特定技能の自社支援とは?基本を理解しよう
特定技能外国人を雇用する際、受入機関には「支援計画の作成・実施」が義務付けられています。この支援を外部に委託せず、自社で行うことを「自社支援」と呼びます。
特定技能自社支援とは、登録支援機関に委託料を支払うことなく、自社の人材やリソースを活用して外国人材への支援業務を完結させる方法です。毎月の委託費用が削減できるため、多くの企業が検討を始めています。
ただし、自社支援を行うためには一定の要件を満たす必要があり、すべての企業が選択できるわけではありません。この記事では、自社支援の具体的な要件や登録支援機関との違い、メリット・デメリットを実務的な視点から解説します。
自社支援を行うための3つの要件
特定技能の自社支援を行うには、出入国在留管理庁が定める以下の要件をすべて満たす必要があります。
1. 過去2年間の外国人雇用・管理経験
自社支援の最も重要な要件は、過去2年以内に中長期在留者(就労資格を持つ外国人)の受入れ・管理を適正に行った実績があることです。具体的には以下のいずれかに該当する必要があります。
- 技能実習生の受入れ実績がある
- 技術・人文知識・国際業務などの就労ビザで外国人を雇用した実績がある
- 特定技能外国人を既に雇用している
- 留学生のアルバイト雇用は原則として含まれない
2. 支援責任者・支援担当者の選任
支援業務を統括する「支援責任者」と、実際に支援を行う「支援担当者」を選任する必要があります。両者は兼任可能ですが、以下の条件を満たす必要があります。
- 中長期在留者の生活相談業務に従事した経験がある
- 外国人に対する支援を適切に行える能力がある
- 特定技能外国人と同じ事業所で働いていないこと(支援の中立性確保のため)
3. 支援業務を適切に実施できる体制
以下の体制が整っていることも求められます。
- 外国人が理解できる言語での相談対応が可能(通訳の確保など)
- 支援に要する費用を外国人に負担させない
- 5年以内に支援計画に基づく支援を怠った事実がない
- 出入国や労働関係法令に関する一定の知識がある
登録支援機関との違いを比較
特定技能自社支援とは何かを理解するうえで、登録支援機関との違いを把握することが重要です。両者の主な違いを整理しました。
費用面の違い
登録支援機関に委託する場合、一般的に月額2万円〜3万円程度の委託費用が発生します。外国人1人あたりの金額なので、10人雇用すれば月額20万円〜30万円、年間では240万円〜360万円ものコストになります。
自社支援であれば、この委託費用がゼロになります。ただし、支援業務を担当する社員の人件費や、通訳を外部に依頼する場合のコストは発生します。
業務負担の違い
登録支援機関に委託すれば、以下の支援業務をすべて任せることができます。
- 事前ガイダンスの実施
- 出入国時の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約の支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(雇用契約終了時)
- 定期的な面談・行政機関への通報
自社支援を選択した場合、これらすべてを自社で対応する必要があります。特に外国人が理解できる言語での対応は、社内にその言語ができる人材がいなければ外部通訳の手配が必要です。
柔軟性の違い
自社支援のメリットとして、外国人材との距離が近くなり、きめ細かな対応が可能になる点が挙げられます。登録支援機関を介さないため、問題が発生した際の対応も迅速に行えます。
一方で、担当者の異動や退職があった場合、支援体制が維持できなくなるリスクもあります。
自社支援に切り替えるための実務ステップ
現在、登録支援機関に委託している企業が自社支援に切り替える場合の流れを説明します。
ステップ1:要件の確認
まず、前述の3つの要件を自社が満たしているか確認します。特に「過去2年間の外国人雇用実績」と「支援責任者・担当者の要件」は見落としがちなので注意が必要です。
ステップ2:支援計画の作成
自社で実施する支援の内容を具体的に記載した「1号特定技能外国人支援計画書」を作成します。支援の内容は法定の10項目すべてを網羅する必要があります。
ステップ3:届出の提出
登録支援機関への委託を終了し、自社支援に切り替える際は「支援委託契約に係る届出」を出入国在留管理局に提出します。届出は変更があった日から14日以内に行う必要があります。
ステップ4:定期届出への対応
自社支援を開始した後は、四半期ごとの定期届出(支援実施状況に係る届出など)も自社で作成・提出します。届出を怠ると、最悪の場合、受入れができなくなる可能性もあります。
自社支援が向いている企業・向いていない企業
特定技能の自社支援とは、すべての企業にとって最適な選択肢というわけではありません。以下を参考に、自社に適した方法を検討してください。
自社支援が向いている企業
- 特定技能外国人を2人以上雇用しており、コスト削減効果が大きい
- 技能実習生の受入れ経験があり、外国人材管理のノウハウがある
- 社内に外国語対応できるスタッフがいる
- 総務・人事部門に支援業務を担える余力がある
登録支援機関への委託が向いている企業
- 初めて特定技能外国人を雇用する
- 外国人雇用の実績が2年未満
- 少人数の雇用でコスト削減効果が限定的
- 支援業務に割ける社内リソースが不足している
まとめ:自社支援の導入は慎重に検討を
特定技能自社支援とは、委託費用を大幅に削減できる魅力的な選択肢です。しかし、要件を満たしていない状態で支援を行うと、在留資格の取消しや受入れ停止といった重大なリスクが生じます。
自社支援への切り替えを検討されている場合は、まず要件を満たしているかを確認し、支援体制を整えたうえで進めることをおすすめします。判断に迷う場合や、手続きについて詳しく知りたい場合は、専門家への相談をご検討ください。
エラー: コンタクトフォームが見つかりません。