特定技能と技能実習の違いとは?受入機関が知っておくべき7つのポイント
外国人材の受入れを検討する際、多くの企業担当者が最初に直面するのが「特定技能と技能実習の違いがよくわからない」という課題です。両制度は似ているようで、目的も仕組みも大きく異なります。この記事では、受入機関や登録支援機関の担当者の方に向けて、実務に役立つ視点から両制度の違いを詳しく解説します。
制度の目的が根本的に異なる
特定技能と技能実習の違いを理解するうえで、最も重要なのは制度の目的です。
技能実習制度は、日本の技術・技能を開発途上国へ移転することを目的とした「国際貢献」の制度です。あくまで実習であり、労働力確保を目的としていません。一方、特定技能制度は2019年に創設された比較的新しい制度で、人手不足が深刻な産業分野における「即戦力となる外国人材の確保」を目的としています。
この目的の違いは、実務上のさまざまな場面に影響を与えます。例えば、技能実習では「実習計画」に基づいた段階的な技能習得が求められますが、特定技能では入国時点で一定の技能水準を満たしていることが前提となります。
在留期間と転職の可否
在留期間の違い
技能実習の在留期間は、1号で1年、2号で2年、3号で2年の最長5年間です。特定技能1号も最長5年ですが、特定技能2号に移行すれば在留期間の上限がなくなり、実質的に無期限で就労が可能になります。また、特定技能2号では家族の帯同も認められます。
転職に関する大きな違い
特定技能と技能実習の違いで、受入機関が特に注意すべきなのが転職の可否です。技能実習生は原則として転籍・転職ができません。一方、特定技能外国人は同一の業務区分内であれば転職が可能です。
この違いは、受入機関にとって重要な意味を持ちます。特定技能外国人を受け入れる場合、労働条件や職場環境が他社より劣っていれば、人材が流出するリスクがあるということです。逆に言えば、魅力的な職場づくりが人材確保のカギになります。
受入れ要件と手続きの違い
技能実習の受入れ要件
- 監理団体を通じた受入れが必要(企業単独型を除く)
- 技能実習計画の認定を受ける必要がある
- 技能実習生の人数枠が常勤職員数に応じて設定される
- 実習実施者として届出が必要
特定技能の受入れ要件
- 登録支援機関への委託または自社での支援体制構築が必要
- 在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う
- 特定技能所属機関として各種届出義務がある
- 分野によっては協議会への加入が必要
特定技能では監理団体を介さず直接雇用できるため、手続きがシンプルになる面があります。ただし、外国人への支援を自社で行う場合は、支援責任者・支援担当者の選任や1号特定技能外国人支援計画の作成など、一定の体制整備が求められます。
対象となる業種・分野
技能実習の対象職種は90職種165作業(2025年現在)と幅広く設定されています。農業、漁業、建設、食品製造、機械・金属、繊維・衣服など多岐にわたります。
特定技能の対象分野は現在16分野で、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業となっています。
注意すべき点として、技能実習で対象となっている職種でも、特定技能では対象外というケースがあります。受入れを検討する際は、自社の業務内容がどちらの制度に該当するか、事前に確認することが重要です。
費用面での違い
特定技能と技能実習の違いは、コスト面にも表れます。
技能実習にかかる主な費用
- 監理団体への監理費(月額3〜5万円程度が相場)
- 送出機関への費用
- 入国前・入国後講習費用
- 技能検定受検費用
特定技能にかかる主な費用
- 登録支援機関への支援委託費(月額2〜3万円程度が相場)
- 人材紹介会社への紹介手数料(利用する場合)
- 在留資格申請に関する費用
一般的に、特定技能の方が月々のランニングコストは低くなる傾向があります。ただし、自社で支援を行う場合は人件費などの間接コストが発生するため、総合的に判断する必要があります。
技能実習から特定技能への移行
技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能試験と日本語試験が免除され、特定技能1号へ移行できます。これは、技能実習で培った技能と経験を活かして、引き続き日本で働きたいという外国人材にとって重要なキャリアパスです。
受入機関としても、すでに自社で働いている技能実習生を特定技能として継続雇用できれば、新たな人材を一から育成する必要がなく、即戦力として活躍してもらえるメリットがあります。
移行手続きには一定の期間がかかるため、技能実習2号の在留期限の3〜4ヶ月前には準備を始めることをお勧めします。
まとめ:自社に適した制度の選択を
特定技能と技能実習の違いを正しく理解することは、外国人材の受入れを成功させるための第一歩です。どちらの制度が自社に適しているかは、業種、必要な人材のスキルレベル、長期的な雇用計画などによって異なります。
技能実習は段階的な技能習得を重視する制度であり、特定技能は即戦力となる人材の確保を目的とした制度です。それぞれの特徴を踏まえたうえで、自社の状況に合った選択をすることが重要です。
制度の詳細や具体的な手続きについてご不明な点があれば、専門家への相談をお勧めします。適切な制度選択と正確な申請手続きが、円滑な外国人材受入れにつながります。