自社支援のデメリット・注意点を徹底解説|失敗しないための対策とは
特定技能外国人の受け入れを検討する中で、「登録支援機関への委託費用を削減したい」と考え、自社支援を選択する企業が増えています。確かにコスト削減は魅力的ですが、自社支援にはデメリットや注意点も存在します。安易に自社支援を選んでしまうと、思わぬトラブルや法令違反につながるリスクがあるのです。
本記事では、特定技能ビザの申請実務に精通した行政書士の視点から、自社支援のデメリットと注意点を具体的に解説し、それぞれの対策方法をお伝えします。
自社支援とは?まずは基本を確認
自社支援とは、特定技能1号外国人に対する義務的支援を、登録支援機関に委託せず、受入機関(企業)自らが実施することを指します。支援責任者と支援担当者を自社で選任し、10項目の義務的支援を漏れなく行う必要があります。
自社支援を行うためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 過去2年以内に中長期在留者の受け入れ実績があること
- 過去2年以内に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験があること
- 支援責任者および支援担当者を選任できること
- 外国人が理解できる言語で支援できる体制があること
これらの要件をクリアしていれば自社支援は可能ですが、実際に運用を始めてから様々な課題に直面する企業が少なくありません。
自社支援の5つのデメリット
1. 担当者の業務負担が大幅に増加する
自社支援の最大のデメリットは、担当者の業務負担が想像以上に大きいことです。義務的支援は入社前から退職後まで継続的に発生し、以下のような業務を日常業務と並行して行わなければなりません。
- 事前ガイダンスの実施(3時間以上が目安)
- 出入国時の空港への送迎
- 住居確保・生活に必要な契約の支援
- 生活オリエンテーションの実施(8時間以上が目安)
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 定期的な面談の実施(3か月に1回以上)
- 各種届出・報告書の作成と提出
特に複数の外国人を雇用している場合、担当者が本来の業務に支障をきたすケースも珍しくありません。
2. 法令改正への対応が遅れやすい
特定技能制度は比較的新しい制度であり、運用ルールや様式が頻繁に変更されます。登録支援機関であれば最新情報をキャッチアップしていますが、自社支援の場合は自ら情報収集を行う必要があります。法改正に気づかず旧様式で届出を行ってしまうなど、意図せず不備が生じるリスクがあります。
3. 多言語対応の体制構築が困難
義務的支援は、外国人が十分に理解できる言語で行う必要があります。ベトナム語、インドネシア語、ミャンマー語など、対応が必要な言語は多岐にわたります。社内に該当言語を話せる人材がいない場合、通訳の手配や翻訳資料の作成に追加コストが発生し、結果的に委託した場合と費用が変わらないということも起こり得ます。
4. 届出漏れ・記載ミスによるペナルティリスク
自社支援のデメリットとして見落とされがちなのが、届出義務の厳格さです。定期届出や随時届出を怠った場合、以下のようなペナルティを受ける可能性があります。
- 改善命令の発出
- 特定技能外国人の受け入れ停止
- 最悪の場合、刑事罰(30万円以下の罰金)
「知らなかった」「忘れていた」では済まされないため、届出管理を徹底する仕組みが不可欠です。
5. 外国人との関係構築が難しくなる場合がある
自社支援では、雇用主が相談窓口も兼ねることになります。外国人にとっては、職場の不満や人間関係の悩みを雇用主に直接相談しづらい状況が生まれやすくなります。結果として問題が表面化しないまま深刻化し、突然の退職や失踪につながるケースもあります。
自社支援で失敗しないための具体的な対策
対策1:専任担当者の配置とマニュアル整備
自社支援を成功させるためには、支援業務を兼任ではなく専任で担当できる人材を配置することが理想的です。難しい場合でも、以下の対策を講じてください。
- 年間スケジュールに届出期限を組み込む
- 支援業務のマニュアル・チェックリストを作成する
- 担当者が不在でも対応できるよう複数名で情報共有する
対策2:行政書士など専門家との連携体制を構築
自社支援を選択しても、すべてを自社だけで完結させる必要はありません。在留資格の申請手続きや届出書類の作成は行政書士に依頼し、日常的な支援業務のみ自社で行うという分担方法も有効です。法改正情報の提供や書類チェックを専門家に任せることで、ミスや漏れのリスクを大幅に軽減できます。
対策3:第三者の相談窓口を設置する
外国人が安心して相談できる環境を整えるため、社外の相談窓口を設けることをおすすめします。外部の通訳サービスや、地域の国際交流協会との連携など、第三者が介在する仕組みを作ることで、問題の早期発見・早期解決が可能になります。
対策4:自社支援の継続が難しければ委託への切り替えも検討
自社支援のデメリットを実感し、運用が困難になった場合は、途中から登録支援機関への委託に切り替えることも可能です。無理に自社支援を続けて法令違反を起こすよりも、状況に応じて柔軟に対応することが重要です。
まとめ:自社支援はコスト削減だけで判断しない
自社支援はコスト削減というメリットがある一方で、担当者の負担増加、法令対応の難しさ、届出漏れのリスクなど、様々なデメリットが存在します。自社支援を検討する際は、これらのデメリットを十分に理解した上で、自社の体制で本当に対応可能かどうかを慎重に判断してください。
「費用を抑えたいが、リスクも最小限にしたい」という場合は、支援業務の一部を専門家に任せるハイブリッド型の運用も選択肢の一つです。自社支援のデメリットを正しく把握し、適切な対策を講じることで、特定技能外国人の受け入れを成功に導きましょう。
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