍謄本で、その部分を確認できます。
  • 台湾には印鑑登録の制度があり、戸政事務所が発行する印鑑証明書(印鑑證明)は、日本の不動産登記手続で使用できます。 署名証明や公証を用意する必要がありません。

1. 準拠法は日本法です

日本の法の適用に関する通則法では、相続は被相続人の本国法によるとされています。被相続人が日本国籍であれば日本法です。台湾の渉外民事法律適用法第58条も相続を被相続人の本国法によるとしているため、反致は生じません。

相続人が台湾籍であることは、相続人の範囲にも相続分にも影響しません。

2. 相続人の確定は戸籍でできます

相続人が外国籍であっても、被相続人が日本人であれば、続柄は日本の戸籍からたどれます。

出来事戸籍への記載
外国籍の方との婚姻日本人配偶者の身分事項欄に、配偶者の氏名・国籍・生年月日とともに記載
子の出生親の身分事項欄に記載。子が日本国籍を持てば戸籍の構成員となる
日本国籍の離脱・喪失国籍喪失の事由と日付が記載され、その者は除籍される

台湾籍の配偶者がいることも、日本国籍を離脱したお子さんがいることも、被相続人の戸籍を見れば分かります。

戸籍で分からないこと

日本の戸籍は、外国籍の方のその後の身分関係を追いかけません。現在も生存しているか、氏名が変わっていないか、現在の住所はどこか、といった点は日本の戸籍からは確認できません。

3. 台湾の戸籍が、その部分を埋めます

ここが台湾籍の相続人に固有の利点です。台湾には日本と同様の戸籍制度があります。

台湾の戸政事務所が発行する戸籍謄本には、氏名、生年月日、家族関係、住所が記載されています。日本の戸籍で不足する部分を、台湾の戸籍謄本で補えます。

取得した戸籍謄本には、日本語訳を添付して日本の提出先に出します。

4. 印鑑証明書が使えます

日本の相続手続きは、遺産分割協議書に実印を押し、印鑑登録証明書を添付することを前提としています。台湾籍で台湾在住の相続人は、この前提をそのまま満たせます。

台湾には印鑑登録の制度があり、戸政事務所が印鑑証明書を発行します。 台湾の戸政事務所が発行する戸籍謄本・除籍謄本・印鑑証明書は、日本の不動産登記手続で使用することができます。

つまり、

  • 遺産分割協議書に印鑑を押す
  • 台湾の印鑑証明書を添付する
  • 日本語訳を添える

という、日本人の相続人とほぼ同じ形で進められます。署名証明を取得するために在外公館に出向く必要も、公証を受ける必要もありません。

なお、提出先によっては追加の資料を求められることがあります。金融機関ごとの取り扱いには差があります。

5. 日本国籍を離脱された方の場合

かつて日本人であった方は、除籍に国籍喪失の記載が残ります。被相続人との親子関係は日本の戸籍でたどれるため、続柄の証明は容易です。

論点になるのは、現在の氏名が戸籍の記載と一致しているかどうかです。台湾籍の取得にあたって氏名の表記が変わっている場合は、同一人であることを示す資料が必要になります。台湾の戸籍謄本に旧姓名の記載があれば、そこで確認できます。

6. 受け取り方

日本の預貯金の払戻しは、原則として日本国内の口座への振込みです。台湾籍で台湾在住の相続人が日本に口座を持っていない場合、海外送金に対応してもらえるかは金融機関ごとに異なります。

7. 相続税

日本国内にある財産は、相続人の国籍・住所にかかわらず日本の相続税の課税対象です。台湾籍で台湾在住であることを理由に対象外になることはありません。

国外にある財産まで日本の課税対象になるかどうかは、被相続人と相続人それぞれの住所・国籍・過去の居住歴によって変わります。相続人が外国籍で国外に居住している場合、判定が必要な論点です。

8. 期間の見込み

全体で4〜6か月が目安です。

工程目安
日本での戸籍収集、財産調査1〜2か月
台湾の戸籍謄本・印鑑証明書の取得数週間
日本語訳の作成数週間
遺産分割協議書の作成と押印、国際郵送1か月前後
金融機関ごとの提出と払戻し1行あたり2週間〜1か月

台湾籍の相続人が用意する書類は少なく、日本国籍の相続人と大きな差はありません。

当事務所の対応

行政書士アーチ事務所は、大阪を拠点に15年以上、中国語圏の方に関わる手続きに携わってきました。繁体字・簡体字いずれの中国語にも対応しています。

  • 戸籍で足りる部分と、台湾の戸籍謄本で補う部分の切り分け
  • 日本国内での戸籍収集と相続関係説明図の作成
  • 台湾の戸籍謄本・印鑑証明書の取得の手配と日本語訳
  • 遺産分割協議書の作成
  • 金融機関の解約・払戻し手続きのサポート
  • 相続登記が必要な場合の司法書士、相続税申告が必要な場合の税理士との連携

よくあるご質問

Q. 台湾籍でも日本の遺産を相続できますか。 A. できます。日本の民法は相続人の国籍を要件としていません。

Q. 台湾の印鑑証明書は日本でそのまま使えますか。 A. 不動産登記手続で使用できる取り扱いになっています。日本語訳の添付が必要です。金融機関の取り扱いには差がありますので、提出先ごとの確認が必要です。

Q. 署名証明を取る必要はありますか。 A. 印鑑証明書を用いる場合は不要です。なお、日本台湾交流協会の署名証明は日本国籍の方向けの制度です。

Q. 台湾の戸籍謄本を自分で取りに行けません。 A. 当事務所で取得を手配します。台湾在住の相続人ご自身が戸政事務所に出向けない場合でも、手続きを止めずに進められます。

Q. 相続人が日本と台湾に分かれています。 A. 相続人の居住地が分かれていても手続きは進められます。いずれも印鑑証明書を用いる形になります。

お問い合わせ

ご相談の際は、被相続人の死亡日、ご自身の国籍と被相続人との続柄、国籍取得や離脱の経緯、日本にある財産の種類をご用意ください。日本語・中国語どちらでも対応いたします。

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