特定技能ビザで採用できる業種と手順
大阪市で事業を展開する起業家や個人事業主の皆さん、人材不足の解決策として特定技能ビザでの外国人採用をお考えでしょうか。特定技能ビザは2019年に創設された在留資格で、即戦力となる外国人材の採用を可能にする制度です。本記事では、特定技能ビザで採用できる業種と具体的な手順について、起業CSOの視点から詳しく解説します。
特定技能ビザの基本概要
特定技能ビザは、深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度です。従来の技能実習制度とは異なり、即戦力としての活用が前提となっており、転職も可能な制度設計となっています。
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの区分がありますが、現在多くの業種で運用されているのは特定技能1号です。在留期間は通算で最大5年間となっており、家族の帯同は原則として認められていません。
特定技能ビザで採用可能な19業種
特定技能ビザで採用可能な分野(最新:2026年4月時点) ※当初の12分野から拡大されています
令和6年3月29日の閣議決定により、「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が新たに追加されました。また「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は「工業製品製造業」に名称変更されています。
さらに、令和8年1月23日の閣議決定により「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」が新たに追加されました(省令等の準備が整い次第、受入れ開始)。
| # | 分野 |
|---|---|
| 1 | 介護 |
| 2 | ビルクリーニング |
| 3 | リネンサプライ ★新規 |
| 4 | 工業製品製造業(旧:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業) |
| 5 | 建設 |
| 6 | 造船・舶用工業 |
| 7 | 自動車整備 |
| 8 | 航空 |
| 9 | 宿泊 |
| 10 | 自動車運送業 ★新規 |
| 11 | 鉄道 ★新規 |
| 12 | 物流倉庫 ★新規 |
| 13 | 農業 |
| 14 | 漁業 |
| 15 | 飲食料品製造業 |
| 16 | 外食業 |
| 17 | 林業 ★新規 |
| 18 | 木材産業 ★新規 |
| 19 | 資源循環 ★新規 |
各業種には詳細な業務範囲が定められており、自社の事業がこれらの範囲に該当するかの判断が重要です。
特定技能ビザ採用の手順と要件
受入れ機関(雇用企業)の要件
特定技能外国人を採用する企業は、以下の要件を満たす必要があります:
- 労働関係法令・社会保険関係法令を遵守していること
- 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を離職させていないこと
- 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させていないこと
- 欠格事由(5年以内の出入国・労働法令違反等)に該当しないこと
- 特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画を適切に履行すること
- 外国人が理解できる言語での情報提供、相談対応体制を確保すること
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特定技能雇用契約の締結
特定技能外国人との雇用契約は、日本人と同等以上の報酬を支払うことが義務付けられています。契約書には以下の事項を明記する必要があります:
- 従事する業務の内容及び場所
- 報酬の額その他の労働条件に関する事項
- 外国人が帰国に要する費用を負担すること
- 契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講じること
支援計画の策定と実施
受入れ機関は、特定技能外国人に対する支援計画を策定し、以下の支援を実施する義務があります:
- 事前ガイダンスの提供
- 出入国時の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーションの実施
- 公的手続等への同行
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援
- 定期的な面談・行政機関への通報
これらの支援は、登録支援機関に委託することも可能です。
在留資格認定証明書交付申請の手続き
海外から新たに特定技能外国人を招へいする場合は、以下の手順で手続きを進めます:
- 在留資格認定証明書交付申請:出入国在留管理局に必要書類を提出
- 証明書の交付:審査通過後、証明書が交付される(標準処理期間1〜3か月)
- 査証申請:外国人が現地の日本領事館等で査証申請
- 入国:査証取得後、日本への入国・在留資格取得
必要書類は多岐にわたり、特定技能評価試験の合格証明書、日本語能力を証明する書類、雇用契約書、支援計画書などが含まれます。
起業・事業拡大における特定技能採用の位置づけ
特定技能ビザでの採用を検討する際は、動き出す前に許認可・融資・採用を設計することが重要です。特に起業間もない企業や事業拡大を図る企業にとって、外国人材の採用は人材確保だけでなく、事業計画や資金調達にも大きく関わる要素となります。
行政書士として、私は許認可業務だけでなく、事業設計から一緒に考えることを重視しています。特定技能採用には以下の観点での検討が必要です:
財務面での検討事項
- 採用コスト(登録支援機関への委託費用、住居確保費用等)
- 人件費の予算計画(日本人と同等以上の報酬)
- 支援体制構築にかかる費用
- 融資申請時の事業計画への組み込み
法務・総務面での準備
- 就業規則の整備・多言語化対応
- 労働条件の適正化
- 社会保険手続きの体制整備
- 在留管理業務の体制構築
大阪市での特定技能採用における注意点
大阪市を含む関西圏では、特定技能外国人の住居確保が重要な課題となっています。外国人向けの賃貸物件の確保や、生活サポート体制の整備を事前に検討しておくことが成功の鍵となります。
また、大阪出入国在留管理局での手続きには相応の時間がかかるため、採用計画は余裕をもって立てることが重要です。特に繁忙期には審査期間が長期化する傾向があります。
まとめ
特定技能ビザでの採用は、人材不足解消の有効な手段ですが、適切な準備と継続的な支援体制が不可欠です。業種の確認から始まり、社内体制の整備、手続きの実施まで、総合的な視点での検討が求められます。
起業家や個人事業主の皆さんが特定技能採用を成功させるためには、事業全体の設計の中で採用戦略を位置づけることが重要です。単なる手続きの代行ではなく、事業の成長戦略と連動した採用計画の策定をお手伝いすることが、私たち行政書士の役割だと考えています。
