登録支援機関との契約を解除する前に確認すべきこと【特定技能・企業向け】
特定技能の登録支援機関との委託契約を解除する前に確認すべき事項を解説。解約通知期間・引き継ぎ書類・入管への届出・タイミングの注意点まで行政書士がわかりやすく説明します。
導入
「登録支援機関との契約を解除したいが、何を確認しておけばよいか」「解約した後に問題が起きないか不安」——自社支援への切り替えや、委託先の変更を検討している企業の担当者から、こうした声をよく聞きます。
登録支援機関との委託契約の解除は、単に「契約を終わらせる」だけでなく、入管への随時届出・引き継ぎ書類の受け取り・新しい支援体制の整備など、複数の手続きを同時並行で進める必要があります。確認を怠ると、届出漏れ・記録の断絶・外国人の不安といった問題が生じます。
この記事では、以下の3点を中心に解説します。
- 契約解除前に確認すべき7つのポイント
- 解除に伴う入管への届出と期限
- 引き継ぎで押さえるべき書類と情報
結論を先にお伝えすると、契約解除前に最優先で確認すべきは「①解約通知期間」「②在留期間更新時期との関係」「③引き継ぎ書類の内容」の3点です。これらを把握した上でスケジュールを組み、余裕をもって進めることが重要です。
このページの要点
Q1. 登録支援機関との契約はいつでも解除できますか? 契約書に定められた解約通知期間(一般的に1〜3か月前の通知が必要)に従う必要があります。通知期間を無視して即座に解除しようとすると違約金が発生したり、解除が認められない場合があります。まず契約書の解約条件を確認することが最優先です。
Q2. 契約解除後、入管への届出は必要ですか? はい。支援委託契約の終了に係る随時届出(参考様式第3-3-2号)を契約終了日から14日以内に提出する必要があります。また支援計画変更に係る届出(参考様式第3-2号)も同様に必要です。
Q3. 解除前に引き継ぐべき書類は何ですか? 定期面談報告書・支援実施記録・相談対応記録・届出履歴など、在留期間中に登録支援機関が作成・管理してきた書類一式です。雇用契約終了後1年以上の保管義務があるため、確実に受け取ることが重要です。
Q4. 在留期間更新の直前に契約解除しても問題ありませんか? 問題が生じやすいです。更新申請の書類準備と契約解除・新体制整備が重なり、スケジュールが逼迫します。在留期間更新から2〜3か月以上前に解除を完了させることをおすすめします。
Q5. 外国人本人への説明は必要ですか? はい。支援の窓口となる担当者・機関が変わることを、外国人本人が理解できる言語で丁寧に説明することが重要です。説明が不十分だと外国人が不安を抱え、相談できない環境が生じるリスクがあります。
本文
確認ポイント①:契約書の解約条件
最初に確認すべきは現在の委託契約書の解約条件です。
確認事項
- 解約通知期間(何か月前に通知が必要か)
- 解約通知の方法(書面・メールなど)
- 中途解約時の違約金の有無・金額
- 解約後の精算方法(前払い費用の返金など)
登録支援機関との委託契約では、1〜3か月前の解約通知が一般的です。通知期間を確認せずに進めると、予定より解除が遅れてスケジュール全体がずれ込む場合があります。
対応 契約書を手元に用意し、解約条件を確認した上でスケジュールを立てます。解約通知は書面(メールも可)で行い、通知した記録を残しておくことをおすすめします。
確認ポイント②:在留期間更新時期との関係
契約解除のタイミングは、受け入れている特定技能外国人の在留期間更新時期と切り離して計画することが重要です。
避けるべき状況
- 在留期間更新申請の1〜2か月前に契約解除が重なる
- 更新申請書類の準備と新支援体制の整備が同時に必要になる
更新申請時には最新の支援計画書・雇用条件書の提出が求められます。契約解除・新支援体制の整備が完了していない状態で更新申請を行うと、書類の整合性に問題が生じます。
対応 受け入れている全員の在留期限を一覧化し、解除完了時期から逆算してスケジュールを組みます。更新から2〜3か月以上前に解除・新体制整備を完了させることが理想です。
確認ポイント③:引き継ぎ書類の内容
登録支援機関が管理してきた書類・情報を解除前に必ず引き継ぐ必要があります。
引き継ぐべき主な書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 定期面談報告書(第5-5号・第5-6号) | 外国人本人・監督者との面談記録 |
| 支援実施記録 | 10項目の支援の実施状況の記録 |
| 相談・苦情対応記録 | 外国人からの相談内容と対応状況 |
| 届出書類の控え | 随時届出・定期届出の提出記録 |
| 事前ガイダンス実施記録 | 入国前の説明実施の記録 |
| 生活オリエンテーション確認書(第5-8号) | 生活オリエンテーションの実施記録 |
これらの書類は雇用契約終了後1年以上の保管義務があります。引き継ぎを受けずに契約を終了すると、定期届出・更新申請時に記録が不足する問題が生じます。
対応 解約通知を行う際に、引き継ぎ書類のリストを登録支援機関に提示し、解約完了前に受け取ることを明確に依頼します。電子データでの提供を依頼すると管理が容易になります。
確認ポイント④:新しい支援体制の整備状況
契約解除後に空白期間なく支援を継続できる体制が整っているかを確認します。
自社支援に切り替える場合
- 支援責任者・支援担当者の選任が完了しているか
- 新しい支援計画書の作成が完了しているか
- 外国語対応体制(通訳など)が整っているか
- 面談スケジュール・記録管理の体制が整っているか
別の登録支援機関に変更する場合
- 新しい委託先との契約締結が完了しているか
- 新しい委託先への外国人情報・引き継ぎ書類の共有が完了しているか
- 新しい支援計画書の作成・確認が完了しているか
新しい体制が整う前に解除が完了すると、支援の空白期間が生じます。支援の空白は法令違反のリスクにつながるため、必ず体制を整えてから解除を実行してください。
確認ポイント⑤:外国人本人への説明
支援の窓口・担当者が変わることを外国人本人に説明することが重要です。
説明すべき内容
- 支援機関・担当者が変わること
- 新しい担当者の氏名・連絡先
- 相談がある場合の連絡方法
- 変更の理由(必要に応じて簡単に)
説明は外国人本人が理解できる言語で行います。登録支援機関の担当者が外国人と信頼関係を築いていた場合、引き継ぎの際に登録支援機関の担当者から紹介・引き合わせを行うことで、外国人の不安を軽減できます。
確認ポイント⑥:入管への届出の準備
契約解除に伴い、以下の随時届出を契約終了日から14日以内に入管へ提出する必要があります。
必要な届出書類
| 届出書類 | 内容 |
|---|---|
| 支援委託契約の終了に係る届出書(参考様式第3-3-2号) | 委託契約が終了したことを届け出る |
| 支援計画変更に係る届出書(参考様式第3-2号) | 支援体制の変更(委託から自社支援へ、または委託先変更)を届け出る |
新しい支援計画書(1号特定技能外国人支援計画書)も合わせて提出します。
重要:随時届出は登録支援機関に委託できません。受入れ企業が自ら提出する義務があります。
契約解除日と届出日が14日以内に収まるよう、あらかじめ届出書類を準備しておくことをおすすめします。
確認ポイント⑦:費用の精算
契約解除に伴う費用の精算を確認します。
確認事項
- 解除月の委託費の日割り精算の有無
- 前払い費用の返金の有無・金額
- 解除手続きに伴う追加費用の有無
委託費の精算方法は契約書に定められています。想定外の費用が発生しないよう、事前に確認しておくことが重要です。
解除完了までのスケジュール例
以下は解除から自社支援切り替えまでの標準的なスケジュール例です(解約通知期間2か月の場合)。
| 時期 | 対応内容 |
|---|---|
| 決定時 | 契約書の解約条件確認・在留期間更新時期の確認 |
| 2か月前 | 登録支援機関への解約通知・引き継ぎ書類リストの依頼 |
| 1か月前 | 新支援計画書の作成・支援責任者・担当者の選任完了 |
| 解除2週間前 | 引き継ぎ書類の受け取り・外国人本人への説明 |
| 解除日 | 委託契約終了 |
| 解除後14日以内 | 入管への随時届出(2種類)の提出 |
| 解除翌月以降 | 自社支援または新委託先による支援開始 |
当事務所に相談できること
行政書士アーチ事務所では、登録支援機関との契約解除に関して以下のサポートを提供しています。
- 解除前の確認サポート:解約条件・引き継ぎ書類・届出スケジュールの確認を一緒に整理します。
- 随時届出の書類作成:支援委託契約終了届・支援計画変更届の書類作成をサポートします。
- 新支援計画書の作成:自社支援または新委託先に対応した支援計画書の作成をサポートします。
- 移行期間中の支援受託:現在の登録支援機関から当事務所への変更も対応しています。
- 外国人への説明サポート:担当者変更の説明を外国人が理解できる言語で対応する体制があります。
「今の登録支援機関を変えたい」「自社支援に切り替えたい」という段階からのご相談も歓迎しています。
FAQ
Q1. 解約通知を出した後に解除を撤回できますか? 登録支援機関との合意があれば撤回できる場合があります。ただし、解除に向けて動き出した後の撤回は関係性に影響する場合もあります。解約を決める前に十分に検討することが重要です。
Q2. 登録支援機関が引き継ぎ書類を渡してくれない場合はどうすればよいですか? 委託契約書に引き継ぎに関する条項があれば、それに基づき請求できます。記録の作成・保管は法令上の義務であるため、合理的な理由なく引き渡しを拒否することは問題があります。対応が難しい場合は専門家に相談することをおすすめします。
Q3. 解除と同時に新しい登録支援機関と契約できますか? はい。解除と新規契約を同じ日付で行うことは可能です。ただし両方の届出(終了届と締結届)を14日以内に提出する必要があります。
Q4. 複数名の特定技能外国人を受け入れている場合、全員同時に解除しなければなりませんか? 必ずしも全員同時でなくても構いません。外国人ごとに解除タイミングを変えることも可能です(それぞれ届出が必要)。ただし管理が煩雑になるため、同時に進める方が一般的です。
Q5. 登録支援機関との解除について、外国人本人の同意は必要ですか? 法令上は外国人本人の同意は必要ありません。ただし、支援の窓口が変わることを本人が理解できる言語で説明し、不安を取り除くことが重要です。
Q6. 解除後に問題(支援漏れ・届出漏れ)が発覚した場合はどうすればよいですか? 発覚した時点で速やかに対応することが重要です。届出漏れがある場合は遅れても提出し、支援漏れがある場合は補完的な対応を取ります。不安な場合は専門家に相談してください。
Q7. 行政書士に解除の手続きを依頼できますか? 届出書類の作成は行政書士に依頼できます。2026年1月の行政書士法改正により、届出書類の作成を報酬を得て行えるのは行政書士・弁護士に限られます。
まとめ
登録支援機関との委託契約を解除する前に確認すべき事項は、①解約条件、②在留期間更新時期との関係、③引き継ぎ書類、④新しい支援体制の整備状況、⑤外国人本人への説明、⑥入管への届出の準備、⑦費用の精算の7点です。
これらを事前に確認し、余裕をもったスケジュールで進めることが、スムーズな解除・切り替えの鍵です。在留期間更新の直前は避け、新しい支援体制が整ってから解除を実行することが重要です。
企業が次に確認すべきこと
- 現在の委託契約書の解約条件(通知期間・違約金など)を確認する
- 受け入れている特定技能外国人の在留期間更新時期を一覧化する
- 引き継ぐべき書類リストを登録支援機関に事前に依頼する
- 解除後の届出(14日以内・2種類)の書類を事前に準備する
契約解除の手続き・届出書類の作成・新体制への移行についてご不明な点がある企業様は、行政書士アーチ事務所へお気軽にご相談ください。
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